iPhoneの電話発信履歴に覚えのない相手の名前や電話番号が表示されていて「え……ウイルスに感染した?」と恐怖したり、焦ったりしたことはないでしょうか。また、電話しようとすら思っていないのに、勝手に発信中になり、慌てて電話を切った経験があるユーザーも少なくないでしょう。
電話帳に登録してあっても頻繁に連絡する相手は限られます。電話番号は知っているが、電話したことがないという連絡先も多いはず。履歴を残してしまった相手と親しい間柄ならそれほど問題ありませんが、そうでない場合は困ったことになりかねません。
そこで本記事では、勝手に電話が発信されてしまう原因とその対策についてまとめました。
原因1:音声による意図しない電話発信
iPhoneでは「Siri」や「音声コントロール」といった音声入力による操作方法が提供されています。とくにiPhone X以降はロック状態でもサイドボタンを長押ししているだけで動作してしまうため、誤発信の原因になります。
ロック中の対策:ロック中のSiri起動を禁止する
音声アシスタント「Siri」を使えば、iPhoneに話しかけるだけで電話を発信できます。 Siriは、 ホームボタンの長押しか「Hey Siri」と話しかけることで、ロック中でもロック解除中でも構わず起動します。
Siriで通話を開始する
ここで問題になるのが、周囲の音を拾って勝手に発信してしまう誤作動。iPhoneが手元にあるときだけでなく、カバンやポケットなどの中でも意図せず動作してしまうケースがあり、その結果として発信履歴に覚えのない相手が登場することになってしまうわけです。Siriとしては命令を忠実に実行しているだけなのですが、会社の上司や旧友などの携帯に着信履歴を残すことは避けたいところでしょう。
Siriによる意図しない電話発信を防止するための対策としては、Siriの起動をできるだけ抑制することが有効となります。
Siriの動作を制限するには、「設定」アプリの[Face IDとパスコード](または[Touch IDとパスコード]を開いて、[Siri]のスイッチをオフにします(パスコードが未設定の場合、設定する必要があります)。これで、ロック状態からSiriや音声ダイヤルが起動して、電話を発信するのを防げます。
[Siri]をオフにすると、ロック中にSiriをまったく利用できなくなります。ロック解除すれば使えるので構わないユーザーにとっては問題ありませんが、ロック解除の一手間が面倒だというユーザーにとっては制約を課しすぎなきらいがあります。「Hey Siri、5分後に教えて」といった使い方をよくする筆者にとって、ロック中に呼び出せないのは非常に不便なわけです。
そこでロック中でもSiriを使いたい場合は、[Siri]をオフにする代わりに[音声ダイヤル]をオフにするのがおすすめです。「Face IDとパスコード」の画面で[音声ダイヤル]のオプションをオフにします(最初に[Siri]をオフにした場合は、[Siri]をオンにしてから[音声ダイヤル]をオフにします)。
ロック中でもSiriを起動できますが、Siriを使って電話しようとすると、iPhoneのロック解除を要求されるようになります。こうすれば、ロック中に勝手に電話をかけられることはほぼ無くなります。
ロック解除中の対策:「Hey Siri」をオフにする
ロック中の誤発信はロック中のSiri起動を禁止すれば防止できます。また[音声ダイヤル]をオフにするだけでも、ほぼ防げます。
問題はロック解除中の誤発信です。
「Hey Siri」を普段からまったく使っていないなら、「設定」アプリ→[Siriと検索]を開いて、[”Hey Siri”を聞き取る]か、[サイドボタンを押してSiriを使用](または[ホームボタンを押してSiriを使用])のどちらかをオフにしておくとよいでしょう。
「Hey Siri」は、Siriを音声で起動する機能です。ロック状態のSiriを制限しても、ロックが解除された状態で「Hey Siri」と発話、または似た音声を拾ってしまうことでSiriが起動するので、これを防ぎます。
「Hey Siri」をよく使うなら、[サイドボタンを押してSiriを使用](または[ホームボタンを押してSiriを使用])をオフにしても構いません。Siriの呼び出しを制限することで、ロック解除中にSiriが誤って起動にしにくくします。
究極の対策:Siriを完全に無効化する
ロック中か否かにかかわらず音声による誤操作を防ぐ究極の方法は、Siriを無効にしてしまうことです。Siriを無効にし、誤発信の原因を完全に断ってしまうのです。ただしこの方法は、普段Siriをまったく使っていない人にのみおすすめです。
Siriは、「設定」アプリ→[Siriと検索]で無効にできます。[”Hey Siri”を聞き取る]と[サイドボタンを押してSiriを使用]の両方をオフにします。確認が表示されるので[Siriをオフにする]をタップします。
これでSiriが無効になり、音声による誤発信を防げます。Siriをオフにすると、Apple WatchのSiriも使えなくなります。Apple WatchでSiriを使う可能性がある場合は、注意が必要です。
Siriを無効にしたあと、サイドボタン(ホームボタン)を長押しすると、Siriの画面が表示されます。[Siriをオンにする]をタップすれば、いつでもSiriをオンにできます(「Hey Siri」の再設定は必要です)。
ところでiOSにはSiri以外にも、前述した「音声コントロール」という機能があります。音声コントロールでも音声による電話発信が可能ですが、Siriを無効にすると音声コントロールも同時に無効になります。ユーザーが意図して設定しない限り、音声による操作を受け付けなくなるため、誤発信の心配は要りません。
まとめ:ロックをかければ誤発信はほぼ防げる
Siriの有効・無効問わず、ロック中の誤作動による電話発信は防止できる。
上図は、ここまで解説した機能制限を実施したうえで、Siri機能の有無による電話発信にどのような違いが出てくるのかを、ロック中とロック解除中とに分けて図示したものです。
図からわかるように、気をつけなければならないのは、「Siriが有効」かつ「ロック解除中」に誤発信をしてしまう可能性です。この点、ロック中の音声ダイヤルを無効にしておけば、意図しない発信をほぼ防ぐことが可能です。ロックをかけることが一番の誤動作防止につながります。
パスコードをかけていなかったり、何らかの理由でロックをかけるのが難しい場合は、[”Hey Siri”を聞き取る]か[サイドボタンを押してSiriを使用](または[ホームボタンを押してSiriを使用])のいずれかをオフにして、Siriの動作を制限するのがおすすめです。Siriを呼び出す手段を減らすことで、ロック解除中にSiriが誤って起動にしにくくします。
原因2:ロックしていないときの誤操作
Siriによる電話発信だけでなく、単なる誤操作によって発信してしまうというケースも十分にありえます(むしろこちらのほうが多いかも?)。ロック解除中の誤操作を減らすためには、操作時以外はロックがかかる(パスコードを要求される)状態にしておくことが望ましいところです。
ロックをかけないでカバンやポケットにしまうことが多い人は、自動ロックまでの時間を見直すとよいでしょう。「設定」アプリの[画面表示と明るさ]→[自動ロック]を開いて、自動ロックまでの時間を確認します。ここが[5分]や[なし]になっていると、ロックされない間にアイコンがタップされて、誤作動を起こしやすくなります。
Face IDやTouch IDの導入によりロック解除の手間は軽減されたとはいえ、頻繁にロックを解除するのは面倒なもの。そこで自動ロックまでの時間を「5分」などに設定してしまいがちです。またバックグラウンド再生ができないアプリを使っていて、自動ロックそのものをオフにしているケースもあるでしょう。カバンに入れる時やiPhoneを使わない時には、手動でロックをかけるという習慣を付けたいものです。
原因3:子どもが勝手に操作
幼い子どもがいる家庭だと、あの無邪気な動物たちが親のiPhoneを勝手に操作してしまう"事故"が多発します。
こういった事態を未然に防ぐためにも、iPhoneはしっかりとTouch IDないしパスコードでロックするようにしておきましょう。
検証端末:iPhone X(iOS 12.1.4)