およそ1年8カ月ぶりの新モデルとして登場した「iPad Pro(M4/第7世代)」と「iPad Air(M2/第6世代)」。今回は、特に変化の大きかったiPad Pro(M4)を中心に、Apple Pencil Proの使い勝手も紹介します。iPad Pro(M4)、iPad Air(M2)ともに11インチと13インチモデルがラインナップされています。
気になる本体価格(税込)は以下のとおりです。
Wi-Fiモデル | Wi-Fi + Cellularモデル | |
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iPad Pro(M4) |
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iPad Air(M2) |
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今回は、iPad Pro(M4)の13インチモデルとiPad Air(M2)の11インチモデルをレビューします。
iPad Pro(M4)は最大5.1mmの薄さ
iPad Pro(M4)は、驚異的に薄くなったのが話題です。13インチモデルが5.1mmと、Apple製品の中でも過去最高に薄いとしています。11インチモデルもかなり薄いのですが、5.3mmと微妙に差があります。また、iPad Air(M2)は両サイズとも6.1mmで、こちらはiPad Air(第5世代)と変わりません。
実物を目にすると信じられないほどの薄さで、まさに板のようです。本体が薄いために、逆にカメラの出っ張りが目立って感じられます。ここまで薄くできたのは、ディスプレイがOLEDに変わったことも大きな要因だと推測します。OLEDはバックライトがない分、薄く設計できるのです。
薄型化に伴って軽量化も進んでおり、iPad Pro(M4)の13インチモデル(Wi-Fi)は579gと非常に軽くなっています。ちなみに、iPad Air(M2)の13インチモデルは617g。いよいよ、13インチのタブレットを日常的に持ち歩けるようになるわけです。
ここまで薄くなると強度が心配ですが、前モデル同様の強さは確保されているといいます。とはいえ、剥き出しで落してしまえば画面や本体が破損する可能性は大きいでしょう。

iPad Pro(M4)13インチモデル

背面はiPadらしいデザインでアルミ製

本体は非常に薄い

レビューに使用しているのはCellularモデルだが、それでもかなり軽い
iPad Pro(M4)は大きく進化していますが、iPad Air(M2)は順当な進化といえます。11インチモデルのサイズと重量は、iPad Air(第5世代)と変わりません。10.9インチだったディスプレイは11インチになっていますが、サイズの違いはほとんどわからないでしょう。
もちろん、これまではなかった13インチモデルが登場したという点では、とても大きく進化しています。

iPad Air(M2)11インチモデル

アルミ製の背面はiPadらしい

厚みも前モデルと変わらない

重量も変わっていない
iPad Pro(M4)はOLEDディスプレイを搭載、暗さの表現が非常に美しい
iPad Pro(M4)は、ついに液晶から有機ELへと変わりました。「Ultra Retina XDRディスプレイ」とネーミングされており、2枚のOLEDパネルを組み合わせる「タンデムOELD」が特徴です。
OLEDパネルを2つ組み合わせることで、より輝度を増しています。OLEDの特性である黒の締まりの良さは言うまでもありません。
実物を見てみると非常に明るく、逆に黒は締まっています。ハッとするほどの美しさで、夜景の写真を表示してみましたが、どのディスプレイよりも美しく感じました。特に暗い部分の表現が素晴らしく、その上で光っている箇所は撮影で白飛びするほど明るく表示されています。肉眼で見ると、さらに美しさを感じます。また、さまざまな色合いの光源の違いも素晴らしく表現できています。
写真や動画だけでなく、普段の作業でも画面の美しさが実感できます。特に文字のくっきりさは素晴らしい限りです。
なお、今回は上位モデルでオプションとして選べる「Nano-textureガラス」を見ることはできませんでしたが、Nano-textureガラスを搭載した製品はオーダーしているので機会があれば紹介します。

iPad Pro(M4)のディスプレイは非常に美しい
性能は文句なし、iPad Pro(M4)は1TB以上で性能が変わる
iPad Air(M2)は、M2チップを搭載しています。以前のiPad Proなども搭載していたので、順当な進化です。もちろん文句なしの高性能で、ベンチマークのスコアではSnapdragon 8 Gen 3を上回っています。iPad Proと比べると劣るように感じますが、実はかなり高性能です。特別な用途がなければ十分に快適に使えます。
iPad Pro(M4)は、今回1TBモデルをレビューしています。ベンチマークのスコアは信じられないほどで、もはやパソコンでもなかなか太刀打ちできません。ベンチマークを比べると、特にシングルコアの値はデスクトップを凌駕するほどです。また、マルチコアもかなりのパフォーマンスとなっています。
注意したいのは、256GBと512GBモデルが9コアCPU、1TBと2TBモデルは10コアCPUになることです。また、メモリも8GBと16GBの違いがあります。つまり、1TB以上のiPad Pro(M4)は性能が一段アップしているわけです。
この超高性能は、動画編集や画像編集、3DCGなどに活かすことができます。さらに数年後でも十分に現役の性能を発揮するでしょう。

iPad Pro(M4)1TBモデルのベンチマーク

iPad Air(M2)のベンチマーク
Apple Pencil Proの「スクイーズ」と「バレルロール」が超便利
iPad Air(M2)とiPad Pro(M4)は、Apple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)に対応しています。注目は、もちろんApple Pencil Proで、指で握るように力をかけると専用のツールパレットが表示される「スクイーズ」に対応します。この機能はとても便利で、一度使うともう以前のApple Pencilには戻れなくなるでしょう。
さらに、ジャイロスコープによって方向きを検知してペン先をコントロールする「バレルロール」にも対応します。また、スクイーズやダブルタップで反応する触覚フィードバックも搭載します。
価格は、2万1800円とApple Pencil(第2世代)と変わりません。Apple Pencil Proを使いたいためにiPad Air(M2)やiPad Pro(M4)を手に入れる人もいそうです。
Magic Keyboardも新しくなっています。ただ、iPad Air(M2)用が4万9800円、iPad Pro(M4)用が5万9800円とかなり高額なのが残念です。

Apple Pencil Proが新登場

通常の筆記はApple Pencil (第2世代)とほぼ変わらない

スクイーズでパレットを出す機能はとても重宝する

バレルロールでペンを傾けて太さなどを変えられるようになった


ペンを回転させるとペン先の方向きも変わる

Magic Keyboardも刷新された

Magic Keyboardを13インチのiPad Pro(M4)と組み合わせても1.2kg台だ
まとめ
為替の影響もあって、新iPadは相当値上がりするのではないかと思われましたが、実はそれほどでもありませんでした。iPad Air(M2)は、11インチのWi-Fiモデルが9万2800円から11万4800円(いずれも256GBモデル)と値上がりしています。iPad Proも、モデルによりますが4万円以上値上がりしています。この2年近くの物価上昇や為替を考えれば妥当なところでしょう。
ただし、本当の最高性能である1TBモデルは、11インチで27万2800円、13インチで32万2800円です(Wi-Fiモデル)。実質的には、これらのモデルこそが最高性能になることを考えると、もはやMacBook Proと似た価格帯だと言えます。予算と合わせて最適なモデルを選ぶべきなのは言うまでもありませんが、シンプルに使うなら5万8800円から買える「iPad」を選ぶのもおすすめです。
なお、今回のレビューにはメーカーより借りた製品を使用しています。