iPhoneに標準で備わっている「ボイスメモ」アプリは、専用のICレコーダーがなくてもiPhoneのマイクで音声を録音できるアプリです。打ち合わせや取材の録音はもちろん、スピーチの練習をしたり、音声でメモを残したりと、いつでも手軽に録音できる便利な存在です。
録音したボイスメモは、MPEG-4オーディオ形式で保存されます。iPhoneでの再生・編集だけでなく、パソコンなどほかのデバイスで利用するのも簡単です。あれもこれもといった便利な機能はありませんが、日常的な使い方ならこれで十分。そこで今回はボイスメモの使い方を徹底的に解説します。
iPhoneでボイスメモを録音する
ボイスメモはiPhoneのマイクで音声を録音します。したがって、録音をするときはマイクの位置を知っておくと音声がよりクリアになります。
iPhoneには複数のマイクが搭載されていますが、音声の録音には本体下部にあるマイクを使用します。編集部にて検証したところ、ボイスメモの録音にはLightningコネクタ左側のマイクを使用しているようでした。
ボイスメモの録音には、Lightningコネクタ左のマイクを使用しているようだ
自分の声を録音するときは普段どおりの持ち方で構いませんが、対面の相手の声を録音するときなどはマイクを向けたほうが大きな音で録音できるのでおすすめです。マイクの向きを変えるだけで音の大きさやこもり具合はかなり変わるので、事前にテストしておくとよいでしょう。
なお、AirPodsやEarPods、ヘッドセットなどマイクを備える外部デバイスを使って録音することもできます。マイク付きの外部デバイスには、LightningやUSB-Cコネクタに有線接続するタイプと、Bluetoothで接続して録音できるタイプがあります。マイク付きの外部デバイスを使えばステレオ録音も可能になるので、より高音質で録音したいときは選択肢の一つに入ります。
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1.「ボイスメモ」アプリを起動する
「便利ツール」フォルダ→「ボイスメモ」をタップ
まずは「ボイスメモ」アプリを起動します。デフォルトの状態であれば、「ボイスメモ」アプリは「便利ツール」フォルダに格納されています。
「ボイスメモ」アプリを削除してしまった人は、App Storeから再度インストールしてください。
2. ボイスメモを録音する
●ボタンをタップして録音を開始。停止するには■ボタンをタップする
画面の下のほうにある赤いボタンが録音ボタン(●)です。タップすると即座に録音が開始されます。録音中に表示されるグラフは、縦軸が音の大きさで、横軸が時間を示します。
録音中は録音ボタンが(■)に変化します。これをタップすると録音が終了し、ファイルが保存されます。
画面に「ボイスメモ」アプリが表示されていなくても録音は継続している
録音中に自動ロックがかかるとディスプレイが消灯しますが、録音は継続しています。また、録音中にホーム画面や他のアプリに移動しても、録音は続きます。
ボイスメモで録音作業中の状態。時刻表示部分が赤くなる
ホーム画面や他のアプリ画面から「ボイスメモ」アプリに戻るときは、画面上部に表示されている時刻(ステータスバー)の赤い部分をタップします。
録音中に注意すること
新規録音を開始するときと[完了]をタップするときは、「ピコン」という音が鳴ります。会議の音声を録音するときなど音を鳴らしたくない状況であれば、あらかじめサイレントモードにしておくと音が鳴らなくなります。サイレントモードへは、端末の左横(音量を上げるボタンの上)にあるスイッチで切り替えます。
また、録音中に電話がかかってくると、録音は停止します。これを防ぎたければ機内モードにしておくとよいでしょう。
3. 録音を一時停止する
画面をスワイプすると一時停止ボタンが表示される
録音中に波形部分を上にスワイプすると、一時停止ボタンが現れます。これをタップすることで録音を一時停止できます。
録音を再開するには[再開]をタップします。
4. 録音内容を確認する/上書きする
録音を一時停止した状態で再生ボタンをタップすると、録音したばかりの音声が再生されます。
再生ボタンの左右には、15秒前・15秒後に移動するためのボタンがあります。波形を左右にスワイプして再生ヘッドの位置を移動しても構いません。
[再録音]をタップすると新規の録音が赤いラインで表示される
また[再録音]をタップすると、再生ヘッドの位置から新しい録音を再開します。データが上書きされるので、途中からでも録音をやり直すことができます。
5. ボイスメモを保存する
左:[完了]をタップ右:ファイルが保存される
ボイスメモの録音を終了したいときは、録音を一時停止した状態で[完了]をタップします。録音ファイルは「新規録音」という名前で保存されます。
現在地の名前でファイル名が付く
ただし、ボイスメモの位置情報サービスがオンになっている場合、現在地の名前で保存されます。
位置情報サービスをオンにするには
位置情報サービスの設定は、「設定」アプリ→[プライバシー]→[位置情報サービス]の[ボイスメモ]で変更します。
iPhoneでボイスメモを再生する
ファイルを選択して再生ボタンをタップ
録音した音声を再生するときは、ファイルをタップして再生ボタンを押します。途中から再生したい場合は、再生バーをドラッグして再生開始位置を変更できます。
一時停止ボタンを押すと、録音した音声の再生が止まります。
iPhoneでボイスメモを編集する
ボイスメモには、指定した位置から音声を上書きしたり、不要な部分を削除したりといった編集機能があります。
録音中に入り込んでしまった余計な音声を削除したいときや、ファイルサイズを小さくしたいときなどに活用できます。それぞれのファイル名の変更も可能です。
ファイルを選択し[…]→[録音を編集]をタップ
音声の編集画面は、ファイルをタップすると表示される[…]ボタンから呼び出します。
ボイスメモのファイル名を変更する
左:アイテムの画面で名前を変更右:編集画面で名前を変更
ボイスメモの一覧でアイテムを選択してからファイル名をタップするか、編集画面の上部にあるファイル名をタップして変更します。
ボイスメモを追記する/上書きする
左:[再開]ボタンで録音を追記右:[再録音]ボタンで上書き
再生ヘッドが録音の最後尾にあると[再開]ボタンが表示されています。これをタップすると、新しい録音が追加されます。
再生ヘッドが録音部分にある場合は、[再録音]ボタンが表示されます。タップすると、再生ヘッドのある位置から録音を上書きできます。
ボイスメモの先頭または末尾をトリミングする
録音の開始直後や終了間際で不要な部分があるときは、「トリミング」機能を使って削除します。
編集画面でトリミングボタンをタップ
まず、編集画面の右上にあるトリミングボタンをタップしてください。すると、波形とタイムラインの両端に2本の黄色いラインが表示されます。
左右の端にある黄色いラインをドラッグし、残したい範囲を指定して[トリミング]
先頭部分をカットしたいときは左端の黄色いラインを、末尾の部分をカットしたいときは右端の黄色いラインをドラッグして編集位置を指定します。トリミングでは、黄色いラインの外側の部分が削除されることになります。
黄色いラインの位置を決めたら、[トリミング]をタップします。最後に[保存]をタップして編集内容を反映させます。
録音の最初の方と最後の方を削り、中ほどの部分だけを残せた
ボイスメモの途中部分を削除する
先頭部分や末尾ではなく、録音の途中に紛れ込んだノイズなど不要な部分を除きたいときは、「削除」機能を使います。基本的な使い方は「トリミング」機能と同様です。
左右の端にある黄色いラインをドラッグし、除きたい範囲を指定して削除
「削除」機能は「トリミング」機能と反対で、黄色いラインで挟まれた部分が削除されます。会議途中の雑談や休憩中の会話などをそのまま録音してしまった場合に、不要な部分を削除するという使い方にぴったりです。
録音の中ほどの部分を削り、最初の方と最後の方を繋げた部分だけを残せた
ボイスメモのファイルを削除する
左:ファイルを左にスワイプして赤いゴミ箱マークをタップ右:ファイルを選択してゴミ箱ボタンをタップ
ボイスメモの各ファイルを削除したいときは、一覧でファイルを左にスワイプして赤いゴミ箱マークをタップするか、アイテムを選択すると表示されるゴミ箱のボタンをタップします。削除したボイスメモは、一覧の一番下にある[最近削除した項目]に移され、30日後に完全削除されます。
複数のアイテムを削除したいときは[編集]→[○]→[削除]が便利
ボイスメモをパソコン(PC)などに送るには
録音したボイスメモのファイルは、パソコンへの送信や他のユーザーとの共有ができます。iPhoneやiPad、Mac間ならiCloudやAirDropを経由するやり方がかんたんです。その他のデバイスと共有したいときはメッセージやメールなどに添付して送れます。
左:[…]をタップ右:共有方法を選択する
iCloud経由で送る(同期する)
iCloud経由でボイスメモを同期する
iCloudが設定されていれば、同じApple IDでサインインしているiPhoneやiPad、Macのボイスメモアプリは自動で更新されます。iPhoneで録音したボイスメモをMacで開きたいときは、Macのボイスメモアプリを起動するだけで同期されます。
ファイルを添付して送信する
[…]→[共有]をタップすると共有先を選べる
メールやメッセージなどのアプリに添付して送信したいときは、[…]→[共有]をタップして共有手段を選びます。
相手のiPhoneやMacなどに手早く送信できる[AirDrop]もここで選べます。
メールに添付するときは、ファイルサイズがネックになりがちです。長時間録音した場合は、ファイルサイズが大きくなります。1時間の録音では、最低でも30MB以上のサイズに。使っているメールアカウントによっては、添付ファイルの制限によって送れないこともあるでしょう。このようなときはメールの送信アカウントをGmailなどにすれば、たいていOKです(Gmailなら50MBまでのファイルを添付できます)。
送信前にファイルサイズを確認しよう
クラウドサービスやアプリに送信する
左:保存先を選ぶ右:[保存]をタップ(画面は[Keepに保存]を選んだ場合)
Dropboxなどのクラウドサービスにファイルをアップロードするのも便利。[…]をタップして[Dropboxに保存]や[Keepに保存]など、共有先を選ぶだけです(利用できる項目はiPhoneにインストールされているアプリによります)。
左:[その他]をタップ右:リストにないアプリを選べる
リストにないサービスに保存したいときは、[共有]を開いてみましょう。「AirDrop」や「メッセージ」などのアイコンが表示されているメニューを右端までスクロールして、[その他]をタップしてください。すると、EvernoteやGoogleドライブなどリストにないアプリを共有先に選ぶことができます(あらかじめ使いたいアプリをインストールしておく必要があります)。
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検証端末:iPhone X(iOS 13.2.3)