値下がりで購入、意外に便利で高品質だったタブレット「MediaPad M5 Pro」レビュー

今月はHUAWEIのAndroidタブレット「MediaPad M5 Pro」を購入したのでレビューしていきます。以前にもレビューする機会はあったのですが、その際には買うつもりがありませんでした。税込で5万9800円と高かったのが大きな理由です。

ところが公式ストアではすでに売り切れになっており、「もしかすると入手難なのかも」と思い始めました。この手のガジェットが早々に入手難になるのは、売れすぎのケースだけでなく、当初から計画されている台数が少なく、売れ行きもあまり芳しくないために追加されないケースもあります。

そんなことを考えていたところ、某店のセールで4万6000円(税込)ほどで買えるタイミングがあったので購入してしまいました。実はかなり悩んでいたのですが、僕は「デジタル手書き」を強く推奨しているため、Androidの手書き事情も常にチェックしている必要があります。手元にある専用ペンの使えるタブレットが古かったこともあり、仕事上の言い訳にはなります。

ところが、買ってみると意外に便利なこともわかりました。そんなポイントも合わせて、MediaPad M5 Proについて紹介していきます。

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本体のデザインと高級感はすばらしい

仕事で多くの製品をレビューしていますが、どうもタブレットはスマホに比べるとデザインが周回遅れになっています。

Androidスマホの多くがワイド液晶を採用した斬新デザインになっているのに、タブレットのデザインや完成度は長い間変わっていません。iPhoneとiPadを見てもそう感じます。ベゼルを極端に細くしたiPhone Xに比べると、iPadのデザインは斬新さに欠けます。

ところが、MediaPad M5 Proはスマホほどではないにしても、随分と進化しました。写真を見てもわかるように、ベゼルがかなり細くなったのです。タブレットの場合、持ちやすさからベゼルレスにするのは好ましくないという考え方もあります。スマホのようにベゼルを細くすると、どうしても画面を触ってしまうのです。

MediaPad M5 Proは、僕が知るタブレットの中では初めて2.5Dガラスを採用しました。背面を見れば、アンテナの電波を通すための処理がスマホのように美しく仕上げられています。ただ、スマホはすでに背面がガラスになっていますから、やや見劣りします。それでも従来のタブレットに比べると、とても物欲をそそります。

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

従来のタブレットに比べるとベゼルが細くなっている

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

背面は金属製で質感も高い

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

電波を通すための樹脂の仕上げも上々だ

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

2.5Dガラスを採用する

イヤホン端子がないのが大きな欠点

最近の高級スマートフォンは、イヤホン端子を排除する傾向にあります。賛否両論が分かれるところですが、個人的には防水設計がしやすくなるなら妥協できそうです。Bluetooth接続のワイヤレスヘッドフォンを使えばよいので、さほど困ることもありません。ところが、タブレットとなると話は別です。MediaPad M5 Proではイヤホン端子が排除されているのです。

こちらでもワイヤレスイヤホンを使えばよいわけですが、僕の場合、ワイヤレスのイヤホンはスマホと接続しています。マルチペアリングに対応する製品があまり多くないので、MediaPad M5 Proで映画を観たり音楽を聴いたりしようと思ったら、いちいちペアリングをし直さなければなりません。これは非常に面倒です。

かといって、MediaPad M5 Pro用に2つ目のワイヤレスイヤホンを買って持ち歩くのは、費用がかかる上に充電の管理も面倒です。イヤホン端子はぜひ用意してほしいところです。

本体内蔵のスピーカーは非常に音質がよく、音量も十分です。映画を視聴しても迫力は十分でした。付属品にはUSB-C端子を変換してイヤホンをつなぐためのアダプターも付属していますが、充電しながら利用することはできない欠点もあります。なお今回手に入れた製品には、専用カバーがギフトとして付属していました。

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

ACアダプターやUSB-Cケーブル、ペンの他にイヤホンの変換アダプターも付属する

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

専用のカバーがプレゼントで付属していた。質感は程々だが実用性は十分

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

スピーカーの音質・音量は上々だ

同梱の「HUAWEI M-Pen」の書き味も申し分なし

MediaPad M5 Proには、専用のペン「HUAWEI M-Pen」が標準で付属しています。このペンのコストを考えると、iPad Pro+Apple Pencilに比べて相当に安くなります。

しばらく試していますが、書き味は上々です。細いペン先で快適に筆記できます。このPenは乾電池ではなく、USB-C端子で充電できるのが非常にすばらしいポイントです。多くの専用ペンが単6乾電池を使うタイプなので、入手が困難なのです。

また、手元にあったワコムの「Bamboo Ink」でも筆記が可能でした。このスタイラスはWindowsでも使えるモデルが多く、1本持っていればパソコンとMediaPad M5 Proの両方に利用できるのです。またペン先の硬さを変更できるので、より自分好みの書き味にしたい人は別途購入してもよいでしょう。

急速充電は9V/2A対応とのことで、当然ですが付属のACアダプターでは急速充電ができています。また、手元にあったAnkerのPD対応ACアダプターでも、ほぼ同様の結果が得られました(自己責任で利用してください)。

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

スタイラスの書き味は上々。上の写真で使っているアプリは「Nebo for Huawei」

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

上が付属のペン(HUAWEI M-Pen)。下のBamboo Inkでも快適に筆記できた

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

HUAWEI M-PenはUSB-C端子で充電できるのが嬉しい

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット
MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

付属のACアダプターとPD対応の充電器でほぼ同じ結果が得られた

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

ベンチマークのスコアも優秀だ

デスクトップモードでパソコンのように使える

以前から、HUAWEIやサムスン電子のスマホには、テレビやモニターと接続してパソコンのように使えるモードが採用されていました。MediaPad M5 Proは、単体でパソコンライクに使える「デスクトップモード」が搭載されています。

ステータスバーから簡単にモードを切り替えることができ、数秒で画面がパソコンのようになります。使い方はWindowsに近く、スタートメニューでアプリを起動し、マルチウィンドウにも対応しています。ただし、ウィンドウサイズが自由に変更できるのはアプリによって異なり、標準のメモアプリやGoogleスプレッドシートなどには対応しているようです。ただし、Chromeが全画面でしか使えないのが残念です。

このモードにマウスと外付けのキーボードを組み合わせると、気分はモバイルノートです。もちろん使い勝手はやや異なりますが、緻密な作業には向きます。

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

デスクトップモードでマウスとキーボードを外付けにすると、パソコンのように利用できる

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

ステータスバーから簡単にモードを切り替えられる

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

まるでWindowsのような画面で作業ができる

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

スタートメニューからアプリを起動可能。モードの終了もここからおこなう

MediaPad M5 Pro レビュー Androidタブレット

マルチウィンドウで各種のアプリが利用できるのが嬉しい

まとめ

10インチクラスのAndroidタブレットの中では、最もおすすめのモデルです。本体の完成度はiPadを凌いでおり、所有欲を満たしてくれます。価格も4万円台で手に入れば文句なしでしょう。デバイスとしては、イヤホン端子がないこと以外はほぼ満足できます。手書きのレスポンスも上々で、書き味も優れています。

ただし残念でならないのが、タブレット向けのアプリが少ないことです。多くのアプリがスマホ向けで、タブレット向けがリリースされているとしても画面のデザインは最適ではありません。iPadに比べると大きく劣る部分です。手書きのアプリとなると、さらに本数が減ってしまいます。

使いやすいアプリを探すのが楽しみと思えるような、タブレット好きには間違いなくおすすめのモデルです。苦労せずに、使い勝手の良いタブレットを求めているなら、iPadを買うほうが無難です。

構成・文:戸田覚

編集:アプリオ編集部