「HUAWEI Mate 20 Pro」が登場しました。ファーウェイの最上位モデルで、カメラは3つ搭載しています。これまでは「HUAWEI P20 Pro」がカメラ機能に優れる上位モデルとして君臨していましたが、さらにその上を行く製品と考えてよいでしょう。
HUAWEI P20 ProはNTTドコモの専売でしたから、SIMフリーモデルを望んでいた人にはニーズに合わなかったかもしれません。その点、HUAWEI Mate 20 ProはSIMフリーとソフトバンクから販売されるので、より選択肢が広がっています。気になるHUAWEI最上位モデルの魅力はいかばかりでしょうか。詳しくレビューしていきます。
今回レビューする製品は海外版のため、日本国内で発売されるモデルとは付属品などを含めて異なる可能性があります。
「HUAWEI P20 Pro」レビュー、圧巻のカメラ性能はライバル機をリード
数あるスマホの中でも指折りの美しい本体
HUAWEI Mate 20 Proは、筆者がレビューした多くのスマホの中でも指折りの美しさです。背面はミラー仕上げで目を引くグラデーションとなっています。普段は案外地味な色合いですが、光が当たるとハッとするほど美しく輝きます。
新登場のHUAWEI Mate 20 Proは、HUAWEIの最上位モデル。付属品はかなり多いほうだ
デザイン上の特徴は、前後に曲面ガラスを採用していることでしょう。画面の左右が大きなアールを描いています。Galaxyシリーズと似たような印象です。曲面ガラスのスマホは、見た目につややかで美しく高級感があります。ただし、多くのモデルがほぼ同じような外観になっているのが残念です。背面も正面と同様の曲面にするモデルばかりなので、まるで兄弟モデルのような印象があります。
HUAWEI Mate 20 Proは、ガラスとフレームの合わせ目もきれいに仕上がっており、フレームもミラー仕上げでとても美しい外観です。ただし、このガラスは割ってしまうと修理が高くなりがちなので、気をつけて使いたいところです。また、ディスプレイサイズの割には表示が大きく思えません。当たり前ですが、左右が湾曲しているので正面から見ると画面が狭くなるわけです。
背面も非常に美しくグラデーションが特徴だ
イヤホン端子は搭載せず、独自規格でのストレージ増設に対応
最近の上位モデルは、多くの製品がイヤホン端子を搭載していません。HUAWEI Mate 20 Proも同様に、イヤホン端子を搭載せずに、USB-C接続のイヤホンと変換ケーブルが付属します。
この方式が主流になってきたので、ワイヤレスのイヤホンを使うのがおすすめです。手元に高級なケーブル接続タイプのイヤホンを持っているユーザーは少し残念です。
付属品が白に統一されているが、本体カラーを考えるとちょっと合わない
SIMスロットはnanoSIMを2枚挿せるタイプで、前後に装着することになります。また、片方のカードをNMカードにすることで、ストレージを増設できます。NMカードとは、小さなmicroSDカードのようなもので、HUAWEIの独自製品です。
すでにmicroSDカードを持っている人も多いので、独自規格なのは残念です。SDカードのようにファイルの転送にも使えません。とはいえ数年間使い続けて、本体のストレージだけでは不足を感じた際に増設できる点は安心です。
SIMトレーは前後に装着するタイプ
なお、通信方式は以下の通りになっています。
- FDD LTE: B1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 12 / 17 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28 / 32
- TDD LTE: B34 / 38 / 39 / 40 / 41(2545-2655 M)
- キャリアアグリゲーション対応、auVoLTE対応予定
- WCDMA: B1 / 2 / 4 / 5 / 6 / 8 / 19
- GSM: 850 / 900 / 1800 / 1900 MHz
バッテリーは4200mAhの大容量で満足できる
バッテリーは4200mAhの大容量なので、ほぼ1日問題なく使えるでしょう。独自の充電規格である「HUAWEI SuperCharge」を利用すると、30分で最大70%まで充電できるとしています。
しかし、最近はUSB PD(PowerDelivery)による急速充電が標準化されつつあるため、独自規格は好ましくありません。試しにPD対応のモバイルバッテリーでテストしてみたところ、ある程度の急速充電ができているようです。もちろん、メーカー公認の使い方ではないので、あくまでも参考値です。
またワイヤレス充電にも対応し、15Wというライバルを凌ぐ急速充電ができます。対応する充電器がないのでテストはできませんでしたが、当然10W対応の充電器でもワイヤレス充電は可能でした。
通常のモバイルバッテリーで充電
PD対応のモバイルバッテリーの充電
ワイヤレス充電にも対応する
生体認証も、これからどんどん増えてくるであろうディスプレイ内蔵の指紋センサーを搭載します。画面に触れるとロックが解除されるのがとても便利です。
CPUはHUAWEI独自の「Kirin 980」を採用します。ベンチマークを計測してみたところ、最近の上位モデルと大差ない値でした。ただし、もっと高い値が出ている情報もあります。どちらにしろ、文句なしのレスポンスで利用できることは言うまでもありません。
指紋センサーは画面に内蔵する
性能は文句なしで、高速でレスポンスよく利用できる
ディスプレイは美しいがiPhoneにかなわない
ディスプレイは6.39インチの有機EL(OLET)です。解像度は3120×1440ドットと4Kに迫る緻密さです。大画面モデルの割に横幅が約72.3ミリとスマートで持ちやすいのは、ディスプレイの左右が湾曲しているからです。今回は、iPhone XS Max、HUAWEI P20 Proと比較してみました。すべて有機ELの上位モデルなので、その差が楽しみです。
まず解像度は、HUAWEI Mate 20 Proがダントツに高いので、比べるまでもありません。iPhone XS Maxは、6.5インチで2680×1242ドットなのです。また、HUAWEI P20 Proは6.1インチで2240×1080ドットと、少々劣ります。
しかし、実際に文字などを見比べても、よほど仔細にチェックしなければ解像度の差は気にならないでしょう。HUAWEI Mate 20 Proのディスプレイは引き込まれるような美しさです。
とはいえ、輝度を最高にするとiPhone XS Maxが一際明るくなります。写真を見る際にも緻密で美しいHUAWEI Mate 20 Proが秀でているのですが、ダントツに明るいiPhone XS Maxを「すごい」と感じる人が多そうです。また、明るい屋外で使う際にも、iPhone XS Maxがもっと見やすくなります。
ディスプレイの緻密さが美しいことを理解できる人には、HUAWEI Mate 20 Proが言うまでもなくおすすめです。しかし、わかりやすい美しさでは、iPhone XS Maxが勝っています。
左からiPhone XS Max、HUAWEI P20 Pro、HUAWEI Mate 20 Pro(以下同じ)。ノッチの大きさもだいぶ違う
明るさを比べると左のiPhone XS Maxがダントツだ
斜めから見てもずいぶん違うことがわかる
写真を表示してもiPhone XS Maxが一際明るい
上のHUAWEI Mate 20 Proはディスプレイの左右が丸みを帯びていて美しい
これまでにないワイドな写真が撮れる広角カメラ
HUAWEI Mate 20 Proは、トリプルカメラを採用しています。HUAWEI P20 Proはモノクロカメラを採用していましたが、HUAWEI Mate 20 Proは代わりに広角カメラを搭載します。
同じトリプルカメラでも、手前のHUAWEI P20 Proとは配置が異なる
これにより、通常の撮影に加え、3倍の光学ズーム、超広角撮影ができるようになりました。大勢を撮りたいスナップ写真でも、超広角レンズならさほど後ろに下がる必要がありません。旅行先での雄大な景色も広く撮影できます。
HUAWEI Mate 20 Proは、HUAWEI P20 Proと同じようにAIで被写体を判断して撮影モードを自動で切り替えてくれます。人物や花、木などを適切に判断するのは素晴らしい限りです。
今回は、HUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI P20 Pro、iPhone XS Maxと上位モデル3台で撮影して比較してみました。普通の撮影では、もはや甲乙付けがたい印象です。しかし、これまでにない写真が撮れるHUAWEI Mate 20 Proの超広角は、大きな魅力となっています。
通常撮影
上からHUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI P20 Pro、iPhone XS Maxで撮影しました。甲乙付けがたい印象です。iPhone XS Maxは木の色が異なりますが、このあたりは好みの問題でしょう。
ズーム撮影
上からHUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI P20 Pro、iPhone XS Maxで光学ズームを比較しました。iPhone XS Maxのみ2倍ズームで、他の2モデルは3倍ズーム。画質はどれも文句なしです。
超広角撮影
HUAWEI Mate 20 Proの超広角では、ここまで広く撮れます。周囲が多少ゆがむが致し方のないところでしょう。
近接撮影
上からHUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI P20 Pro、iPhone XS Maxで花を近くから撮影しました。こちらもやや色合いは異なりますが、どれも文句なしです。
同じ花をHUAWEI Mate 20 Pro(左)では斜めから超広角で撮影しました。iPhone XS Max(右)とは違った素敵な写真が撮れます。
ピントが合うギリギリまで近寄って撮影。HUAWEI Mate 20 Pro(左)では約2.5センチまで近寄れます。
暗所撮影
上からHUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI P20 Pro、iPhone XS Maxで暗い部屋にて撮影しました。iPhone XS Maxが白飛びが少なく、色合いも良好です。
背景ぼかし
上からHUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI P20 Pro、iPhone XS Maxで背景をぼかして撮影してみました。こちらの写真だと、さほど差はないように思えます。
上からHUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI P20 Pro、iPhone XS Maxで撮影。難しい複雑な形の木の葉の背景をぼかしてみました。iPhone XS Maxはやや不自然で、HUAWEI P20 Proは丸ぼけが目立っています。HUAWEI Mate 20 Proが自然で美しく撮れました。
まとめ
HUAWEI Mate 20 Proのカメラは、超広角とマクロに対応して頭一つ抜けた印象です。写真の美しさは文句の付けようがありません。CPUも高速で、とても魅力的な製品に仕上がっています。価格はAmazonで約11万円と最上位モデルらしいプライス。それでもiPhone XS Maxに比べると、ある程度は割安です。
HUAWEI Mate 20 Pro最大のウィークポイントは、おサイフケータイに対応しないことでしょう。この価格なら、メインのスマホとして使いたい人がほとんどのはず。そう考えると、おサイフケータイに対応しないのは大きな欠点です。また防水には対応しますが、テレビの視聴もできません。その他はほぼすべて満足できる素晴らしい製品です。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部