本記事では、iD(アイディ)の仕組みや特徴、メリットなどを初心者向けに詳しく解説。その上で、実際にiPhone・AndroidスマホでiDを使う方法を紹介します。
「iDで支払ってみたい」「どんなサービスか知りたい」という人は、ぜひ参考にしてください。
iD(アイディ)とは? 特徴や仕組みをQ&Aで解説
最初に、iDがどんなサービスなのか、その仕組みや特徴を一問一答形式でわかりやすく紹介します。
iDって何なの?

iD(アイディ)は、NTTドコモが提供している電子マネーサービスです。スマホやクレジットカード、スマートウォッチなど、好みのツールを専用端末に“かざして”支払います。
ざっくりとした大枠は「Suica」や「PASMO」といったICカードと同じだと思ってもらえればよいでしょう。ただ、iDがSuicaやPASMOと違うのは、チャージが要らないという点です。

クレジットカードを紐付けて支払った場合のイメージ
iDは紐付けたクレジットカードやデビットカードで直接支払うことができます。iDで支払った金額が、そのまま紐付けたクレジットカードやデビットカードの利用分として請求される仕組みです。
チャージの手間がかからないので、残高不足を気にせずスピーディーに支払いができるのが特徴。また、残高に余分な端数が残らないのも利点でしょう。
iDってお得なの? メリットは?
「iD」自体にポイント還元システムなどはありません。いわゆる“ポイントの二重取り”は不可能です。

「iD」の利用で得られるのは、カード会社側の特典(ポイント還元やキャッシュバック)のみとなります。仕組みとしては、クレジットカードやデビットカード単体の決済と変わりません。
ただ、暗証番号の入力やサインの記入といった手順を省略できる分、クレジットカード単体よりもスピーディーな支払いが可能になります。また、少額決済シーンで使いやすいのもメリットでしょう。
iDはどうやって使うの?
iDは「iPhone」「Androidスマホ」「スマートウォッチ」で使うことができます。また、クレジットカード単体でiD決済を利用できるケースもあります。
クレジットカード一体型のiDを使う

一番仕組みがシンプルなのが「iD一体型のクレジットカード」です。クレジットカード自体にiD機能が組み込まれているので、そのまま専用端末にクレジットカードをかざせば、支払いができます。
dカード/dカード GOLD/三井住友カード(NL/CLタイプ除く)/三井住友カードゴールド(NL/CLタイプ除く)/三井住友カードプライムゴールドVISA/相鉄カード/ガンダムVISAカード/ANA 一般カード(Visa/Mastercard)/ANA ワイドカード(Visa/Mastercard)/ANA 学生カード(Visa/Mastercard)/ANA プレミアムカード(Visa/Mastercard)/ANA スーパーフライヤーズカード(Visa/Mastercard)/ANA スーパーフライヤーズカードゴールド(Visa/Mastercard)/ANA VISAプラチナスーパーフライヤーズプレミアムカード/Orico Card THE PLATINUM/Orico Card THE GOLD PRIME/Orihime/LOVE THE EARTH
iD一体型のクレジットカードでおすすめなのは、NTTドコモが発行する「dカード」。税込み100円支払うごとに1円相当の「dポイント」が貯まります。もちろん、iDでの支払いもポイント付与の対象です。
dカードはドコモ関連サービスとの親和性が高く、コード決済サービス「d払い」の支払い元に設定するとd払いのポイント還元率がアップします。このほか、ドコモ通信料金の支払いに設定すれば、一定金額の割引が受けられる特典も付帯しています。
iPhone・AndroidスマホでiDを使う

iPhoneは「ウォレット」アプリ、Androidスマホは「Google Pay」アプリなどを経由してiD対応のカードを登録することでスマホでiDを使うことができます(手順は後述)。
スマートウォッチでiDを使う

スマートウォッチにiDを設定し、かざして決済することもできます。ただ、現状iDにまともに対応しているのは、「Apple Watch(アップルウォッチ)」シリーズとソニーの「wena」シリーズだけ。利用できるスマートウォッチは、あまり多くありません。
iDはどこで使えるの?

「iD」マークが掲示された場所で使えます。
iDの加盟店数は、2023年2月時点で日本全国で約200万カ所以上と公表されています。コンビニやスーパーなどでの買い物から、空港やタクシーの料金支払いまでさまざまな場所で利用可能です。
iDは誰でも使えるの?
iDを使うには、「iD対応のカード(クレジットカード/デビットカード/プリペイドカード)」が必要です(後述)。すべてのカードがiDに対応しているわけではないので、手持ちのカードが使えない可能性もあります。

加えて、iPhoneやAndroidスマホでiDを使いたい場合は、デバイス側が「FeliCa(フェリカ)」という通信技術に対応している必要があります。
iPhoneであればiPhone 7以降のすべての機種がFeliCaに対応していますが、Androidスマホは比較的新しい機種でもFeliCaに対応していないケースがあるので注意が必要です(特に海外メーカー製のスマホ)。
スマホでiDを使う手順
ここでは、iPhoneとAndroidスマホでiDを使う手順を紹介します。ざっくりとした利用の流れは、下図の通り。

繰り返しになりますが、iDを使うにあたって残高のチャージは必要ありません。iPhoneは「ウォレット(Apple Pay)」アプリ、Androidスマホは「Google Pay」アプリや「iD」アプリにiD対応のクレジットカードやデビットカードを登録するだけで、すぐに決済ができるようになります。
ステップ1:iDに対応したカードを手元に用意する
まずは、手持ちのカード(クレジットカード/デビットカード/プリペイドカード)がiDに対応しているか確認しましょう。下表ではiDに対応しているカードの一例を紹介します。詳しくは、公式サイトをチェックしてください。
iPhone | Android | ||
---|---|---|---|
ウォレットアプリ | Google Payアプリ | iDアプリ | |
クレジットカード | dカード/イオンカード/オリコカード/JP BANK カード/三井住友カード/ソフトバンクカード/三井住友カード提携のクレジットカード(Amazon Mastercard・Visa LINE Pay カードなど)/ライフカード/大丸松阪屋カードなど | オリコカード/JP BANK カード/三井住友カード/三井住友カード提携のクレジットカード(Amazon Mastercard・Visa LINE Pay カードなど)/ライフカードなど | dカード/イオンカード/ユーシーカード/セゾンカード/VJAグループ発行のカード/ファミマTカードなど |
デビットカード/プリペイドカード | SMBCデビットカード/住信SBIネット銀行デビットカード(Mastercard)/メルペイ/Visa LINE Payプリペイドカード/はまPayなど | SMBCデビットカード/メルペイ/Visa LINE Payプリペイドカード/はまPayなど | - |
とはいえ、公式サイトに記載されていないカードでも、iDに対応しているケースがあるかもしれません。ひとつひとつチェックするよりも、実際に手持ちのカードを「ウォレット」アプリや「Google Pay」アプリに登録してみるのが手っ取り早いでしょう(手順は後述)。
ステップ2:スマホにクレジットカードを登録する
iPhone、Androidスマホにクレジットカードやデビットカードを登録します。OSごとに手順が異なるので、自身の環境に合わせて確認してください。
iPhoneに登録する手順
-
ウォレットアプリを起動
iPhoneでiDを使うにあたり、利用するのは標準搭載されている「ウォレット(Apple Wallet)」というアプリです。
まずは、ホーム画面で「ウォレット」アプリを起動しましょう。
-
ウォレットアプリにiD対応のクレジットカードを登録する
「ウォレット」アプリを起動したら、
に進み をタップしてください。iPhoneのカメラが起動するので、枠にピッタリ収まるようにクレジットカードを写しましょう。
すると、16桁のカード番号や有効期限などの情報が自動で読み取りがおこなわれます。ナンバーレスカードの場合は「カード情報を手動で入力する」をタップして、手入力してください。
-
カードを認証する
対応のクレジットカードだった場合、「このカードはiDマークの掲示があるお店で利用できます」と表示されます。問題なければ[次へ]をタップしましょう。
続いて、クレジットカードの認証がおこなわれます。画面では「SMS」と「電話」の2種類が表示されていますが、認証方法はカードによって異なります。認証方法を選んだら
をタップしましょう。SMSを選んだ場合、認証コードが送られてきます。コードを入力して、
をタップすれば認証完了です。電話の場合は、ガイダンスやオペレーターの指示に従って認証をおこなってください。メインカードに指定するか問われます。設定した決済サービス(ここではiD)は、すばやく呼び出すことができる仕組みです。
頻繁に使うことが予想される場合は、メインカードを設定しておくと便利でしょう。
Androidスマホに登録する手順
Androidスマホの場合、カードの種類によって利用するアプリや登録の手順が異なります。
登録時に利用するアプリ | |
---|---|
dカード | dカードアプリ |
イオンカード | iDアプリ |
オリコカード | Google Payアプリ |
セゾンカード | iDアプリ |
ユーシーカード | iDアプリ |
JP BANK カード | Google Payアプリ |
JFR カード(大丸松阪屋カード) | Google Payアプリ |
VJAグループ発行のカード | iDアプリ |
三井住友カード(提携カード含む) | Google Payアプリ |
SMBCデビットカード | Google Payアプリ |
ライフカード | Google Payアプリ |
ファミマTカード | iDアプリ |
メルペイ | メルペイアプリ |
ソフトバンクカード | ソフトバンクアプリ |
ここでは、一例として「Google Pay」アプリにiD対応のクレジットカードを登録する手順を紹介します。その他のアプリを経由した登録手順は、それぞれのサービス公式サイトなどでチェックしてください。
-
Google Payアプリを起動する
まずは「Google Pay」アプリを起動しましょう。Google Payは多くのAndroidスマホにプリインストールされているので、ホーム画面やアプリ検索で探してみてください。
見つからない場合は、以下のボタンをタップしてGoogle Playストアからインストールしましょう。
アプリ「Google Pay」をダウンロード -
カードを登録する
Google Payアプリを起動したら、画面下部の「支払い」タブに移動します。
[+お支払い方法]ボタンをタップし、[クレジット/デビット/プリペイド]に進みます。
端末のカメラが起動したら、枠にピッタリ収まるようにクレジットカードを写しましょう。
16桁のカード番号や有効期限などの情報が自動で読み取りがおこなわれます。ナンバーレスカードの場合は「カード情報を手動で入力する」をタップし、手入力してください。
-
カードを認証する
「このカードはiDマークの掲示があるお店で利用できます」と表示されます。問題なければ[次へ]をタップしましょう。
多くの場合、カード会社側で本人確認が求められるので、SMSなどで確認コードを受け取って入力します。無事に認証されれば、カードの登録は完了です。
「支払い方法」画面に戻り、登録したカードの下に「〇〇(サービス名)のメインカード」など記載されているか確認しましょう。
なお、iDのメインカードに指定できるのは1枚のみです。メインカードを変えたい場合は、クレジットカードをタップして
を押し、新しくクレジットカードを登録してください。
ステップ3:読み取り機にかざして支払う

iDは、iDの加盟店でしか利用できません。たいていの場合、お店の入り口やレジ横に利用できる決済手段の一覧が掲示してあるはず。これを見て、iDが使えるか確認しておきましょう。

iDの加盟店であることが確認できたら、会計時にレジでスタッフに「iD(アイディ)で」「iD(アイディ)で支払います」といったように伝えてください。スタッフに「読み取り機にかざしてください」などと指示されたら、自身の環境に合わせて以下の操作をおこないましょう。
iPhoneをかざす手順

以下どちらかの方法で本人認証します。もしくは画面上の
を押してパスコードを手入力してもOKです。- Face IDを搭載したiPhone:サイドボタンをダブルクリック(素早く2回押す)して顔認証
- Touch IDを搭載したiPhone:ホームボタンをダブルクリック(素早く2回押す)して指紋認証

すると「ウォレット」アプリが起動し、「リーダーにかざしてください」という記載とともに登録しているカードや電子マネーが表示されます。あとは「しゃら〜ん♪」と音が鳴るまでiPhoneを読み取り機にかざせばOKです。
決済完了後、読み取り機側に決済金額とサービス名(iD)が表示されます。
Androidスマホをかざす手順

Androidスマホの場合、事前のアクションは要りません。スマホの背面を読み取り機にかざして「しゃら〜ん♪」と音が鳴ったら決済完了です。
このとき、わざわざGoogle Payアプリを立ち上げる必要はありません。デフォルト設定では画面ロックの解除(パスコードの入力や指紋認証)も要求されないので、スピーディーな支払いが可能です。