スマホの機種変更などで「おサイフケータイ」の利用情報を引き継ぐ場合には、モバイルSuicaや楽天Edyなど各々のサービスごとに手続きをしなければなりません。しっかりデータ移行を済ませておかないと、残高やポイントが失効してしまう恐れがあるので、事前にチェックしておきましょう。
iPhoneでもApple Payを利用すれば、おサイフケータイ同様に支払いができるようになりましたが、本記事ではAndroidスマホで利用できるおサイフケータイの引き継ぎについて解説します。
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おサイフケータイのデータ移行方法
機種変更時のおサイフケータイの主なデータ移行方法は3種類あります。
まずここでは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手キャリア3社で利用できるおサイフケータイ関連サービスを例に、主要なサービスがどの方法に該当するのか紹介します。
1. 旧端末からデータの預け入れをおこない、新端末で受け取る
旧端末で登録した情報や電子マネーを一旦サービス事業者のサーバに預け、機種変更後に預けたデータを新端末で受け取る方法です。該当するサービスを以下にまとめました。
移行費用 | 引き継ぎ時に必要な情報 | |
---|---|---|
楽天Edy | 1. Edy残高のみ(無料) 2. Edy残高とユーザー情報(税別100円) |
ユーザーID、パスワード |
モバイルSuica | 無料 | 登録時のメールアドレス、パスワード |
iD | 無料 | アクセスコード、パスワード |
モバイルWAON | 無料 | 機種変更反映用パスワード、本人情報 |
nanacoモバイル | 無料 | 引き継ぎ番号、パスワード |
QUICPay | 無料 | 受け取りID、受け取りパスワード |
iDはNTTドコモや一部のMVNO端末で利用できますが、KDDIやソフトバンクのAndroid端末では利用できないので、乗り換える際には注意してください。
楽天Edyは、Edyの残高のみを移行するパターンと、Edyの残高に加えメールアドレスやクレジットカード情報などといったユーザー情報を移行するパターンの2種類があります。残高のみ移動する場合は無料で移行できますが、残高とユーザー情報を移動する場合は手数料100円(税別)が必要で、新機種でユーザー登録をする手間を省くことができます。手数料はデータ移行前に残高から差し引かれます。
Edy残高とユーザー情報を移動する場合の手順(楽天Edy公式サイトより引用)
データを受け取る際はアクセスコードやパスワード、ID番号などの情報を入力しなければならないため、しっかりメモを控えておきましょう。旧端末から新端末へ機種変更してしまった後に、データ移行手続きを忘れていたことに気付いた場合でもデータの引き継ぎは可能ですが、コールセンターに電話をしなければならず、手間や時間がかかります。モバイルSuicaでは再発行と同様の扱いとなるため、510円の手数料が必要になります。
2. 旧端末からデータを削除して、新端末で再登録する
旧端末で登録したデータを削除して解約処理をおこない、機種変更後に再度会員情報などのデータを再登録します。該当するサービスは以下の通り。こちらも会員情報を入力しないとデータを引き継ぐことができないので、メモを取っておくと安心です。
サービス | 新機種での設定方法 |
---|---|
モバイルdポイントカード | 会員情報を入力してログイン |
ANAスマートフォンSKIPサービス | 会員情報を入力してログイン |
JALタッチ&ゴーサービス | 会員情報を入力してログイン |
ゴールドポイントカード | 会員情報を入力してログイン |
ローソンモバイルPonta | 会員情報を入力してログイン |
ビックポイントケータイ | 店舗で手続き |
ビックポイントケータイを引き継ぐ際は、アプリやデータを削除しなくても、旧機種のビックポイントケータイアプリからログアウトして新機種でログインすれば、データを引き継ぐことができます。
ただしガラケーからスマホに変更する場合は、店舗に新端末と旧端末(通信が可能な場合のみ)、ビックポイントカードを近くのビックカメラ店舗に持っていき、店頭で移行手続きしてもらう必要があるので注意してください。
3. 事前の手続きはせず、新端末で再度設定する
データ預け入れの手続きやサービスの解約手続きなどの処理は一切不要で、機種変更後に再度会員情報を登録します。新しい端末からマイページにログインすることで残高の移行をしたり、会員証をダウンロードしたりといった手続きができるようになります。該当サービスは以下の通りです。
サービス事業者によってデータの移行方法が違い、事前手続きが不要なものもあれば、数分時間がかかるものもあります。機種変更手続き間際に慌ててしまわないよう、時間に余裕をもってデータ移行をおこないましょう。
おサイフケータイでデータ移行する時の具体的な手順
本記事では、モバイルSuicaのデータ移行方法を例に、おサイフケータイでデータ移行をする時の具体的な手順を詳しく解説します。
モバイルSuicaでは、旧端末で登録した情報や定期券、チャージ残高などを一旦サービス事業者のサーバーに預け、機種変更後に新端末で預けたデータを受け取ります。改札の中へ入場した状態での手続きはできませんので、改札を通過していない状態でおこなうようにしてください。
旧端末での操作手順
「モバイルSuica」アプリを起動し、[その他]タブから[会員メニュー]を選択します。
続いて[会員メニュー]を選択して進み、次の画面で[携帯情報端末の機種変更]をタップします。
「携帯電話機種変更確認」の内容に目を通したら、[機種変更する]をタップします。数分後に「機種変更受付完了」画面に切り替わるので、[終了する]を選択してください。
機種変更前の準備はこれで完了。あとは各キャリアで機種変更の手続きをおこないます。
新端末での操作手順
新端末が手に入ったらモバイルSuicaアプリを開き、「入会画面」右上の[再発行・機種変更の方はこちら]を選択します。
「会員情報確認」画面に移るので、登録したメールアドレスとSuicaパスワード入力してログインします。
必要であれば携帯電話情報を変更し、[初期設定をする]をタップして次の画面で[実行する]を選択すれば、データの引き継ぎは完了です。
MNP時やMVNOへの乗り換え時に注意
MNPする場合の注意点
現在利用している通信会社で契約した携帯電話番号のまま、他の通信会社へ乗り換えることをMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)と呼びます。MNPをする場合も同様に、利用しているサービス事業者に合わせて上述の3つのうちの該当する方法を選んでデータ移行をおこなってください。MNP手続き中にデータ移行をするとトラブルになりかねないので、事前に必ず準備を済ませておきましょう。
おサイフケータイに対応するSIMフリースマホの一つ「arrows M03」
また、乗り換え先の通信会社でもおサイフケータイを利用したい場合は、新端末がおサイフケータイ対応の機種か確認する必要があります。MNP前と機種が違う場合でも、旧機種で利用していたものと同じサービスが利用できればそのままデータの引き継ぎが可能です。新端末が利用していたサービスに対応しているかチェックしておきましょう。
MVNO(格安SIM・スマホ)へ乗り換える場合の注意点
格安SIMやMVNOを提供しているMVNOで販売されているSIMフリーの機種でも、おサイフケータイ対応機種であればデータを引き継ぐことができます。以前はドコモユーザーしか利用できなかった「iD」も、MVNOで販売される一部機種で利用できるようになりました。現在、利用可能な端末をリストにまとめました。
ソニー | XPERIA J1 Compact |
富士通 | arrows M02/RM02 |
arrows M03 | |
ARROWS M357 | |
シャープ | AQUOS SH-M02 |
AQUOS SH-RM02 | |
AQUOS mini SH-M03 | |
AQUOS SH-M04 | |
AQUOS L2 | |
トリニティ | NuAns NEO [Reloaded] |
ドコモ以外から提供されていて「iD」利用が可能な機種(2017年7月時点)
dカードやdカードminiはドコモ利用者のみのサービスになるので、MVNOで販売されるSIMフリー端末では原則利用できません。モバイルSuicaや楽天Edyなど、iD以外のサービスは利用できますが、上表以外の機種ではiDを使えないので、乗り換えをする際は新端末に旧端末で利用していたサービスが使えるのか、確認するようにしましょう。
まとめ
おサイフケータイのデータ移行は、画面の案内に沿って操作するだけの簡単な手続きがほとんどで、所要時間は数分程度です。ただ、データ移行を事前に済ませておかないと、新端末でおサイフケータイがすぐ利用できないうえ、旧端末を誰かに譲渡したり売ったりする際、端末にデータが残ったままになってしまう可能性があります。
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機種変更などの手続きをしてしまった後でも、サービス事業者のコールセンターに連絡して手続きをしてもらうことも可能ですが、スムーズな移行にはやはり事前に手続きをしておくことをおすすめします。機種変更やMNP先の端末でもおサイフケータイを利用したい場合は、機種選びの際におサイフケータイ対応かをしっかり確認しておくことも重要でしょう。
構成・文:吉成早紀
編集:アプリオ編集部