レシートをカメラで撮影するだけで、簡単に家計簿を付けられる便利アプリが人気です。なかでも、評価が高くユーザー数も多いのが「Zaim」と「マネーフォワード」。そこで今回は、レシート読み取り精度や共有機能、外部連携できるサービスの幅など、両アプリの使い勝手を比較してみました。
レシート等の読み取り精度を比較
レシートを撮影するだけでOK!とはいえ、どの程度の読み取り精度なのかを比較してみようと、コンビニ・カフェ・居酒屋・衣料品店など日常生活でよく使う店のレシートで検証しました。
Zaim
読み取りは、ホーム画面右下にある緑色の丸十字のマークを押し、[レシート入力]をタップします。
カメラが起動するので、レシートを撮影します。コツはレシートから10センチほど離し、なるべく明るいところで真上から撮影することです。合計金額はもちろん、店名やお店の番号、それに買った商品も読み込んでくれます。
驚きなのが、買い物をしたのは確かだけれど何を買ったのかを忘れてしまったというレシートでも、そこに記された店名、住所から店を洗い出して、買ったものが雑貨だったとか、食料品だったというのを判別してくれる機能です。
読み取り精度も優れており、レシート20枚で試したところ数字の間違いは1枚もありませんでした。ただし、商品名の読み取りにやや難があり、例えば「カットクルーカーディガン」が「カヲルクルーカーディガン」になったり、商品分類が違っていたりすることがありました。
正確に記録したいという人は再撮を何度か試してみる、あるいは撮影後に手打ちで修正する必要がありそうです。そこまでこだわらないという人にとってはストレスなく使えるでしょう。
マネーフォワード
Zaim同様、右下に十字マークがあるのでタップし「レシート読み込み」を選択します。
レシートは折ったり曲げたりして保管すると、撮影の時に厄介です。ノートに挟むなど、きれいな状態で保管するように心がけたいところです。
店名や商品名、合計金額などが記録されるのはZaimと同じですが、金額の間違いが散見されますから、読み取り精度に関していえば、現時点ではZaimのほうに軍配が上がりそうです。ただし、この問題は開発元にも寄せられているようで、精度アップに注力中であるといいます。
一方、「食費」や「日用品」といった商品分類はかなり豊富で、「趣味・娯楽」「プレゼント費」などの項目も並びます。こうしたカテゴリー分けは読み込み後に手作業での入力になりますが、細かく管理したいという人にとっては嬉しい機能でしょう。
グラフ表示などの使い勝手を比較
続いて、グラフやカレンダー表示など、ユーザーインターフェイス面から使い勝手をみていきます。
Zaim
使った金額は月・週それぞれのトータルと、その日に使った金額が表示されます。その横には、登録した月の予算から算出した残金が表示されます。
この機能こそ節約への道しるべ。いかに予算内で収めるかは初めのうちはプレッシャーになるかもしれませんが、これが無駄遣い予防となり、やがて節約マスターの道へと導きます。
上段のタブは左から「ホーム画面」「履歴」「月ごとのグラフ」です。「履歴」の画面でこれまで記録した支出詳細が見られるほか、表示切替をすると1日ごとの支出がカレンダーで確認できます。
全体的にシンプルかつ直感的なUIで、不慣れなユーザーでも、操作に手間取ったりイライラしたりせずに使えそうです。これなら続けられる、という声も少なくないようです。
マネーフォワード
マネーフォワードのホーム画面には、月の収支とグラフがあります。スクロールしていくと最近の入出金の画面が表示され、その下には投資や節約、保険などに関する記事が出るのが特徴的です。ちょっとした時間でお金に関する情報も得られます。
グラフは月ごとだけでなく年ごとのものも用意され、長期的な資産管理にも活用できそうです。無料版に限ったことですが、下のスペースに広告が表示されるのが鬱陶しいところ。とはいえ、全体的にはシンプルな作りになっているので、気になって仕方がないというレベルではないでしょう。
家族等との共有機能を比較
Zaimとマネーフォワードともに、夫婦や家族間での共有が可能です。操作方法はシンプルそのもので、どちらのアプリも同じメールアドレスとパスワードでログインするだけ。このアカウントで夫婦や家族の収支を記録させていけば、家計をまとめて管理できるというわけです。
一人でコツコツ付けるよりも、複数でやったほうがモチベーションも上がりますし、長く続けられそうです。また、どちらのアプリにも購入した商品ごとにコメントを残せるため、細かい部分の情報も共有できます。
もちろん、家計簿を共有しながら、自分だけの収支も確認したいというケースもあるはず。そうしたニーズにも応えていますが、両アプリとも有料機能となっています。
銀行口座などとの外部連携機能を比較
Zaimとマネーフォワードの特徴として、使っている銀行口座やクレジットカード口座を登録すれば、入出金やカード履歴データを自動で取得し、家計簿に反映してくれる外部サービスとの連携が挙げられます。
Zaim
Zaimで連携できるのは銀行口座、クレジットカード、デビットカード、モバイルSuicaやnanacoなどの電子マネー、それにJALやANAなどのポイントカードです。
連携可能な金融機関は約1500となっており、主要なものはカバーできるでしょう。公共料金や電話代などの月々の引き落とし代金をわざわざ別で計算する必要がないので、おおよそのお金の流れを把握できるのではないでしょうか。
マネーフォワード
Zaimのように銀行、クレジットカード、電子マネーとの連携ができるのはもちろん、マネーフォワードの場合は証券口座やFX口座などとも連携でき、資産運用の性格が色濃くなっています。連携できる金融機関は2580以上で、連携すればポートフォリオも自動で作成してくれるなど、資産運用の意識をより高めてくれるでしょう。
銀行口座は契約者番号か店番号と口座番号を、また証券口座は(金融機関によって異なりますが)口座番号やユーザーID、ログインパスワードなどを入力することで登録できます。口座登録というと個人情報の面で不安を覚える人もいるでしょうが、金融機関にアクセスするためのデータはすべて暗号化して保存するなど、金融機関と同水準での保護をおこっなっているとしています。
まとめ
今回の比較だけでいえば、「Zaim」はレシート読み込み精度が高く、UIもシンプルなので日常生活の収支を把握したい、あるいは気軽に家計簿を始めてみたいといった人向け。一方の「マネーフォワード」は、外部連携サービスに長けているため、家計簿から将来的には本格的な資産運用に役立てたい人向けといった印象を受けました。
それぞれの特徴を念頭に、実際に試しながら自分のスタイルに合った家計簿アプリを上手に活用したいものです。