タブレットと言えば、iPadが定番の選択肢となっています。その一方で、サムスンの「Galaxy Tab S9」シリーズも、iPadにも匹敵する魅力的なモデルをリリースしています。
そこで今回は、Galaxy Tab S9シリーズ(「Galaxy Tab S9」「Galaxy Tab S9+」「Galaxy Tab S9 Ultra」)の3モデルをiPadと比較しながらレビューします。
Galaxy Tab S9シリーズのバリエーションまとめ
まずは、Galaxy Tab S9シリーズの3モデルを簡単にまとめていきます。小さなモデルから順に、各モデルのポイントを比較します。
Galaxy Tab S9


シリーズ最小のGalaxy Tab S9は11インチディスプレイを搭載する
ディスプレイサイズが11インチのスタンダードなタブレットです。解像度は2560×1600と精細で画質は文句ありません。プロセッサは「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」ととても高性能。ただし、このモデルのみメモリが8GB、ストレージが128GBとなります。
本体サイズは165.8×254.3×5.9mm、本体重量は498gとスリムですが、実は3モデルの中で最も厚みがあります。バッテリーは8400mAhと十分な容量で、防水・防塵にも対応しています。
価格は3モデル中、最も手ごろな12万4799円、サイズもスタンダードな使いやすい製品です。
Galaxy Tab S9+


Galaxy Tab S9+は12.4インチの大画面モデル。アウトカメラは2つに
12.4インチの大画面モデルで、解像度は2800×1752です。ディスプレイは文句なしの美しさで、防水・防塵にも対応します。プロセッサは「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」を搭載し、メモリが12GB、ストレージが256GBと構成も上位クラスになります。
本体サイズは185.4×285.4×5.7mm、本体重量が581gと画面サイズを考えるとかなりの薄型軽量モデルです。見るからにスタイリッシュなデザインで、実物を目にすると必ず欲しくなるでしょう。12.4インチディスプレイはなんとか持ち歩ける範疇に収まっています。なお、このモデル以上はアウトカメラが2眼になります。
12インチ以上の大画面タブレットが欲しい人に向いています。
Galaxy Tab S9 Ultra


14.6インチの超大画面タブレットは、額縁が細くて素晴らしいデザイン
前代未聞の大画面タブレットがGalaxy Tab S9 Ultraです。ディスプレイはなんと14.6インチ(2960×1848)という大画面。732gの重さでカバンに入れて持ち歩くと少々荷物になります。家や会社に据え置いて使うのが一般的な利用スタイルになりそうです。
サイズは208.6×326.4×5.5mmともちろん3モデル中で最大ですが、実は本体が最薄です。額縁も極めて細く、見るからに先進的なデザインのタブレットといえます。また、バッテリーは1万1200mAhと大容量であるものの、実駆動時間は他のモデルとさほど変わりません。このモデルのみ、インカメラもデュアルカメラとなります。
とにかくディスプレイが大きく作業範囲の広いタブレットは仕事にも向いています。ただ、20万9799円からと本体価格が高いのがネックになるでしょう。
基本スペックをiPadと比較
Galaxy Tab S9シリーズの特徴を簡単にまとめていきます。
上位モデルなので、CPUは2023年の最高性能のチップを搭載。どんな作業もテキパキと快適に使えるはずです。専用のキーボード付きカバーも販売されており、パソコンのようなスタイルでも利用できます。ただし、カバーやケースなどの種類は多くありません。
iPadと違ってストレージの容量は固定で選択できません。代わりにmicroSDカードによるストレージの増設に対応します。これは、ユーザーによって良し悪しが分かれるところです。
残念なのが、Cellularモデルを用意せず、Wi-Fiモデルしか選べないことです。モバイルデータ通信を利用したい場合は、「Galaxy Tab S9 FE」または「Galaxy Tab S9 FE+」のいずれかを購入する必要があります。この点は、iPadに大きく水をあけられています。
逆に、Galaxy Tab S9シリーズ3モデルは、すべて指紋センサーを搭載します。顔認証も使えるのはとても便利です。iPadは、iPad AirやiPad miniなど一部機種のみで指紋センサーを搭載します。

Galaxy Tab S9シリーズは、画面内蔵の指紋センサーを搭載するのが素晴らしい
画面サイズはGalaxy Tab S9 Ultraが他の追随を許さず
Galaxy Tab S9とiPad Pro 11インチモデルは、ディスプレイサイズが同じなのでちょうどライバル機種になるでしょう。Galaxy Tab S9+は、iPad Pro 12.9インチモデルがライバルと言えそうです。
ところが、14.6インチのGalaxy Tab S9 Ultraは、iPad Pro 12.9インチモデルよりもはるかに画面が広く、最大級のタブレットとしてライバルのいない存在です。少しでも大きな画面が必要なら、Galaxy Tab S9 Ultraは最良の選択です。
iPadとGalaxy Tab S9シリーズを比べると、画面サイズだけでなく縦横比が異なることもわかります。iPadのほうがより正方形に近く、インチ数の割には画面の面積が広く感じられます。使い勝手は優れていますが、映画やドラマを見ると黒帯の表示が多くなります。
画質はどちらも非常に美しく、優劣が付けがたいところです。

Galaxy Tab S9とiPad Pro 11インチを並べた。面積はiPadのほうが大きい

Galaxy Tab S9+とiPad Pro 12.9インチも同様に、面積はiPadの圧勝だ

Galaxy Tab S9 UltraはiPad Pro 12.9インチモデルをしのぐ大画面モデルだ
専用ペン「Sペン」が付属、書き味・使い勝手は?
iPadはおなじみのApple Pencil、Galaxy Tab S9シリーズはSペンに対応しています。どちらも専用のペンなので書き味は上々です。
大きな違いは、OSの対応です。iPadはOSの標準機能としてメモを快適に利用できたり、文字入力を手書きでできたりします。対して、Galaxy Tab S9シリーズは書き味こそ文句なしですが、OSのペン対応がいま一歩です。また、サードパーティ製のアプリもペンに最適化されているものが多くありません。
ペンの使い勝手に関しては、iPadが圧倒的に優れているといえそうです。

Galaxy Tab S9シリーズは付属の「Sペン」で手書きが可能
性能はiPad Proの圧勝(ベンチマーク比較)
Galaxy Tab S9シリーズは、前述のようにプロセッサに「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」を採用しており、Androidタブレットの中では最高クラスの性能です。ヘビーなゲームや写真編集などに利用しても挙動が重く感じることはないでしょう。
ところが、性能的にはiPad ProのM2チップに遠く及びません。今回はGeekbench 6のスコアを比較しています。OSも違うのでベンチマークは参考値ですが、性能の差は圧倒的といえるでしょう。
4K動画の編集や3DCG制作などの重い作業をしたいなら、iPad ProのM2チップ搭載モデルを選ぶべきです。

Galaxy Tab S9のベンチマーク

Galaxy Tab S9+のベンチマーク

Galaxy Tab S9 Ultraのベンチマーク。Galaxy Tab S9シリーズは、同じCPUを搭載するのでベンチマークのスコアもほぼ同様だ

iPad ProのM2チップは比べものにならないほどの高性能だ
まとめ
言うまでもありませんが、Apple製品が好みでiPhoneやMacを使っている人がタブレットを買うなら、iPadを選ぶのが正解です。逆に、Androidスマホを使っている人にとって、ファイルのやりとりなどの親和性はGalaxy Tab S9シリーズのほうがよいでしょう。
周辺機器などの環境を考慮せず単純にタブレットを選ぶなら、タブレットのシェアで圧倒しているiPadをおすすめします。Galaxy Tab S9シリーズは、スリムでスマートなデザインと美しいディスプレイが魅力ですが、残念ながら価格を含めて、現時点でiPadを逆転するのは難しいと言えそうです。
そんな中でも、独自の魅力を打ち出しているのがGalaxy Tab S9 Ultraです。Sペンを使って手書きのノートなどを書いていると、広い画面のメリットを明確に感じられます。ただし、価格はもう少し安くなってほしいところです。