「Enlight」を端的に評すれば、文字通り"最強"のライトユーザー向けiPhone向け写真加工アプリだと言えます。アップルによって2015年のベストアプリ1位に選出されており、実際にその評価に相応しいクオリティを備えています。
おそらく大半のiPhoneユーザーにとって必要十分だと感じられる加工機能を利用でき、画像編集は概ね「Enlight」ひとつで済ませられます。ただし、「Enlight」が"最強"たりうる理由は、その加工機能の豊富さにはありません。数多くの加工機能を搭載した写真加工アプリはApp Storeでいくらでも探し出せますが、Enlightが最も気を配っているのは数多くの加工機能をできるだけ使いやすくすることだからです。言い換えれば、「Enlight」は「何ができるのか」よりも「どのようにできるのか」に重きを置いているアプリケーションなのです。
そこで、この記事では、簡単でストレスのない写真加工を可能にしていることを重視する視点から、開発チームが「革新的なワークフロー」と表現しても違和感なく受け入れられる理由を5つだけ挙げてみました。
理由1:ヘルプ&チュートリアルの親切さ
一般的に写真の加工機能の豊富さに比例してユーザーに習熟度が求められがちになります。それは「Enlight」においても例外ではありません。
そこで非常に親切なヘルプ機能が効いてきます。各機能を初めて使う際にアニメーション付きの解説が表示されるとともに、その解説は機能を適用する画面上でいつでもドロップダウン表示できるのです。
たかがヘルプ機能と侮る見方もあるかもしれませんが、この充実したヘルプ機能は特にライトユーザーにとって心強い存在で、アプリのアクティブ率を高める働きをしているのは間違いないでしょう。
また、いくつかの作例の作成方法を説明してくれるチュートリアルもありがたいところ。どのように各機能を組み合わせれば画像を上手に加工できるのか、段階を踏んで教えてくれるので、初心者でもやる気にさせられます。
できるだけ簡単に加工を楽しんでもらおうという開発チームの信念が如実に現れているのが、ヘルプとチュートリアルの親切さです。
理由2:写真への高いアクセス性
この手のアプリでストレスを感じるのは、加工したい写真を選ぶときにいちいちiPhoneの写真アプリを開くことになること。
この点、「Enlight」では画面下部に写真のサムネイルが表示され、スワイプして選択可能。また、サムネイル一覧を上に引き上げれば、全ての写真を表示できる仕掛けで、すべてをアプリ内で完結させられます。
理由3:メニューまわりの快適さ
基本的に画面下部を写真選択に占有させているため、ツール選択メニューは画面右側に表示させるようになっています。このツール選択メニューは、スワイプもしくは右上のメニューアイコンから引き出したり、隠したりすることができ、可能な限り視界の邪魔にならない工夫が施されています。
ツールを選択して実際に加工していく段階になると、各ツールの機能は画面下部に表示され、最も重要な写真そのものの表示を阻害しません。加工を適用する強度は横スワイプで調整します。
理由4:簡易レイヤーのマスク機能で加工の"重ね着"
Photoshopなどでお馴染みのレイヤー機能を搭載した画像編集アプリを使った経験があれば、スマホでレイヤー機能を使いこなす難しさを理解できるのではないでしょうか。
「Enlight」の開発チームは、ライトユーザーにとって取り扱いに難のあるレイヤー機能ではなく、より簡易で実用的なマスク機能を選択しました。
マスク機能では、加工を適用する範囲を消しゴムツールなどで調整できます。つまり、画像全体に一律に加工を適用するのではなく、画像の好きな箇所に自由に加工を重ねていけるわけです。本格的なレイヤー機能のようにレイヤーごとに順不同で編集することはできませんが、そこまで複雑な加工を求めていないユーザーにとっては適度な簡易レイヤー機能となっています。
理由5:操作履歴・プリセット・セッション・編集過程の保存
操作履歴の保存
素材の写真を加工していく履歴が自動で保存されていくので、操作を巻き戻して加工前の写真に復元することができます。写真加工ツールでは定番機能のひとつでしょう。
プリセットの保存
フィルタツールや絵画・スケッチのアートツールなどの複数の加工ツールでは、ワンタップで効果を適用できるプリセットが用意されています。
そして、このプリセットは自分で作成可能。調整した状態をプリセットとして保存できるので、お気に入りの調整をそのまま繰り返し使えます。
セッションの保存
加工の途中の状態を「セッション」として保存しておけるので、複数の写真を同時並行で加工していけます。
編集過程の保存
「Enlight」には充実したチュートリアルとヘルプが付いていますが、より柔軟に使い方を教えられるのはユーザー自身です。
そこで活躍するのが「アニメート」と呼ばれる機能です。画像の編集過程を動画として保存でき、利用した機能を紙芝居のように順に見せていけるので、同じようなテイストの画像を作成したいという他のユーザーに簡単に過程を教えることができます。
「Enlight」がユーザーの使い勝手について熟慮していることの現れが、このアニメート機能だと言えるでしょう。