Web上には、無料で使える翻訳サービスが多く存在し、スマートフォン向けのアプリを出しているサービスもあります。カメラを使った翻訳機能など、翻訳サービスの多機能化が進む一方で、ユーザーが求め続けているのが翻訳文の自然さです。
今回は、かねてより翻訳文の質の高さが話題となっていた「DeepL翻訳」を実際に使ってみてレビューします。
DeepL翻訳とは?
「DeepL翻訳」は、DeepL社の提供する機械翻訳ツールです。Web上に無料公開されており、誰でも登録不要で利用できます。
2020年3月に日本語と中国語の翻訳に対応し、現在(2020年4月時点)は11の言語を翻訳することができます。他の翻訳サービスに比べると、対応言語数はまだ少ない印象です。
DeepL翻訳で対応している言語(2020年4月時点)
基本的に無料で使用できますが、一度に翻訳できる文字数に制限(5000字以内)が設けられています。業務などで長文の外国語を翻訳する必要がある場合は、有料版の「DeepL Pro」の契約も検討してみましょう。個人向けだけでなく、チーム向けのプランも用意されているので、自身の状況に合わせてプランを選んでみてください。
下記URLより、プランや料金等の詳細情報が確認できます。
なお、DeepL翻訳は、現時点でPC版(Mac/Windows PC)のアプリしかリリースされていません。スマホからDeepL翻訳を使いたいときは、Webページにアクセスする必要があります。
DeepL翻訳の使い方
DeepL翻訳で実際に翻訳する手順を解説します。
【基本】Webページ上で翻訳する
前述のとおり、DeepL翻訳にはPC版のアプリしか存在しないため、スマホやタブレットから翻訳するときはWebページ上でおこないます。以下では、スマホ画面(iPhone)での操作方法を紹介します。
DeepL翻訳のページを開いたら、まずは「訳文」の言語を選択しましょう。「原文」に入力するテキストは、「訳文」で選択した言語に翻訳されます。
「原文」の言語も選択できますが、テキスト入力時に自動的にどの言語かを判定してくれるので、わざわざ選択しなくても問題ありません。
あとは、翻訳したいテキストを「原文」の欄に入力またはペーストするだけで、指定の言語に翻訳されます。原文のテキスト量にもよりますが、翻訳にかかる時間は数秒程度です。
なお、翻訳結果のテキストをコピーしたいときは、訳文の右上に表示されているアイコンをタップするだけでOKです。
【PCのみ】アプリで翻訳する
DeepL翻訳はMacとWindows PC向けにアプリがあります。
PC版アプリ(Mac)の画面
アプリ上での翻訳の手順はWebページ上と変わりませんが、いちいちブラウザを開いてアクセスしなくてよいのが便利です。
PC版アプリで特筆すべきは、テキストを選択した状態で「⌘/Ctrl+C」を2回押すと、アプリが起動して翻訳してくれる機能。Webページ上はもちろん、Wordのような文書編集ソフトやメールソフトなど、あらゆるテキストをすぐに翻訳できます。
テキストを選択した状態で「⌘/Ctrl+C」を2回押す
アプリが起動して選択したテキストを自動で翻訳してくれる
「⌘/Ctrl+C」は、テキストやファイルのコピーでよく使うショートカットコマンドなので、翻訳したい単語や文章があったときに、直感的に操作できるのが嬉しいポイントです。
また、アプリ別に「⌘/Ctrl+C」を使った翻訳のオン/オフが設定できるので、テキストのコピーをよく使うアプリで誤作動を防ぎたいときは、オフに設定しておくと良いでしょう。
PC版アプリは下記URLからダウンロードできます。
ダウンロード:WindowsとmacOSへDeepLを組み込む
翻訳の精度は高いが、使い勝手は今ひとつ
DeepL翻訳を実際に使ってみて感じたのは、評判通りの翻訳の精度の高さです。長めの文章の翻訳でも意味の通る日本語に翻訳してくれます。一方で、サービス自体の使い勝手はまだまだなところがあり、惜しいポイントでした。
意味の通る自然な文章に翻訳される
機械翻訳を使って翻訳をしてみたものの、文章が直訳調で堅苦しく、文意が読み取りづらかった経験はないでしょうか。一方で、DeepL翻訳は「翻訳が自然な日本語に近い」といったような評判がよく聞かれます。
どこかで聞いたあのフレーズも、どことなくこなれた印象に?(左:DeepL翻訳、右:Google翻訳)
筆者が使ってみたところでは、たしかに翻訳後の文章は日本語として不自然な感じがしないものも多く見られました。とはいえ、やはり限界はあるので文章の意味把握の一助として活用すると良いでしょう。
方言の翻訳が面白い
DeepL翻訳では、日本語の一部の方言を外国語に翻訳できる点も話題になりました。
くだけた表現の方言も翻訳できた
実際に方言を外国語に翻訳する場面は多くないと思いますが、自身の出身地の方言を外国語で表現するとどうなるのかを試してみても面白いかもしれません。
ちなみに、筆者の出身地(中部地方)の方言はまずまずの翻訳精度。主に関西方面の方言の翻訳精度が良いように感じました。
対応言語数は今後に期待
翻訳サービスは、翻訳の正確さや自然さだけでなく、幅広い言語への対応能力も求められます。そういった観点だと、現時点でサポートしている11言語はまだまだ物足りない数字と言えます。たとえば、Google翻訳は現時点で100言語以上に対応しています。
今後、翻訳結果のクオリティを保ちながら、対応言語が拡張されることに期待です。
スマホ版アプリもほしい
やはり機能面として最も「ほしい」ポイントは、スマホ版のアプリです。
スマホからの使用では、ブラウザを立ち上げてDeepL翻訳のページにアクセスしなければならないので、使い勝手としてはイマイチ。DeepL翻訳のページをブラウザのブックマークに追加したり、ホーム画面にショートカットを配置したり、といった工夫で対応する他ありません。
iPhoneでお気に入りサイトを一発表示、ホーム画面にブックマークアイコンを追加する方法【Safari】
PC版アプリの使い勝手が良いだけに、スマホ版アプリのリリースが待たれます。