「dヒッツ」ってどんな音楽サービス? 実際に使って感じた魅力と気になる点

プレイリスト再生が基本となる格安の音楽配信サブスク

音楽配信サブスクのコストを抑えたい人におすすめなのが「dヒッツ」です。好きな楽曲を選んで再生できるAmazon Music Unlimited楽天ミュージックなどとは異なり、dヒッツは4万以上のプレイリストから楽曲を再生します。

プレイリスト内の楽曲を選んで再生することはできず、先頭から順に再生されます。プレイリスト再生である代わりに、月額690円という格安の料金で提供されているのです。他の音楽配信サブスクとは異なる再生方式を採用しているので、合う人と合わない人がはっきり分かれてしまうかもしれません。

そこで今回は、実際にdヒッツを使ってみて感じたメリットやデメリットを紹介します。

初回登録時は31日間無料

dヒッツとは? 料金プランを解説

dヒッツ

「dヒッツ powerd by レコチョク」(以下、dヒッツ)は、NTTドコモが2012年7月より提供している音楽配信サービス。ドコモユーザー以外も登録できます。4万以上のプレイリストを好きなときに楽しめるというコンセプトで、邦楽を中心にさまざまな音楽コンテンツを配信しています。

2024年に利用料金が改定されましたが、同時に新しいサービスとしてレコメンドプレイリストやミュージックビデオのプレイリスト機能が追加されています。これにより、新しい音楽に出会える機会が増えました。

現在提供されているプランは、月額690円の「dヒッツ」と、月額330円で利用可能な「dヒッツ(300)」の2つです。

「dヒッツ」の料金プラン・機能の違い
  dヒッツ dヒッツ(300)
料金 月額690円(税込) 月額330円(税込)
初回31日間の無料期間
プレイリストの再生
楽曲のお気に入り
歌詞表示
オフライン再生
アーティストのフォロー
音質の切り替え(128kbps⇔320kbps)
myヒッツ ×
ミュージックビデオのプレイリスト再生 ×
視聴履歴からおすすめを表示 ×

(※)「myヒッツ」=好きな曲を選んで再生できる

dヒッツ(300)は、dヒッツから「myヒッツ」(後述)と「ミュージックビデオのプレイリスト再生機能」を除いた廉価版コース。視聴履歴からおすすめを表示する機能もありません。用意されているプレイリストを選んで再生することで完結します。一方のdヒッツは、myヒッツやミュージックビデオのプレイリスト再生などすべての機能を利用できる上位コースです。

どちらのコースも年間プランはありません。1年間利用したときの年間コストはdヒッツが総額8280円、dヒッツ(300)は総額3960円でコストパフォーマンスに優れています。

支払い方法は、ドコモ回線の契約者であればキャリア決済(電話料金合算払い)、ドコモ以外の回線の契約者であればクレジットカード払いとなります。

初回登録時は31日間無料

dヒッツの特徴・魅力

ここでは実際にdヒッツを使ってわかった特徴や魅力を紹介します。

4万以上のプレイリストを配信

dヒッツ プレイリストを探す
dヒッツ プレイリストを探す

dヒッツでは、[ホーム]や[検索]に表示されるプレイリストを再生して音楽を楽しみます。配信されているプレイリストは4万以上です。

dヒッツ プレイリストを探す

ジャンルごとにプレイリストが並んでいる

dヒッツ プレイリストを探す

再生中は歌詞の同期表示が可能

プレイリストは、人気のアーティストやランキング、ジャンル別、年代別、BGMなどさまざまな切り口で分かれています。

ジャンルは邦楽、K-POP、洋楽、アニメ、ボカロ/歌い手、EDM/DANCE、歌謡曲/演歌、ヒップホップ、ロックなどがあります。ジャズやクラシックは見当たりません。幅広いユーザーが好む音楽を網羅するというより、ターゲットを絞っているという印象です。

dヒッツ アーティストプレイリスト
dヒッツ アーティストプレイリスト

アーティストページからプレイリストを探す

視聴したい作品があるかはプレイリストの内容を見るまでわかりませんが、アーティストや楽曲名を入力してプレイリストを検索できます。また各プレイリストの最後にはアーティストの一覧が表示されていて、ここからアーティストページを開いて、他のプレイリストを探せます。

他の音楽配信サービスと異なるのは、プレイリストの再生方法です。プレイリスト内の曲を選んで再生することができず、必ず先頭の曲から再生されます。シャッフル再生もできないため、聴きたい曲があるときは、目的の曲が再生されるまで待っているか、スキップする必要があります。スキップの回数は無制限です。

歌詞の同期表示やオフライン再生にも対応します。プレイリスト単位ですが、[キャッシュ]をタップするとデータが保存されて、オフラインで再生できます。

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ミュージックビデオプレイリストも配信

dヒッツ MVプレイリスト
dヒッツ MVプレイリスト

dヒッツでは、ミュージックビデオもプレイリスト形式で配信されます(dヒッツ300は対象外)。検索画面の「ミュージックビデオ」タブを開くと、「ジャンプ系アニメ」「春ソング」をはじめ、ジャンル別、年代別の人気MV、アーティストごとのプレイリストが表示されます。リストは数曲から多くても30曲程度で構成されています。

音楽のプレイリストと同様に、ミュージックビデオもリストの先頭から再生されます。選曲ができないため、視聴したい曲があっても手動でスキップするか、再生されるまで待つしかありません。

初回登録時は31日間無料

フル再生を楽しむ「myヒッツ」

dヒッツ Myヒッツ
dヒッツ Myヒッツ

myヒッツでオンデマンド再生が可能

お気に入りの曲を好きな時に聴けないのはさすがに不便なため、dヒッツには「myヒッツ」という機能が用意されています。登録すると、スキップせずに選曲して再生できる機能です(ミュージックビデオは非対応)。

myヒッツへの登録は、アイコンをタップするだけ。myヒッツは毎月10枠分付与され、使い続けるほどに選曲できる楽曲が増えていきます。

myヒッツに登録した楽曲は、ライブラリの「myヒッツ」タブで確認可能です。さらに「myプレイリスト」から新しいプレイリストを作成することもできます。

dヒッツ ライブラリ
dヒッツ ライブラリ

ライブラリにはこのほか、お気に入りに登録したプレイリストや再生履歴、フォローしているアーティストなどがすべて表示されます。

よく聴いたアーティストやプレイリストなどもランキング形式で記録されているので、「あのとき聴いたプレイリストどこだっけ?」「よく聴いているアーティストは誰?」といったときに便利です。

初回登録時は31日間無料

dヒッツの惜しい点・注意点

実際に使ってみて感じたdヒッツの惜しい点と注意点を紹介します。これからdヒッツの登録を検討している人は、事前にチェックしておいてください。

お気に入りの楽曲にたどり着きにくい

dヒッツ フル尺再生

dヒッツではプレイリストにある曲を選択して再生できません。プレイリスト内でのスキップは無制限に可能ですが、1つのプレイリストに50曲前後の楽曲があるとリストの後半にある楽曲にたどり着くのは大変です。

また、アルバム単位で聴くこともできません。アルバム情報はありますが、特定の楽曲を聴きたいときはその曲が登録されているプレイリストを再生する必要があります。そのため、ピンポイントで聴きたい楽曲があるときは少し不便です。

オンデマンド再生したい人向けには、myヒッツ機能が用意されています。myヒッツ枠に登録した曲は、好きなときに選曲できます。ただしmyヒッツには制限があり、毎月10枠しか提供されません。アルバム1枚分登録したら終わりで、しかも一度登録した曲は変更できません。

dヒッツ myヒッツの登録可能期間

myヒッツには登録可能期間がある

myヒッツ枠には、付与月から起算して6カ月目の月末までという登録可能期間があります。つまり、楽曲を登録しないまま6カ月が経つとその月の月末で付与されたmyヒッツ枠は無効になります。聴き放題と言っても、好きな曲を自由に聴けるのとは少し違うと考えたほうがよいでしょう。

なおmyヒッツは、dヒッツのみ対応しています。dヒッツ(300)では使えません。また、ミュージックビデオはmyヒッツに登録できない仕様です。

通信量とストレージの消費量に注意

dヒッツ 音質

dヒッツの音質は128kbpsと320kbpsの2種類です。1時間のプレイリストを再生すると128kbpsで約57.6MB、320kbpsなら約144MBのデータ量を消費します。

データ通信向けの低品質設定がないので、回線の定額プランに加入していない場合、外出時にはできるだけオフライン再生を活用することをおすすめします。

dヒッツ キャッシュ

キャッシュすればオフライン再生が可能

オフライン再生するには、プレイリスト画面にある[キャッシュ]をタップします。楽曲単位ではキャッシュできず、常にプレイリスト全体を保存する必要があります。プレイリストの容量は50曲で180MB程度です。

いくつものプレイリストを保存するとストレージをそれなりに消費します。聴かなくなったプレイリストはキャッシュを適宜削除するといいでしょう。

契約日・解約日に注意

契約、または解約するタイミングには注意が必要です。契約日・解約日にかかわらず、毎月1日から末日までの1カ月分の料金となるためです。日割り計算もありません。

たとえば月末に契約すると、ほんの数日しか使っていないのにもかかわらず1カ月分の料金を請求されます。dヒッツは初回のみ31日間無料ですが、無料体験期間が終了するとその月から課金が開始されます。契約が発生した日が月末の場合でも1カ月分の料金がフルに請求され、月初めには再び月額料金がかかります。

こうしたことはFAQや契約注意事項に書かれているとはいえ、ユーザーが損をしやすい料金システムです。無料体験後にサービスを継続利用するつもりでも、タイミングによっては体験期間が終了する間際で契約をいったん解約し、月が変わるのを待ってから再契約したほうがよいこともあります。

サービスを解約するときも同じです。解約するとサービスが即使えなくなります。日割り計算による返金もないので、更新日近くで解約しないと払い損になります。

まとめ:dヒッツはどんな人に向いている?

dヒッツ

dヒッツは、格安で音楽配信サービスを利用したい人に向いています。月額690円で利用できるdヒッツは、他の音楽配信サービスよりもかなり安い水準です。myヒッツ機能やミュージックビデオを視聴しないのであれば、月額330円のdヒッツ(300)に変更するとコストパフォーマンスのよさはさらに際立ちます。

他の音楽配信サブスクと料金を比較
  料金 再生方式
dヒッツ
  • dヒッツ:月額690円
  • dヒッツ(300):月額330円
プレイリスト再生
SMART USEN 月額539円 チャンネル方式のラジオ型再生
Amazon Music Unlimited
  • 月額1080円(プライム会員は月額980円)
  • 年額9800円(プライム会員のみ登録可)
好きな楽曲を選んで再生できるオンデマンド再生
楽天ミュージック
  • 月額980円
  • 年額9300円
Apple Music
  • 月額1080円
  • 年額1万800円
Spotify Premium
  • 月額980円
  • 年額9300円
LINE MUSIC
  • 月額980円(LINE STOREから登録した場合)
  • 年額9600円(LINE STOREから登録した場合)

お気に入りの曲をオンデマンド再生する方法が限られているので、好きな曲を聴きたいという人には不向きですが、いろいろなプレイリストを再生して音楽を流し聴きしたいという人にぴったりです。

この点、U-NEXTが提供するラジオ型の音楽サブスク「SMART USEN」がdヒッツの競合とも言えます。1000以上の音楽チャンネルをラジオのように聴けますが、チャンネル内の楽曲はスキップすらできないという制限もあります。月額539円とdヒッツと料金面でも近く、検討の余地があります。

dヒッツは、最近流行っている音楽を聴きたい、作業中のBGMを流したいといったニーズに合うでしょう。4万以上のプレイリストがあり、新しい音楽にもきっと出会えます。普段聴かないジャンルの音楽や、新しいお気に入りに出会いたいという人に向いています。

初回登録時は31日間無料

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