4月3日〜5日まで開催されたイベント「コンテンツ東京2019」にて、TikTokを運営するBytedance(株)でブランド広告事業を統括する田村千秋さんが登壇し、「ショートムービーで心を掴む!新たな顧客接点を生み出すTikTok」というテーマで講演をおこないました。
拡大を続けるショートームービー市場で、急成長したTikTok。講演で明らかになったその強さの理由、そしてTikTokならではのマーケティング施策を本記事で紹介します。
いまVTuberがアツい、人気の要因と将来性をキーパーソンが語る
強みは「誰でもクリエーターになれる・楽しい時間を共有できる」こと
Bytedanceでブランド広告事業を統括する、田村千秋さん
TikTokは、中国の大手メディア「Toutiao」を運営するBytedance社が提供するショートムービープラットフォーム。日本では累計1000万ダウンロードを記録し、2018年四半期には世界一ダウンロードされている無料iOSアプリとなるなど、勢いが止まりません。
中高生のユーザーが大半を占めているイメージだったTikTokですが、2018年8月以降からは20歳代以降のユーザーも増加。現在、親子や夫婦、スポーツ選手など幅広い世代からのUGC(ユーザーが作成したコンテンツ)が投稿されているといいます。
講演の中で田村さんは、TikTokがここまで支持されるひとつの要因が「誰でもクリエーターになれること」であると述べています。そして、「ローンチ当初はプリクラのように自分を”盛る”ために使われるシーンが多かったが、最近はクリエーターとして自分を表現できるツールとしての要素が大きくなっている」と分析しています。
コマ送り効果や追跡機能、モーションキャプチャなど、多彩なエフェクトを生み出せるテクノロジーも推進力となり、UGCの表現の幅を広げています。また、15秒程度のショートムービーを、スマホで撮ったり見たり、友人と共有できたりするのは手軽でとても楽しいもの。「みんなで集まってTikTokで動画を撮る」その行為自体が、もはや遊びツールとしての価値を持つようになっているようです。
スマホネイティブ世代に、自然に楽しくメッセージを届けられる
では、TikTokを企業がマーケティングに活用する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。田村さんはその特徴について、次のように語っています。
「まず影響力の高いスマホネイティブ世代に確実にリーチできること、次にUGCを通すことで企業の伝えたいストーリーを楽しさとともに自然にユーザーに届けられること、最後に、視覚と聴覚をフル活用することで効率的に伝えられること」。
こういった特長を持つTikTokは、ほかのプラットフォームと比べても高いエンゲージメント効果を得られているといいます。
なかでも企業が決めたテーマ・楽曲に合わせた動画投稿を促進する「ハッシュタグチャレンジ」は、TicTokの強みを最大限に活かした看板商品。UGCに企業のストーリーを乗せて発信できるので、遊び感覚でユーザーを楽しませることができます。
江崎グリコが11月11日の「ポッキー&プリッツの日」に合わせておこなったハッシュタグチャレンジでは、開始日から数日で2370万回再生を記録。今では1億回再生を超え、大きく再生数を伸ばしているといいます。
「TikTokスタンプ」で広がる新たな可能性
田村さんは2019年1月から新たなマーケティング施策として「TikTokスタンプ」に力を入れていると述べています。
これは、動画に入れられるエフェクト「TikTokスタンプ」を広告企業が作れるといった企画で、ユーザーの表現の幅と、企業側がメッセージを伝える方法の両方を増やしていくのが目的とのこと。
また「広告業界のクリエーターが集まる部署を設立し、広告の企画から制作、進行まで提供するサービスを強化中」と、これまで以上にマーケティングに注力する旨を明かしています。
最後に「どのような手法がユーザーから共感を得られて、ポジティブに心を動かせるのかを考えて、企業のマーケティングに貢献していきたい」と講演を結びました。
今後、5Gの実現でいつでもどこでも動画を見られる世の中になった時、TikTokのこれまで以上の成長とさらなるマーケティング戦略に期待が高まります。