エディ・マーフィ主演、往年の人気映画待望の続編 底抜けに楽しく懐かしい『星の王子 ニューヨークへ行く 2』

エディ・マーフィ主演、往年の人気映画待望の続編 底抜けに楽しく懐かしい『星の王子 ニューヨークへ行く 2』

アメリカを代表するコメディアン、エディ・マーフィ。そんな彼の代表作の続編が30年ぶりにお目見えとなりました。

3月5日からAmazon Prime Videoで独占配信開始となった『星の王子 ニューヨークへ行く 2』は、1988年に公開された大ヒット作の続編です。アフリカ大陸にある架空の国・ザムンダ王国の若き王子が、理想の花嫁を探すためにお忍びでニューヨークのクイーンズにやってきて大騒動を巻き起こすというこの物語は、当時のNYのブラックカルチャーを生きいきと描き、エディ・マーフィのコメディセンスを世に知らしめました。

約30年の時を経て復活したこの続編では、主人公はザムンダの王となり、後継者を見つけなくてはならない立場となっています。そして、自身も知らなかった息子がいることを知り、再びNYへ向かうのです。

かつて自由を求めた主人公が、子どもたちに不自由を強いる立場に

過保護な両親に育てられ、何一つ自分で決めることを許されなかったザムンダの王子・アキームがNYに旅立ち、理想の花嫁リサと出会ってから30年。アキームとリサはザムンダで何不自由ない暮らしを満喫し、3人の娘も授かりました。

アキームの父が死を迎え、いよいよアキームはザムンダの王となる日がやってきます。王として王位継承者を決めねばならない立場になるアキームですが、ザムンダは伝統的に男しか王になれません。そんなある日、執事のセミが、実はアキームはNY滞在中に一度だけ子種を仕込んだことを告白します。アキーム本人は当時泥酔させられていたので知らなかったのですが、確かにその子供は存在し、NYで生きていることが確認されます。

アキームは憮然とするリサや娘たちをよそに、その息子を迎えに再びNYに向かうことに。その息子・ラヴェルはダフ屋として生計を立てているゴロツキで、突然のことに戸惑いながらも大金と贅沢な暮らしに目がくらみ、母親ともどもザムンダに行くことを決意。新しい王位継承者として迎えられることになります。

しかし、ラヴェルを待っていたのは、王子としてふさわしいかを見極めるための過酷な試練でした。そして、制約の多い生活にうんざりし始めます。一方、アキームの長女ミカは女だから継承権がないことを不満に思い、自分こそが女王にふさわしいと主張します。

アキームはかつて、両親に結婚相手を決められそうになり、それが嫌で国を飛び出しました。押し付けられることをよしとせず、自由に自らの意思で愛する人を見つける人生を選んだのです。その彼が、30年後には息子や娘から自由を奪うような立場になってしまっている点が本作のポイントです。

前作の懐かしの面々が勢ぞろい

本シリーズで主人公を演じるエディ・マーフィと、その執事・セミを演じるアーセニオ・ホールは、随所に登場する面白おかしい人物たちを特殊メイクで演じ分けています。前作でもいい味を出していた床屋の主人・クラレンスをエディ・マーフィ自らが演じて、床屋の従業員はアーセニオ・ホールが扮して軽快なトークを披露します。

今作でもそのユニークなやり取りは健在で、ブラウン牧師やいまいち人気のないシンガー、ランディ・ワトソンなど、前作で2人が演じ分けたキャラクターはほぼすべて再登場。ファンには懐かしい要素がたくさん詰め込まれています。初見の人には同一人物が演じていることが見破れないほど巧みに演じ分けられており、2人のコメディセンスの高さに脱帽するでしょう。

エディ・マーフィの魅力全開で、まるで30年後の同窓会のような雰囲気で楽しさいっぱいの作品です。

動画配信サービスの「Amazonプライム・ビデオ」では、『星の王子 ニューヨークへ行く 2』が見放題です(2022年5月10日時点)。

構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部