録音アプリ「HT Professional Recorder」が鉄板である3つの理由

HT Professional Recorder

iPhoneには音声を録音する「ボイスメモ」アプリが標準でインストールされています。手軽に録音するにはもってこいのアプリですが、日常的に使ううえで機能不足を感じることがあります。たとえば遠くの音を拾おうとすると、音がこもりがちです。音質も決して高いわけではありません。また、iPadには「ボイスメモ」アプリがインストールされていません。

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iPhone・iPadユーザーにおすすめしたい録音アプリが「HT Professional Recorder」。このアプリは、環境に応じて集音設定を切り替えることができ、近くの声も遠くの声をクリアに録音できます。また頭出しがしやすい再生機能のおかげで、録音した音声を何度も聞き返したり、文字に起こしたりという作業が楽におこなえます。

ただ、気になるのは1200円というアプリの販売価格。有料アプリとしては高額の部類に入ります。あえて購入する価値があるのかを判断するための材料として、「HT Professional Recorder」が鉄板の録音アプリである理由を3つ挙げてみました。

丁寧に作られた秀逸なインタフェース

HT Professional Recorder

一つの画面で録音と再生の両方が行える。マイクを相手に向けると録音ボタンが手前に来るインタフェースだ

「HT Professional Recorder」の起動画面は、ぱっと見なんだか整理されていない印象です。赤いボタンが録音ボタン(新規録音の[New]または録音再開・上書きの[Rec])であることは想像に難くありませんが、よく使うはずの録音ボタンが左上脇に押しやられて、それ以外の機能が幅をきかせています。

HT Professional Recorder

音を拾ったときにだけ録音を再開する「Skip Silence」オプションを用意

ただ使っていくうちに、これが意外にも使いやすいインターフェイスだと気付かされます。たとえばインタビューをするときはマイクを相手のほうに向けます。すると録音ボタンや停止ボタンが手前に向くため、むしろ押しやすい位置になります。録音ボタンが上のほうにあるのは合理的な理由があるのだということがわかります。

また結局のところ録音アプリは再生しやすいかどうかが特に重要です。もちろんしっかり録音されていることも重要ですが(これについては後述します)、録音自体はボタンを押すだけで済むのに対して、再生中はつねに一時停止や巻き戻し操作をしながら文字に起こしたり、聞き込んだりします。「HT Professional Recorder」では、画面の半分が再生機能で占められており、必要な場所を呼び出すための頭出しが実にスムーズです。

HT Professional Recorder:インジケーターと波形で早送り・巻き戻し

インジケーター・波形で頭出し

ほんの少しだけ巻き戻したい(早送りしたい)ときは、画面に常時表示されている波形をスワイプするだけ。また、楕円形のインジケーター下半分付近をスワイプすると、目的の位置まで高速で頭出しが可能です。動きがとても滑らかで、再生中にスイスイ動かして好きなところへ自由に移動できます。これを一度体験すると、標準のボイスメモで文字起こしをしようという気にはとてもなりません。

5秒間のスキップボタン(画面左上)や15秒前に戻る機能(中央にある録音時間のカウンターをタップ)も用意されており、連続でタップすることで聞き返したいところへ素早く戻ることもできます。

HT Professional Recorder

録音中、再生中を問わずいつでもブックマークを挿入できる

もう一つ便利なのがブックマークです。画面中央にある「★」をタップすると、頭出し用のブックマークが挿入されます。左右にある矢印のボタンで自由に行き来できる仕組みです。30分、60分と長時間の録音をするときでも、要所要所でブックマークを作成しておくことで一瞬で頭出しできるのが便利です。中央の一番目立つところにブックマークボタンがあるのも使いやすいところです。

このほか、0.5倍から2.5倍まで再生速度を変更する調節機能やリピートボタンもあります。「HT Professional Recorder」の再生機能への強いこだわりが伝わってきます。「HT Professional Recorder」は録音アプリではありますが、実際に再生して使うという部分まで丁寧に作られています。こういう部分をしっかり作り込んでいる録音アプリは、あまり見かけません。

4つの集音設定あり、音質が素晴らしい

「HT Professional Recorder」のこだわりは、音質にも見られます。近くの声を録音する「Very close(とても近い)」や、遠くにいる人の声をクリアに録音できる「Auditorium(講堂)」など、4つの集音設定が用意されており、録音する環境に応じて切り替えることができるのです。

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左:Very close右:Auditorium

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左:Conference room右:Music

録音は静かな場所でいつもできるとは限りません。打ち合わせなどはがやがやと周りがうるさいところですることがしょっちゅうあります。このようなときは「Very close」に設定すると、近くで話している声だけを明瞭に拾います。また会議のようにあちこちで人が話している環境で録音する場合は、近くの声と遠くの声をクリアにする「Conference room」がぴったりです。

実際に標準のボイスメモで録音した音声と聴き比べてみると、その差は瞭然です。とくに会議室や講堂向けの設定は遠くの声をクリアにする効果が大きく、イコライザーを使わなくても、聞き取りやすいレベルで再生できます。トークイベントや講演会の音声を録音するようなときは、遠くの声だけをよりクリアに再生できるので、聞き返すときの負担が大きく軽減されます。

録音ファイルは圧縮可能、パソコンへの保存や他ユーザーとの共有も容易

録音した音声はライブラリで管理します。ここでは「会議」や「勉強」などのフォルダを作ってファイルを整理したり、使用済みのファイルを圧縮してストレージを節約したりできます。大量の録音をする人には必須でしょう。

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左:録音したファイルはさまざまな方法で転送できる右:起動時に録音を開始する「Enable Startup Record」も便利そうだ

また、ファイルをパソコンなどに退避させたいときや、ほかのユーザーと共有したいときは、Dropbboxへのアップロード、メールやUSB、FTPやWi-Fiを使った転送機能が用意されています。こちらも機能としては十分です。

日本語化されていないが、納得の性能には1200円の価値がある

ネックなのは、アプリが日本語化されていないということです。簡単な英語なので操作自体に迷うことは少ないですが、多機能な録音アプリなので気になる人もいるでしょう。

ローカライズされているアプリが多い中、あえて英語のアプリ、しかも1200円もするアプリを選ぶ理由があるのか。筆者はその価値があると感じています。とくにいろいろな状況で録音することが多かったり、録音した音声をテキストなどに起こすことがよくあるなら、本アプリは手放せません。「HT Professional Recorder」は1200円という高価格帯のアプリですが、仕事で使うならお釣りが出るくらいに満足できる性能を有しています。これまでiOS標準のボイスメモで済ませていた人も十分に納得できるはずです。

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