Googleが、ユーザをだましてアプリをインストールさせるような悪質な広告プロモーションの撲滅に向けて動き出した。
悪質なアプリプロモーション手法を禁止
先日、アプリ開発者向けの規約である「Google Play デベロッパープログラムポリシー」に新条項の追加が実施され、さらに複数の条項に変更が加えられた。
ポルノに関する条項がより詳細なものになるなどいくつかの条項に変更があったが、注目すべきなのは新しく追加された「アプリのプロモーション」に関する条項。ユーザを欺くようなプロモーション事例を挙げ、アプリ開発者に対し、そのようなプロモーションに関与することを禁止するものだ。結果的に、悪質な広告を減らすことにつながるものとみられる。
「Google Play デベロッパープログラムポリシー」に掲載されている文言は以下のとおり(日本語と英語を併記)。
アプリのプロモーション
Google Play で公開されるアプリは、直接間接を問わず以下の活動に参加したり、以下の活動から利益を得たりしてはなりません。
- ウェブサイト、アプリなどの所有物での虚偽の広告経由のプロモーション(偽のシステム、サービス、アプリの通知や警告など)
- ユーザーに通知せずに Google Play へのリダイレクトやアプリのダウンロードを開始するプロモーションまたはインストール手法
- SMS サービス経由の未承諾プロモーション
広告ネットワークやアフィリエイトがこうした手法を使用して、アプリをダウンロードさせるページにユーザーを誘導することがないよう、デベロッパーが責任を持って管理してください。
App Promotion
Apps published on Google Play may not directly or indirectly engage in or benefit from the following behavior:
- Promotion via deceptive ads on websites, apps or other properties, including simulated system, service, or app notifications or alerts.
- Promotion or install tactics which cause redirection to Google Play or the download of the app without informed user action.
- Unsolicited promotion via SMS services.
It is your responsibility to ensure that no ad network or affiliate uses such methods to direct users to pages that make your app available for download.
Google Play
日本語訳がこなれていないため分かりづらいが、要は、Google Play上のアプリに対して、ユーザを欺くような広告・プロモーションに直接間接を問わず参加したり、そこから利益を得たりすることを禁じるものだ(詳細については、英文規約を確認してほしい)。
Googleは、新条項から読み取れる以上のことを公式に説明していない。少なくとも、一見してアプリのダウンロードページに進むことが分からないプロモーション手法や、そもそもが迷惑メールであるようなプロモーション手法は、広範囲にわたって規約違反となる可能性が高い。
悪質ポップアップ広告に関係する開発者はアカウント停止もありえる
もっとも注目すべきは、「広告ネットワークやアフィリエイトがこうした手法を使用して、アプリをダウンロードさせるページにユーザーを誘導することがないよう、デベロッパーが責任を持って管理してください。」として、アプリプロモーションに関する責任をアプリ開発者に負わせている点だ。このことは、「直接間接を問わず」という表現からも明らかだ。
つまり、外部の広告ネットワークやアフィリエイト事業者がアプリインストール数を伸ばし利益を得るために悪質な手法を採っているとしても、その責任はアプリ開発者に帰するということを意味すると考えられる。
一例を挙げると、ここ最近話題になったキングソフト社の事例がこの条項に抵触しそうだ。
- あの有名サイトでも表示、非常に悪質なポップアップ広告「今すぐ有害なウィルスを除去しましょう」に要注意
- Twitpic上の「警告!」悪質広告をキングソフトが釈明、「中国の代理店が勝手に」。取下げへ(更新) - Engadget Japanese
この事例は、サイト閲覧中に「今すぐ携帯をスキャンして有害なウイルスを除去しましょう。」という警告がポップアップ表示され、[OK]をタップして先に進むと、キングソフト製アプリ「CleanMaster」のGoogle Playダウンロードページにランディングする悪質な広告だったというもの。キングソフトによれば、広告自体は自社が制作したものでもなければ配信したものでもないという。
しかし、新条項に基づけば、このようなケースにおいてキングソフト側に責任が発生する可能性が出てくる。アプリがGoogle Playから削除されるケースや、最悪の場合、デベロッパーアカウントが停止されることもありうる。
Googleとしては、そのような悪質な広告を配信する広告ネットワークに対して自社アプリの広告が出稿されないようにアプリ開発者は手を尽くせ、という趣旨の条項なのかもしれない。
いずれにせよ、この新条項は、アプリ業界や広告業界に少なくない影響を与えそうだ。