KDDIが支援金制度を変更、問題視されていた販売手法に自らメス

KDDI au

KDDIは1日、複数のオプションを販売代理店への支援金の評価対象から外す措置を取った。有料オプションへの加入を条件としてiPhoneを実質0円で販売しているとして、ユーザや自治体、メディアなどから問題視されていたことに対応したものと見られる。朝日新聞が2日、報じた。

販売代理店を5段階にランク分けし、支援金

朝日新聞が入手したKDDIの内部文書によれば、営業実績に応じて1ヶ月あたり最大100万円ほどの支援金がKDDIから販売店に出されるとのこと。この営業実績は100点満点で点数化された上で5段階の評価ランクに分けられる。

問題視されている4つの有料オプション(auスマートパス、ビデオパス、うたパス、ブックパス)に全て加入させた場合、最高で合計8点が与えられる。auスマートパスの場合、販売台数の95%以上で加入させると4点だが、85%未満だと0点。100点満点で平均が40~50点程度ということなので、8点を獲得することは重要なポイントとなるのは明らかだ。

このような評価制度が、朝日新聞に『iPhone「0円」苦情の山 au、オプションめぐり』と報じられるほどの苦情を発生させる背景となったのは間違いないだろう。

「オプションサービスには必ず入ってもらいます」。大阪市中央区の家電量販店で記者が5cの購入希望を伝えると、店員の男性はそう話した。示されたのは、ゲームや音楽などのコンテンツが使い放題になるauスマートパス(月額390円)や、ドラマや映画が見放題のビデオパス(月額590円)など5種類のオプション。うち4種類は当初30日間は無料だが、翌月から毎月計1885円の利用料がかかり、2年間では4万円を超える負担になる。

手渡されたチラシには、「上記条件での販売は当社指定のオプションサービスにご加入頂く必要があります」とあり、記者が「オプションなら断れるはずだ」と話すと、店員は「手数料3150円を頂くかもしれない」と言って奥に入った。戻ると「加入しなければ、本体代金として3万1千円を支払ってもらう。オプションは無料期間中に解約すればいい」と譲らなかった。

加入後の解約について尋ねると、店員は「24時間はできない。スマートパスとビデオパスは自分で解約してください」と説明し、「オプション加入なしで購入できる店は少ない。他店はもっと多くの加入を求める」といらだった。
朝日新聞

10月には滋賀県野洲市がKDDIに販売改善要望書を提出するなど、消費者の不満の声は高まっていた。

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KDDIの見えざる手

KDDI広報は、「KDDIから販売代理店に対して、オプションへの強制加入を指示していない」と説明する。しかし、点数化によってオプション加入率が評価ランクへ直接影響し、支援金額が大きく左右されるとなれば話は別だ。KDDIの見えざる手によって、販売代理店が有料オプション加入を半ば強制するような販売手法を採ったのであろうことは想像に難くない。

支援金のランクが落ちれば経営が厳しくなることが目に見えている販売代理店に対して、このような評価制度を適用するとどのような結果を招くのか。KDDIが、不当販売につながりかねない状況を意図的に発生させていたと非難されても弁解の余地はないだろう。

朝日新聞によれば、KDDIは、前述の4つのオプションのうち、auスマートパスの配点を2点に変更し、その他3つのオプションを評価対象から外したとのこと。この措置によって、苦情件数を減らすことはできるだろうか。今後の状況の推移を見守りたい。

追記(22:07)

記事タイトルを変更しました。