KDDIの方針は「抱き合わせ販売を指示するが、不満があれば聞くよ」なのか? auショップに関するお客さまサポート窓口が設置

KDDIの対応は「抱合せを指示するが、不満があれば聞くよ」方式なのか? auショップに関するお客さまサポート窓口を設置

KDDIは7日、auショップ等における端末購入・契約などに関する不明点に関するお客様サポート窓口を設置し、電話対応を行うことを明らかにした。

au お客様サポート

このサポート窓口設置は、野洲市からKDDIに提出された販売改善要望書に代表される消費者からの不満の声に対応したものと思われる。

野洲市による販売改善要望

まず、野洲市の事例を簡単に紹介しておくと、同市在住の30代女性が今年8月、販売店でiPhone 5を購入する際に、複数のオプションへの加入や関連機器の購入、タブレット端末の購入および通信契約の締結などを勧められ、物販契約のみで12万円を超える契約をしたというもの。

iPhoneに機種変なのに充電器やカードリーダーも、総額12万円──KDDIに販売方法改善求め野洲市が要望書(ITmedia)

野洲市 KDDIに対する販売方法改善要望書 PDF

この消費者からの相談を受け、野洲市は、女性、販売店、KDDI滋賀支店、市民生活相談課の四者面談を実施。その結果、次の問題点が判明したことを、同市は販売改善要望書の中で明らかにしている。

  1. 当初見積もりに基本的な契約金額を示した上で、付属品やオプション契約の内容と金額を選択肢として示すのではなく、あらゆる付属品やオプション契約の内容と金額をセットにして提案する販売方法(注:抱き合わせ販売方法)がとられている点
  2. スマートフォン購入者全てに対して、顧客の使用目的や、知識・経験を考慮することなく、一律的にタブレット等の関連商品を勧誘している点
  3. 以上、2点について会社(注:KDDI)からの指示であることが確認された

※太字、注は筆者による

KDDIの説明と野洲市の調査結果、信用できるのはどちらなのか

抱き合わせ販売についてKDDIによる販売店への「指示」はあったのか、無かったのか。販売に際して、消費者に対する強制性は無かったのか。

KDDI 田中社長

野洲市の聞き取り調査結果と合わせて注目しておきたいのは、野洲市の販売改善要望書の提出前になされたKDDI田中社長の発言だ。

田中社長は、「抱き合わせ販売の指摘は存じ上げている。店頭には、オプションだと説明するよう改善を進めている。スマートパス系のサービスは、1カ月(無料で)お試し加入し、気に入らなければ解約していただけるが、逆の説明をしているケースがあるとも聞いている。(スマートパス加入を端末購入時の)必須条件にするのは許されないので、指導を進めたい」と話した。
ITmedia

この田中社長のコメントを検討すると、会社からの直接の「指示」があったか否かについては、どちらとも取れるコメントになっている。「知っている」「改善を進めている」「必須条件にするのは許されない」──これらは、おそらく全て事実だろうが、抱き合わせ販売問題などに対するKDDI本体の関与度は低いという見解を示している。

また、一連の問題の背後に「指示」があるのか否かについて、KDDIは次のように回答している。

KDDIに聞くと、「オプション契約にあたっては、お客様にお勧めするというもので加入を強制してはいません」と否定する。要望書の「会社からの指示」との文言にも「そういった事実はありません」と明言した。双方の言い分は食い違っている。
J-CASTニュース

しかし、本当に問題とされているのは、KDDIによる抱き合わせ販売の指示の有無ではなく、むしろ一般消費者にとって実質的に強制と感じられるような販売方法になっていることだろう。

取材した限り、KDDIはオプション加入を強制していません。しかし、少なくとも今回取材した3店舗中2店舗では、まるで禅問答のような言葉のラビリンスによって、オプション加入以外は認めない空気感を作っている、と感じました。
Engadget

「抱き合わせ販売を指示するが、不満があれば聞くよ?」なのか

仮に野洲市の要望書が事実だとすれば、オプションをセットにして「提案」する販売方法は会社からの指示であることが確認されており、これが半ば強制めいた販売体制につながっているものと思われる。

そうすると、今回のサポート窓口設置は、自ら指示しておきながらauショップなどの販売店に責任を押し付けているかのような対応となる。

サポート窓口があるのに越したことはない。だが、それ以前に「指示」をしないこと、「指示」を取り消すことの方が重要なのではないか。また、田中社長の「改善を進めている」というコメントが指示の取り消しを意味しているのであれば、その旨を公表すべきだろう。

au

今後、抱き合わせ販売の実質的な強制性が解消されていかないとすれば、何やら「やったもの勝ち」のような状況が発生することになる。つまり、KDDIが自らauショップに指示しておきながら、一部の敏感な消費者からの不満に対してはサポート窓口で対応、その他大多数の消費者に対してはオプションを強制に近い形で「お勧めする」ような状況になるということだ。

これでは、auショップに関するサポート窓口の設置は、「抱き合わせ販売を指示しているけど、不満があれば聞くよ?」という対応に感じてしまう人が多いのではないだろうか。

また、KDDIの主張どおり「指示」が存在しないとしても、このような問題が発生している以上、KDDI本体の責任は無視できないはずだ。

それにしても、ユーザとしては野洲市とKDDIのいずれの主張を信用すればいいのか?戸惑うユーザは少なくないだろう。

なお、オプションの代表格である「auスマートパス」の会員数は約800万人(2013年9月時点)となっている。