小型・軽量で高出力、20年寿命の次世代モバイルバッテリー「固体水素燃料電池」をロームや京大が開発 #CEATEC

固体水素源型燃料電池

CEATEC JAPAN 2013のロームブースでは、スマートフォンなどの充電、非常用ポータブル電源として期待される、固体水素源型燃料電池の試作品展示が行われていた。

期待される水素燃料電池

燃料電池とは、燃料を供給すると化学反応が生じて発電する発電システム。事前の充電などは必要なく、その場で電力を生み出すのが特徴だ。この固体水素源型燃料電池は、燃料電池ベンチャーのアクアフェアリー、京都大学、ロームが共同で開発に取り組んでいる。

固体水素源型燃料電池

仕組みとしては、燃料カートリッジ内にある水素発生剤に水が供給されると燃料となる水素が発生するが、これが発電ユニットに供給され、大気中の酸素と化学反応を起こす。この時に生じるエネルギーを電力として取り出す装置となる。

固体水素源型燃料電池

水素発生剤粉末を樹脂で覆い、シート状にして容器に収めることで急激な反応を抑えながら水素を発生するため、安全性も高い。また、発電時に使った水素ガスの分だけ容器内の圧力が低下し、別容器から水滴が供給されて水素が発生する“オンデマンド”な供給を実現する。

固体水素源型燃料電池

ブースでは、ハイブリッド高出力タイプの燃料電池ユニットのほか、スマホなどの充電向けの小型タイプの固体水素源カートリッジが展示。5gの固体水素源で5Whrの電力を発生させ、スマートフォンを1~2時間で1回フル充電するとしている。

重量はわずか89g、86×52×19mmの手のひらサイズとなっており小型・軽量だ。一般的な電池では放電のため保存は1~5年だが、同製品は劣化が少なく約20年の長期保存が可能だという。

固体水素源型燃料電池

なお、今年1月に開催されたCES 2013では、米ベンチャーによる燃料電池を活用したモバイルバッテリー「nectar」が登場し、大きな注目を集めている。しかし、ロームの固体水素源カートリッジは、このnectorをサイズや重さ、ランニングコスト等でも上回りそうだ。

今後サプライチェーンなどが順調に整えば、一気に普及する可能性を秘めた次世代モバイルバッテリーかもしれない。