浅野忠信と神木隆之介の実力派コンビが演じる正反対の絶妙バディ、ドラマ『刑事ゆがみ』

2017-11-20 19:53
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浅野忠信と神木隆之介の実力派コンビが演じる正反対の絶妙バディ、ドラマ『刑事ゆがみ』

子どもが必死に言い訳をする姿はどこか可愛らしいものです。大人は「仕方ないな~」という顔をしながらも話は最後まで聞いてくれて、でも何ひとつ言葉通りには信じない。大人の信念が瞳の奥からじわじわ染み出ていて、子どもはこれ以上何を言っても無駄だと思わされます。

ドラマ『刑事ゆがみ』で浅野忠信が演じる主人公・弓神適当(ゆがみ・ゆきまさ)は出世コースから外れた、どこかゆがんだ刑事です。いつも同じヨレヨレのスーツ。髪はボサボサ。基本、約束と時間は守らない。「目の前に閉ざされたものがあると、つい開けたくなっちゃうのよ~」と、鍵という鍵はとりあえずすべて開ける、違法捜査の名人。

でも、弓神と容疑者とのやり取りは、まるで言い訳をする子どもとそれを静かに見守る大人のようです。人はみんな自分が作った物語の中を生きていて、それが真実を歪めてしまうことがある。弓神は、そんな誰も気付かない僅かな「ゆがみ」を確実に捉える観察眼を持っています。

そんな弓神の相棒・羽生虎夫(神木隆之介)は、表に出ている情報を信じて疑わない正義感あふれる若者。出世欲盛んな「腹黒くん」ですが、弓神から見ればかわいいやんちゃ坊主です。

弓神はやたらと羽生の童貞エピソードをいじり、毎回都合よく振り回しますが、刑事に必要な「疑う勇気」を体で覚えさせようとします。一方、羽生は先輩である弓神にやたらと「クソヤロー」を連発しながらも、黙ってついていく。このドラマの最大の魅力が、この凸凹な2人のやり取りの面白さにあります。

刑事ドラマのベタな展開をいい意味で裏切り、容疑者たちの繊細な事情をきちんと汲み取って、最後に温かいライトを当てる本作。舞台となる「うきよ署」のインテリアセンスや、ストーリーのハイライトを盛り上げる挿入歌の優しい雰囲気など、刑事ものとしては珍しい、お洒落な演出にも注目です。

とにかく味のある刑事たちが解決する、味のある事件

刑事ゆがみ ドラマ 見逃し

弓神適当と羽生虎夫は、うきよ署の刑事課強行犯係でバディを組む刑事。後輩の羽生は、いいかげんで調子が良く、連携プレーを乱す弓神にうんざりしながらも、自分にない魅力をもつ彼に振り回されます。

彼らのもとには毎回、一見すると動機がシンプルな殺人事件や傷害事件が持ち込まれます。手早く出世したい羽生は結論を急ぎますが、真実にしか目を向けない弓神は、現場にある些細な違和感を必ず感じ取り、羽生を巻き込んで勝手に捜査し始めます。

係長の菅能理香(稲盛いずみ)は、弓神の自分勝手な行動に手を焼きながらも、彼の刑事としての勘を密かに信用する元同期。凛とした出で立ちで、弓神に対してはやたらと口が荒いところも魅力的です。

ハッカーのヒズミ(山本美月)も、無理難題を押し付けられながら、食べ物と弓神につられて毎回捜査に協力します。

意外にも民放連ドラ初主演の浅野忠信。軸のある俳優が演じる弓神の"適当"感はまさに粋の一言。本人が演技を楽しんでいる様子が伝わってきて、周囲から「あいつはしょうがないな〜」という許しが得られるキャラクターの魅力が存分に表現されています。

そして、芸歴が長く、実力派俳優でありながら年齢的に少年っぽい役柄が多かった神木隆之介。弓神に対する容赦ないツッコミっぷりは見どころのひとつで、相棒と息がしっかり合った演技に、貫禄すら感じます。

刑事ドラマには珍しく、女性陣が脚本を手がけている本作。犯罪を犯した女性の視点が丁寧に描かれていて、正解のないラストにどこか共感を覚えてしまいます。

毎回波乱の展開ながら、最後にどこか優しい気持ちになれる。これまでに観たことのない、癒し系刑事ドラマと言えるかもしれません。

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