今回は、Xperiaの上位モデルXperia 1 VIをレビューします。Xperia 1の6世代目のモデルになり、現時点では最上位機となります。
気になる価格はソニーストアのSIMフリーモデルで、18万9200円(税込)から。他にもNTTドコモ、au、ソフトバンクから発売されています。なお、今回はメーカーより借用したSIMフリーモデルをレビューします。
ディスプレイの縦横比が大胆に変わった
これまで、Xperiaの上位モデルは、ワイドなディスプレイを搭載していました。他のスマホに比べると細長く、1つ前のモデルXperia 1 Vも21:9の高解像度ディスプレイ(3840×1644)を搭載していたのです。
ところが、Xperia 1 VIは19.5:9と一般的なスマホと変わらない縦横比になりました。写真を見るにはXperia 1 VIの縦横比が向いている一方で、動画はXperia 1 Vまでの細長い画面がマッチします。縦横比が一般的に変わったのは賛否両論があるところですが、Xperiaらしさが失われたのは残念。また、精細な美しさではなくなり、解像度も2340×1080と一般的なレベルに変わったのも物足りません。
ただし、画面は非常に美しく明るいので使って満足できるはずです。

Xperia 1 VIは、一般的なスマホの縦横比になった

画面は明るく美しい。右のiPhone 15 Proと比較しても明るいことがよくわかる
横幅の拡大でやや持ちづらい
画面の縦横比が変わったことで、気になるのがサイズです。ディスプレイは6.5インチの大画面モデルとなったので、サイズ的に持ちづらさを感じます。Xperia 1 Vまでは、細長いために大画面でも持ちやすかったのです。
ちなみに、画面サイズはディスプレイの対角線の距離をインチで示しています。サイズが大きくても細長ければ実質的な面積は小さくなります。そう考えると、Xperia 1 Vまでは、数字上の画面サイズよりも表示できる情報量が少なかったわけです。Xperia 1 VIは、その点が解消されている代わりに、幅が広くなって持ちやすさが失われました。
重量は、カタログ値で192gとやや重くなっています。従来の大画面ながらスリムで軽く持ちやすかったXperiaの印象はありません。

iPhone 15 Pro(右)と比べてもサイズが大きく見える

重量は190g台とやや重い
本体は高級感のある強化ガラス仕上げ
本体の背面は独自開発したテクスチャーのフロスト強化ガラスを採用しています。ざらっとした手触りで、指紋が目立たないのできれいに使えるはず。もちろん、ガラスなので硬質な感触が素敵です。本体カラーはブラック、プラチナシルバー、カーキグリーン、スカーレット(最後の2色はSIMフリーモデルのみの扱い)が用意されます。今回はスカーレットをレビューします。
Xperiaらしくボディフレームに細かなスリットが入っており、このあたりのデザインは前モデルを踏襲しています。SIMトレーがピンなしで外せるのもとても便利で、nanoSIMとeSIMが使えます。もちろんおサイフケータイには対応しており、防水・防塵モデルです。

背面のデザインはシンプルで高級感がある

細かなテクスチャーのガラスボディは、指紋が目立たない

本体側面はスリットの入るデザインだ。指紋センサーは電源ボタン一体式で側面に配置

SIMトレーも爪で引っかけて外せる
最新上位チップ搭載で性能は上々、スピーカーの音質も素晴らしい
SoCは最新の上位チップであるSnapdragon 8 Gen 3を採用しています。性能は上々ですが、各社の上位モデルは横並びとなります。RAMは12GBか16GBでモデルによって異なります。ストレージも256GBと512GBとなります。性能的には文句なしで、ヘビーなゲームも快適にプレイできます。
バッテリー容量は5000mAhと大画面モデルでは一般的です。ソニー独自の充電最適化技術やいたわり充電によって、4年間の長寿命を実現しています。他にも、Wi-Fi 7にアップデートで対応予定となっているのが目新しいところです。
スピーカーの音はとても素晴らしく、映画やゲームにも向きます。また、ハイレゾにも対応するなど、オーディオ機能はさすがソニー製のスマホらしいところ。有線ヘッドホンの音質も向上しています。

性能は上々でヘビーなゲームにも向く
カメラは最大170mmのズームが特徴

カメラは3つ搭載し、記録は1200万画素だ
カメラは3つで、24mmと48mmの広角(4800万画素、記録1200万画素)、16mmの超広角(1200万画素)、85〜170mmの望遠(1200万画素)となります。
16mmから170mmまでの光学撮影ができるのが特徴です。実際に写真を撮ってみましたが、クセのない画質はとても自然で、Xperiaらしい印象を受けました。他のモデルには光学10倍ズームもあり、スペックとしては一番ではありません。しかし写真はとても美しく、特にソニーのデジカメを使っている人は好ましい画質だと感じるでしょう。

カメラアプリは1本に統合された
また、3つに分かれていたカメラアプリが1つに統合されたのも朗報です。とてもわかりやすくなり、その気になればプロモードでマニュアル撮影もできます。
今回は、iPhone 15 Proと写真を比べてみました。どちらも画質は文句なしで、明るさの差などは好みで良し悪しが決まるでしょう。Xperia 1 VIは170mmのズーム撮影ができるのが優位点です。
標準

梅雨時で天気が悪かったが、どちらもきれいに撮れた。iPhone 15 Proは色合いが鮮やかで、Xperia 1 VIは明るい。どちらが良いかは好みだ
超広角

超広角は0.7倍のXperiaのほうが広く撮れる。画質はどちらも素晴らしい
2倍望遠

2倍望遠で撮影しても、iPhone 15 Proが濃厚で、Xperia 1 VIが明るい傾向だ
3倍望遠

iPhone 15 Proは3倍、Xperia 1 VIは3.5倍。どちらも木の葉まできれいに撮れている
光学7.1倍(Xperia 1 VIのみ)

Xperia 1 VIは光学7.1倍での撮影が可能。こちらも非常に美しい
マクロ

Xperia 1 VIはテレマクロでほどよい距離で撮影したが、もっと近寄れる。iPhoneはなるべく近寄って撮影した
ポートレート

ポートレートは、Xperia 1 VIのほうが強くぼかせるがやや暗かった
まとめ:ソニー好きにはおすすめ
Xperia 1シリーズは、上位モデルとして不動の人気があります。これまでに同モデルを買い続けてきた人には、もちろんおすすめできます。ただし、動画撮影中心で使っていた人は、縦横比が変わったところが気になるかもしれません。
最高性能のスマホとしては価格も妥当で、カメラも素晴らしく文句なしの画質です。とても魅力的なのですが、気になるのは独自のAI機能が搭載されていない点。GalaxyやPixel、Zenfoneの上位モデルは、どれもAIに注力しています。素晴らしいカメラに加え、ソニーらしいAIを独自開発して搭載してほしかったと思います。