2023年は、ウォルト・ディズニー・カンパニー100周年の年でした。アニメーションという魔法で人々の夢や願いを具現化し続けてきたディズニー。映画『ウィッシュ』は、そんな「願い」が持つ力そのものを描き出した名作です。作品全体に漂うクラシカルな雰囲気がどこか懐かしさを感じさせ、同時に現代を生きる私たちを勇気づけてくれる、素敵なファンタジー・ミュージカルです。
『ウィッシュ』を見る(ディズニープラスで配信中)
願いを叶えるための本当の強さとは
欧州のイベリア半島に位置する架空の国・ロサス王国。ここには、人々の願いを叶える力を持つとされるマグニフィコ王が君臨しています。この噂を聞きつけ、世界中から人々が集まり、ロサス王国はどんな人でも受け入れる理想郷のように見えます。しかし、実際にはマグニフィコ王は人々を支配する独裁者でした。
市民は王に願いを託している間、願いそのものを忘れてしまいます。マグニフィコ王は、善い行いをしていればいつか願いを叶えてもらえる、と信じる市民から願いを独占し、国を支配するために悪用していたのです。
主人公のアーシャも、祖父の100歳の誕生日に王がきっと祖父の願いを叶えてくれるはず、と信じていました。ところが18歳の誕生日を目前に真実を目の当たりにしてしまいます。
本作のテーマはシンプルに「願い」です。映画の舞台となる王国では、願いを叶えてくれる王様が登場します。しかし、その王様は実は悪人で、願いを叶えるという約束を口実に人々を支配しています。主人公はその状況を変えるために奔走します。
ディズニー100年の歩みが詰まった作品
本作には、ディズニーファンにとって嬉しいトリビアが数多く盛り込まれています。例えば、アーシャには7人の友人がいますが、これは『白雪姫』の「七人の小人」を意識したものです。また、「空を飛びたい」という願いを持つ市民の名前がウェンディとピーターなのは、『ピーターパン』へのオマージュです。さらに、『ピノキオ』の主題歌として有名な「星に願いを」のフレーズが披露される場面もあり、ディズニーの歴代名作を意識した要素が随所に散りばめられているのです。
イラストレーションは、近年の3DCGの技法とかつての手描きのエッセンスを融合させたスタイルを追求しており、ストーリー面でもビジュアル面でもディズニーの歩んできた歴史が感じられる作風になっています。
そして、ディズニー・アニメーションといえばミュージカルです。今作でも歌の力は健在で、主演のアーシャ役には『ウエスト・サイド・ストーリー』で高い評価を得たアリアナ・デボーズが扮し、彼女のブロードウェイ仕込みの見事な歌唱力が存分に発揮されています。また、日本語吹替版では、生田絵梨花がアーシャを演じており、こちらも本家に劣らない素晴らしい歌唱力を披露しています。
本作は、100年間にわたり世界中に夢を与えてきたディズニーの歴史が詰まった一作です。ディズニーを見て育った人も小さな子どもたちも楽しめる珠玉の娯楽映画で、思わず口ずさみたくなる名曲が揃っています。家族で観るとさらに楽しめることでしょう。
『ウィッシュ』を見る(ディズニープラスで配信中)
人々の願いを叶えてくれる王の秘密を知ってしまった主人公・アーシャが、「願い」の力で奇跡を起こす感動のファンタジーミュージカル。
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