会議やセミナー、打ち合わせなどのビジネスシーンや英会話の復習など、音声データを保存しておきたいときにスマホで録音ができると便利です。スマホに標準搭載されているボイスレコーダーアプリを使うこともできますが、細かな録音設定やファイル形式の変更など、より多くの機能を求めるなら専用のボイスレコーダーアプリがおすすめです。
この記事では、無料の録音アプリを5つ厳選し、それぞれの特徴やおすすめ利用シーン、独自の機能などについて詳しく解説します。
無料の録音・ボイスレコーダーアプリを比較
まずは、今回紹介する録音アプリ5本について比較表にまとめました。
アプリ名 | ファイル形式 |
Android対応 |
iOS対応 | 特徴 |
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○ |
○ |
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簡単ボイスレコーダー |
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○ |
○ |
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ボイスレコーダー - 高音質ボイスメモ&録音 |
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× |
○ |
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Recoco |
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× |
○ |
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ボイスレコーダー |
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○ |
× |
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ファイル形式が異なることで、主に音質やファイル容量が変わります。WAV形式はファイルサイズが大きくクリアな音声のため、英会話教室や音楽のレッスンなどの録音におすすめです。AAC形式はデータ容量が軽く音質も安定しており、長時間の会議や打ち合わせの録音などの用途に向いているといえるでしょう。
他にも、ボイスレコーダーアプリによって以下のような特徴があります。
- 音質やファイル形式を変更できる
- スキップや倍速など、再生する際に便利な機能がある
- 音声ファイルの編集ができる
- 文字起こしなど独自の機能がある
- ウィジェット配置などで録音したい状況にすぐに対応できる
自分の使いたい場面に合わせて必要な機能を持つアプリを選択しましょう。以降では各アプリの特徴や機能、使い勝手をまとめています。
音質やファイル形式が選べて無料で編集も可能「PCM録音」

「PCM録音」はiOSとAndroid両方に対応したアプリ。サンプリング・レートが7段階から選択できるほか、ファイル形式もWAV形式、AAC形式の2種類から選択可能です。音質が重要な習い事の録音から会議などの長時間録音まで、さまざまなシーンに対応できます。
データをトリミングして必要な部分だけを保存できますが、その際に元のファイルが削除されないのも高ポイントです。他アプリとの共有はもちろん、PCへの転送も可能。オールマイティーな活躍が期待できます。
バックグラウンド録音と音質の選択が可能


アプリを起動すると、まず録音画面になります。ファイル形式、録音品質、チャネル、空き容量、録音可能時間が表示されるので、変更したい場合はメニューボタン
から設定を変更しましょう。ファイル形式は「WAV形式」と「AAC形式」の2種類、サンプリング周波数は8000Hz~192000Hzの7段階から調節できるほか、ステレオ/モノラルの変更やマイク感度の調節なども可能です。なお、録音後のファイル形式変換にも対応しています。
赤い「録音」マークを押すとすぐに録音が開始され、スピーディーさが求められる場面でも速やかに操作できます。録音中にアプリからホーム画面に戻ってもバックグラウンドで録音は継続されているので、録音しながら他アプリを使うことも可能です。
スキップ機能や再生速度の変更機能

アプリトップ画面の再生ボタンをタップするとタブが切り替わり、録音したデータが一覧で表示されます。
ファイル名をタップすると音声が再生され、10秒・60秒スキップや0.5倍~2倍の6段階での再生速度変更などがおこなえます。ここからファイル名の変更も可能です。
必要な部分だけを保存できるトリミング編集

PCM録音では、広告を視聴すれば音声ファイルの編集機能が24時間無料解放されます。トリミングしたい場所を選択し、
もしくは のどちらかの操作をおこなうことで音声ファイルがトリミングされます。選択した部分を残したい場合と消去したい場合のどちらにも対応でき、さらに元のファイルが消去されることはなく、オリジナル音声と編集済みの音声は別々に保存されます。
音声ファイルの共有やクラウド転送、削除したファイルの復元


音声ファイルはメールやLINE、Twitterなどで共有できるほか、iPhoneではiCloudに保存することもできます。
iCloudに保存されたデータは雲のマークがつくのでわかりやすいでしょう。また、削除したファイルは「最近削除した項目」にまとめられ、復元も可能。間違えて消してしまっても安心です。
簡単操作で高機能、ウィジェットも搭載「簡単ボイスレコーダー」

「簡単ボイスレコーダー」はシンプルな画面で操作が簡単という特徴に加えて、マイクや周囲の雑音・ノイズを調整できるチューニング機能を搭載したアプリ。音声を可能な限りクリアに記録できます。
ウィジェットから簡単に操作できるので、アプリを起動しなくてもホーム画面からのスムーズな録音が可能です。有料版ではGoogleドライブなどへの自動アップロード機能やカスタムビットレートなど便利な機能が追加されますが、無料版も日常的に必要とされる機能は十分兼ね備えています。
ウィジェット配置でホーム画面からの録音も可能


簡単ボイスレコーダーでウィジェットを設置するには、アプリアイコンから
を選択し設定するだけ。これで、アプリをわざわざ起動させなくてもホーム画面からの録音が可能になります。アプリから録音を開始した場合、録音中の状態でホーム画面に戻ってもバックグラウンドで録音が継続されます。
音質やマイクの品質を用途によって細かくカスタマイズ



録音の詳細設定ができるのも簡単ボイスレコーダーの特色の一つです。「エコーキャンセル」や「ノイズ軽減」をオンに設定すれば会議中などの雑音を軽減させることができるほか、「ボイスメモ」「会議&講義」「音声&ライブサウンド」といったシーンを選んでマイクの品質をあらかじめ決めておくこともできます。
マイクの種類やファイルフォーマット(WAV、AAC、AMR)、サンプリングレートなどを選択でき、音質は「高」「中」「低」の三段階から設定可能です。用途や端末のファイル容量によって細かくカスタマイズできる仕様になっています。
ファイルの共有や着信音の設定もできる、編集は有料機能


録音された音声ファイルは、早送りや巻き戻し、0.5倍~2倍の再生速度変更に対応。そのほか、LINEやメールなどで共有したり、着信音に設定したりすることもできます。音声のテキスト化も可能です。
有料版である「簡単ボイスレコーダー Pro」(398円)を購入すると、音声ファイルの編集やクラウドへの自動アップロード、カスタムビットレートなど、さらに高機能なボイスレコーダーとして活用できます。無料版でも追加課金のアップグレードをすれば、5分以上の録音を文書変換できたり、ダークテーマを含むテーマパックが利用できたりするようになります。
シンプル画面で15段階の再生スピードに対応「ボイスレコーダー- 高音質ボイスメモ&録音」

「ボイスレコーダー- 高音質ボイスメモ&録音」は、iPhone対応のシンプルなボイスレコーダーアプリ。一画面で録音と再生が完結するという簡単設計が魅力である一方、ファイル形式やマイク調整などの詳細設定には非対応です。
余計な機能は不要で、日常のちょっとした音声記録に使えるシンプルなアプリを求めている人に最適でしょう。
ワンタップで録音、ファイル削除ができるシンプルなUI


一画面のみで構成された非常にシンプルなUIで、
をタップすると録音が開始され、ホーム画面に戻ってもバックグラウンドで録音は継続されます。「一時停止」をタップすると録音は一時停止し、そこから再開することも可能です。画面下部の
をタップすれば録音は終了します。音声データのファイルはWAVE形式のみ。高音質で残したい音声データを保存するのに向いています。同じ画面から
をタップすれば、ファイル名の変更やファイルの削除ができます。再生スピードは15段階で調節可能


ファイル名をタップすると、音声ファイルが再生されます。バーを左右にスライドして再生位置を調整できるほか、5秒戻しと10秒スキップにも対応しています。再生スピードは0.5倍から2倍までの間の15段階で調節可能。スピード調整の細かさも、類似アプリにはないこのアプリならではの特徴です。
音声データの共有も可能

マークから音声ファイルの共有も可能です。メールやLINE、チャットアプリなどでデータが共有できるので、ごくシンプルな設計のアプリでありながらビジネスシーンでも重宝するでしょう。
文字起こし機能やタグ付けで音声データを可視化「Recoco」

「Recoco」は音声データを文章化できるのが特徴のiPhone対応アプリです。文字起こしの精度は抜群とは言い難いものの、録音データの頭出しの参考になったり、キーワードを元に音声ファイルを検索したりしたいときに役立ちます。
音楽や英会話の録音よりは、会議や打ち合わせなどの用途に向いているアプリと言えるでしょう。
音声データを自動文字起こし、録音中にメモも可能


ホーム画面上部にある
ボタンをタップすると、録音が始まります。録音を終える際は、画面左上の をタップすればOK。録音の形式はMP4(AAC)形式のみ。ホーム画面から録音を開始すると、話した音声が自動で文字に書き起こされます。専用の文字起こしアプリなどと比較すると精度は低いですが、録音内容を振り返る際にとても重宝します。
書き起こされた文章はその場で削除することもでき、任意の場所に「区分け」「TO DO」「お気に入り」の3つのタグをつけたり、メモを挿入したりできる機能も搭載されています。
時系列再生、タグやメモの活用で録音データを可視化


再生画面では、文字起こしされたテキストと挿入したタグやメモが時系列で表示されるため、録音内容の詳細をひと目で確認できます。
録音時にタグだけつけておき、後に音声データを確認する際タグにメモを追記する、という使い方も可能です。また、検索バーに単語を入れて検索するとその単語がどこで発せられたのかがわかる機能などもあり、音声データの内容を効率的に振り返りたい場合に便利です。
音声ファイルはメールやLINEなどで共有できます。文字起こしの内容を全てコピーして外部ファイルに出力することも可能です。
再生速度は4段階調整、スキップもできる

音声データは0.7倍~2倍の4段階で再生スピードの変更ができます。スキップ戻し秒数、スキップ送り秒数は設定から変更可能。好みの再生スピードに調整しましょう。
音声データの再生音量がアプリ上から変更できるほか、AirPlayを通じて外部スピーカーから再生することもできます。
倍速再生やリピート、無料で編集も可能「ボイスレコーダー」

「ボイスレコーダー」はAndroid専用アプリ。ファイル形式はMP3とWAVから選択できます。音質やマイクの調整といった基本的な機能に加えて、無料でトリミングやコピー&ペーストができる編集機能も搭載されています。
直感的に使えるわかりやすい操作設計のため、編集機能を重視する人に向いているアプリといえるでしょう。
録音設定を2種類のファイルタイプ、4種類の音質から選択可能

ボイスレコーダーのファイル形式は、ファイルサイズが大きく高音質の「WAV」タイプとファイルサイズの小さい「MP3」の2種類から選択できます。
音質は11kHz~44kHzの4種類から選択可能。ファイル容量や求める音質のレベルから録音の設定を選択しましょう。うまく録音できないときにマイクの感度を手動で調節することもできます。

赤いボタンをタップすると録音が開始され、残りの録音可能時間の目安が表示されます。録音画面には音量がグラフ状に表示され、マイクが反応しているかどうかが一目でわかります。
スキップ機能や再生速度変更

再生速度は0.5倍~2倍の間の4段階で変更可能。スキップ機能は戻し、送りともに5秒、30秒、60秒単位でおこなうことができます。リピート機能は繰り返し確認したいときやBGM代わりに利用したいときに便利です。
トリミングやコピー&ペーストもできる編集機能


音声データは無料で編集できます。音声波形上のバーを左右に動かして範囲を選択し、選択範囲を残すもしくは選択範囲を削除する、選択範囲をコピー&ペーストするといった編集が可能です。
編集内容はその場で確認でき、保存したデータは元データに上書きされずに別データとして保存されます。

録音したデータはメールやLINEなどで共有することも可能です。録音アプリを利用する上で必要な機能が一通り揃った、バランスの良い設計が魅力です。