2024年9月20日、東京都が運営するAIによるマッチングアプリ「TOKYO縁結び」が提供開始されました。都内在住・在勤・在学の18歳以上の独身男女を対象に、アプリ内の価値観診断テストの結果から相性の良い相手をAIが紹介してくれるというもの。登録時にウェブ面談が求められたり証明書の提出が必要だったりするため、安心して利用できるのが特長です。
他のマッチングアプリとどう違うのか、料金や登録方法、サポート体制、マッチングするまでの流れなどを詳しく紹介します。
「TOKYO縁結び」とは
「TOKYO縁結び」は、東京都の東京都生活文化スポーツ局が提供しているマッチングアプリです。さまざまな民間のマッチングアプリが存在しますが、行政が運営しているという点では非常に珍しいと言えます。

なぜ行政がマッチングアプリを提供することにしたのでしょうか。
東京都生活文化スポーツ局 都民生活部 都民活躍支援担当課長の大森有一さんは、「マッチングサービスは、今や4人に1人が結婚のきっかけとして挙げるツールの1つとなっています。東京都が2021年度におこなった調査で、結婚に関心があるのに活動をしていない人が約7割いたことがわかりました」とマッチングアプリ提供の背景を説明します。
結婚に関心はあるものの、マッチングサービスにも登録できず何も行動できていない人たちが多数派である現状に対して、行政として何ができるのか。
「結婚をしたくてもどうすればいいかわからない、自然な出会いを求めたい、民間のサービスは使いにくいなど、躊躇してしまう理由はさまざまあると思います。そんな、『結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる人たち』を後押しするために、TOKYO縁結びを提供することにしました」(大森さん)。

令和3年度 都民の結婚等に関する実態及び意識についてのインターネット調査
対象者は都内在住・在勤・在学の18歳以上の独身男女
「TOKYO縁結び」を利用できるのは、都内に在住・在勤・在学をしている18歳以上の独身の男女のみ。遠方に在住していても、都内に在勤・在学していれば利用可能です。
現在の利用者層や利用者数は、「30代が多めですが、幅広い年代・職種の人が登録されています。2023年12月からテスト運用として約1200人に先行利用していただきました。2024年9月からの本格稼働では2000人以上のユーザーが登録しています」(大森さん)。
2024年9月の提供開始から2024年11月末までの申込者数がおよそ1万2000人にのぼったそうです。
「結婚」を目的とした人向けのサービス

マッチングアプリやサービスには、結婚したい人向けの「婚活」、恋愛をする人向けの「恋活」、デートをしたい人向けの「デーティング」とさまざまなタイプがあります。
「TOKYO縁結び」は、結婚を目的とした人向けの婚活アプリです。入会時にはオンライン面談があり、そこで意向を確認することになっているため、結婚の意思がない人は入会できないことになっています。
独身証明書などの提出や入会面談があり、安心して利用できる
TOKYO縁結びに入会するには、独身証明書や収入証明書、本人確認書類の提出が必要です。独身証明書は、自治体が発行する公的な証明書で、本籍のある区市町村で取得できます。マッチングアプリで、独身証明書が必須のサービスはあまりありません。
面談に加え、証明書も含めて身元確認をしてくれるので、詐欺や宗教勧誘、写真とは違う人が来るといったマッチングアプリでありがちなトラブルがほぼ起こらないという安心感があります。
価値観診断テストによりAIが相性のいい人とマッチングしてくれる
価値観診断テスト(EQアセスメント)があり、そのテストを受けることでわかる「自分の価値観」と「相手に求める価値観」をもとに、AIが相性の良い人を紹介してくれます。
以下が診断テストの質問の一例です。

利用料金は男女ともに2年で1万1000円
民間のマッチングアプリサービスは月額3000円~4000円が相場で女性は無料というものが多いです。一方、TOKYO縁結びの場合は男女ともに登録料1万1000円(税込)。入会月の翌月1日を起点として2年間利用できるという仕組みです。
さらに民間のサービスでは1カ月〜1年など利用期間が選べる場合が多いなか、TOKYO縁結びに関しては2年間固定のプランしかありません。
その理由について大森さんは説明します。「結婚を考えるプロセスとして必要な時間は1カ月や2カ月では短い。数回デートを重ねて関係性を築いていくことを考えたところ、2年程度は必要だと感じました。そこから期間や価格を設定しました」。
実際の登録からマッチング相手を見つけるまでの手順
実際にどんな流れでマッチングができるのか、登録からマッチング相手を見つけるまでの手順を紹介します。今回、実際に登録して執筆することは叶わなかったため、東京都生活文化スポーツ局に提供いただいたサンプル素材を使用しながら解説していきます。
入会に必要な書類などを準備する

まずは入会の申し込みをします。その前に、以下の6点を準備しておきましょう。
提出書類を一式揃えるのに時間がかかる場合があるので、入会登録をする前に事前に準備し終えておくほうがスムーズです。
- 写真付き本人確認書類(パスポート、運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 独身証明書
- 年収を確認できる書類(源泉徴収票など)
- プロフィール掲載用の写真
- 誓約書
- 登録料1万1000円(税込)
独身証明書は本籍のある区市町村に出向いたり郵送で手続きする必要があり、時間を要します。郵送による申請に関しては本籍のある区市町村に問い合せてみてください。申請書は以下からダウンロードできます。
誓約書は、東京都知事に対して登録した内容が真実であることや、婚活を前提とした登録であること、利用規約に同意することを誓うもので、アプリ上で提出します。
必要書類をひと通り揃えたら、以下のサイトから会員登録の申し込みやアプリをダウンロードして申し込みをしましょう。アプリの場合は、ブラウザ版アプリで2段階認証が必要です。
会員登録をして入会申し込みをする

アプリをインストールする

[はじめる]をタップ

[会員登録はこちら]をタップ
アプリの場合はアプリをインストールし、画面に沿って進んでいくと[はじめる]と表示されるのでタップし、続いて[会員登録はこちら]をタップします。

基本情報を入力する

「利用規約に同意します」にチェックを入れる
入会に必要な個人情報を登録していきます。氏名、性別、生年月日、パスワード、住所、電話番号、メールアドレス、学歴、年収などをすべて入力します。入力が終わると、利用規約が出てくるので内容を確認し、「利用規約に同意します」にチェックを入れます。入力内容を確認したら入会申し込みを完了させます。
無事申し込みが完了すると、登録したメールアドレス宛に事務局から会員番号が送られてきます。
オンライン入会面談を受ける
会員登録が完了したら、次はオンライン入会面談の日時を予約します。

会員番号と登録したパスワードを入力して、マイページにログインする
ログイン画面で、事務局から送られてきた会員番号と登録したパスワードを入力して、会員マイページにログインします。

[面談予約]をタップ
マイページの下部に「面談予約」のボタンがあるので、タップして面談を予約します。

面談予約フォームで「予約する」をタップ
[予約する]をタップし、希望の日時を選択して予約をします。入会面談では写真付きの本人確認書類(パスポート、運転免許証、マイナンバーカードなど)が必要になるので、手元に準備しておきましょう。
オンライン入会面談の本人確認の所要時間は約10分。その後、活動案内動画を視聴して入会となります。
ユーザー登録をおこなう
続いて会員マイページから以下の情報を登録し、登録料の支払いなどをおこないます。
- プロフィール/自己PR/希望条件の入力
- 必要書類のアップロード
- EQアセスメント(価値観診断テスト)の受検(任意)
- 登録料1万1000円の支払い
上記のすべてが終了したら、いよいよ活動開始です。
実際にマッチングをする
マッチング相手を探す方法は2つ。自分で検索する方法と、AIからの紹介です。

「検索サービス」から希望相手を探すことができる
検索は、左側の「検索サービス」というメニューから検索項目を選択することで希望の相手を探すことができます。
検索項目には年齢、結婚歴、子供の有無、身長、喫煙の習慣の有無、職業、仕事内容、年収、休日、最終学歴、趣味などがあります。

AIからの紹介の場合は「ご紹介状」欄に表示される

自身で申し込んだ場合は「ご自身からお申込み済み」欄に表示される
AIからの紹介は、紹介一覧に届きます。「ご紹介状」の欄に、相手のニックネームやプロフィール写真とともに、推薦の程度が相性の度合いに応じて星3つで評価されて表示されます。その相手に「YES回答」をすればお見合いが成立します。
また、その下の「お相手YES回答済み紹介状」の欄には、お見合い希望をしている相手側のリストが表示されます。こちらには、自分を紹介された相手がお見合いを希望すると表示されるようになっています。
自分から申し込みをした場合は、「ご自身からお申込み済み」の欄に一覧で表示されます。

お見合い日程はあらかじめ登録しておくとベター
お見合いが成立したら、お友達期間として交際がスタートし、連絡先の交換やシステム上でのメッセージでやり取りができるようになります。
続いて、お見合い日程を調整します。ポイントは、事前にお見合い可能な日時を登録しておくこと。あらかじめ登録しておけば、システムがその日程に合わせて候補を提示してくれます。どちらかが先に回答すると、その日程が相手にも提案される仕組みで、スムーズに日程を決めることができます。もし都合が悪い場合は、別の日時を再度提案することも可能です。
あとはシステム上で日程や待ち合わせ場所を決め、当日はアプリ内の通話機能で連絡をします。
その後、お互いに「いいな」となれば、交際のステップが進んでいきます。双方が合意して「真剣交際」へと進むと、ほかのお相手紹介やお見合いの予定はすべてストップとなり、マッチングシステム事務局にメール・電話などで連絡して真剣交際・退会の手続きを進めていきます。
「TOKYO縁結び」に関するよくある質問とその答え
TOKYO縁結びを利用するうえで、よくある質問とその答えをまとめました。
会社の所在地は東京都内だが、居住地は都外で在宅勤務メインの場合でも使える?
使えます。ただし、あまりにも遠方だといざマッチングをしたとしても何度もデートを重ねるのは距離的に難しい場合も。
「いざ “マッチングしました”というときに、近隣に住んでいるほうがやはり会いやすいです。あまりにも遠方に住んでいる人は交通費などがかかってしまうので、登録自体はできますが“婚活”という意味では現実的ではないかもしれません」(東京都生活文化スポーツ局 都民生活部 都民活躍支援担当課長の大森有一さん)。
登録料や交通費などのバランスを考えて、登録を検討してください。
相手とのやりとりで困ったときなどに相談できる窓口はある?
はい、「面談予約フォーム」から相談ができます。
マイページ内の「面談予約フォーム」から、「活動面談」という婚活全般の相談が可能で、40分の相談ができます。相談には、婚活とカジュアルウェディング事業を起点に事業をおこなっているタメニー株式会社(Tameny)をはじめとするプロの相談員が対応してくれます。相談ごとがある人は、日時を選択して予約をしてください。
無事に相手を見つけたので退会したいが、やめるのに別途料金はかかる?
いいえ、別途料金は一切かかりません。
マッチングシステム事務局にメール・電話などで連絡して退会の手続きを進めればOK。その際に、解約料金を求められることはありません。
2年で相手が見つからなかったが、延長して利用できる?
はい、延長利用が可能です。
もし2年の間に理想の相手が見つけられなかった場合、登録時と同じように登録料1万1000円(税込)を支払えば、また2年延長して利用することができます。
継続する意思がなくなった場合も退会はできる?
可能です。解約料金を支払わずに退会できます。

退会には退会理由の記入が必要
ホーム画面>「活動サポート」>「退会をご希望の方」の順にアクセスすると「退会」の画面になるので、こちらからメールで事務局に申告すれば退会できます。
ただし、退会の理由を3000字以内で記載する必要があります。
まとめ:スタートまでに時間はかかるが、アプリの信頼度は高め
TOKYO縁結びは登録をするためにさまざまな書類が必要で、活動を始める前のプロセスに時間を要します。ただし、その分結婚相談所のような入念なチェックがあるため、安心して利用することができます。行政がおこなっているマッチングアプリという点も、より一層安感を与えてくれます。
また、民間のマッチングアプリと違って連絡先を交換したりメッセージのやり取りをする必要がなく、システム上で待ち合わせ時間や場所を調整できるのは大きなメリットです。実際に会わなくても、オンラインでお見合いをすることも可能です。
スタートしてまだ間もないので、今後会員数がさらに増えてきたら、理想の相手を見つけることが可能になっていくのではないでしょうか。