なかなか寝付けない、たくさん寝たはずなのに疲れが取れないといったように、睡眠に問題を抱える人は少なくないでしょう。睡眠時間や眠りの質は、日中の行動にも大きな影響を及ぼします。
この記事では、日々の睡眠の質を改善するのに役立つ5つのアプリを紹介していきます。各アプリは音楽の再生やいびきの録音などさまざまな機能を備えているので、目的に沿ったアプリを見つける参考にしてください。
睡眠管理アプリの仕組みと使い方
睡眠管理アプリによる睡眠の深さや時間の計測には、「加速度センサー」というスマホの動きを感知してくれる機能やマイクを利用しています。加速度センサーは細かな振動も感知でき、寝返りや呼吸から睡眠の深さを計っています。

睡眠管理アプリを使うときスマホは枕元に置く
上記の仕組みで睡眠を計測することから、睡眠管理アプリの使用時はスマホ本体を枕元に置く必要があります。就寝中は常にスマホが稼働することになるため、バッテリーがなくならないよう充電ケーブルに繋いでおきましょう。


アプリを起動して起床時間を設定したら、「開始」などをタップして寝るだけ。アプリによっては、入眠しやすい音源を再生したり、寝る前にした行動をメモしたりすることもできます。

睡眠管理アプリはすべてアラーム機能がついています。
アラームで起床したあとに確認できるデータは、布団に入ってから眠るまでの時間やレム睡眠・ノンレム睡眠の時間、夜中に目を覚ましてしまった回数などさまざま。寝つきの良さやぐっすり眠れたかなど、毎日の睡眠の質を細かく観察できます。
今回の記事で紹介する睡眠アプリは、いずれもスマホ本体の加速度センサーやノイズの録音をすることで睡眠を分析しているので、スマートウォッチは特に必要ありません。
一部のアプリはスマートウォッチとの連携に対応していますが、あくまで補助的な機能が利用できるようになるのみです。アプリによってスマートウォッチ連携で使える機能は異なるので、スマートウォッチを利用している人はアプリごとに確認してみるとよいでしょう。
おすすめ睡眠管理アプリ5選
本記事では、以下5つの睡眠管理アプリを紹介します。有料プランの有無やおすすめの用途など、各アプリの概要を表にまとめました。
有料プラン | 睡眠分析 | いびきの録音 | 睡眠導入サウンド | スマートウォッチとの連携 | おすすめの用途 | 起きやすいタイミングでの起床 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
睡眠の記録と改善 | なし | × | × | × | × | 早寝 | × |
Somnus |
480円/月 4400円/年 |
○ | ○ | ○ | ○ | 入眠・分析 | ○ |
Sleep Cycle | 3000円/年 | ○ | ○ | ○ | ○ | 入眠・分析 | ○ |
睡眠アプリ | 2300円/年 | ○ | ○ | ○ | × | 入眠・分析 | ○ |
ShutEye |
1080円/月 6400円/年 |
○ | ○ | ○ | × | 入眠・分析 | × |
睡眠の記録と改善

目標と1週間の睡眠時間が一目でわかる

現状の就寝時刻・起床時間を把握
「睡眠の記録と改善」は、「寝た時間」と「起きた時間」「寝起きの良さ」を自分で入力する記録アプリです。リリースされているのはiOS版のみで、Android版はありません。運営会社は、「継続する技術」という3日坊主の克服を目指すアプリが人気なbondavi。応援したい人だけが課金で支援するシステムなので、広告も課金もなくストレスフリーで使えます。
現在の睡眠状況(入眠時刻、起床時刻、寝起きの良さ)を入力したあと何時までに寝るかの目標を設定し、15日間連続の達成を目指します。「とりあえず15日間だけ今までより早く寝られるように頑張る」というひとつの目的に絞れるので、継続しやすいのではないでしょうか。

無理のない目標から始めよう

寝る前の5分前にスマホの利用制限を設定できる
寝る時間の5分前からスマホを使用できないように設定することも可能です。寝る直前に画面を眺めて寝つきが悪くなるのを防げます。
Somnus

睡眠分析の結果を起床直後に確認できる
「Somnus(ソムナス)」は、睡眠の計測・記録、睡眠導入に適した音楽の再生やアラームなど定番の機能に加え、睡眠に関する記事やショッピングサイト、カウンセリングのように多様なサービスを提供しています。Apple Watchと連携すれば、睡眠の計測やアラームの起動を自動でおこなうよう設定できます。
無料版で睡眠を計測して確認できるデータは以下の通り。
- 就寝時刻
- 起床時刻
- 覚醒時間
- レム睡眠時間
- 浅い睡眠時間
- 深い睡眠時間
- 就床時間(ベッドに入っていた時間)
- 睡眠時間
- 睡眠効率(睡眠の質)
- 入眠までの時間
- 中途覚醒数
- 中途覚醒時間
- 起床法則性(毎日の睡眠のリズムがととのっているか)
- 睡眠の深さの推移
サウンドは「ヒーリング」「睡眠」「自然・季節」「日常の音」「楽器」「子守唄」の6つのカテゴリがあり、それぞれ6~10曲ずつ、全52種類の音源を聞けるようになっています。

睡眠時間などに応じて「睡眠ポイント」が貯まる

貯めたポイントは、安眠を促すアイテムを売っている「Somnusモール」で利用可能
また、睡眠時間や眠りの深さから算出したスコアに応じて「睡眠ポイント」が貯まるのが大きな特徴。睡眠ポイントは1ポイント=1円としてアプリ内で快眠グッズの購入に使用できます。

天気のように今日の睡眠を予想してくれる

それぞれの時間帯のおすすめ行動とNG行動を確認しよう
睡眠の記録をもとに、1日のうちで集中できる時間帯や眠気が襲ってくる時間帯などを予想してくれる「睡眠予報」という機能もあります。
それぞれの時間帯におすすめの行動、NGな行動を教えてくれるので、質の良い睡眠をとるだけでなく、1日を有意義に使えるようになります。

有料会員になるとさらに詳細な睡眠分析ができるようになる
Somnusには、480円/月もしくは4400円/年の有料プランがあり、いびきや寝言といった音声の録音機能が追加されます。またApple Watchと連携すると、心拍数や血中酸素濃度などのバイタルデータを加味したより詳細な分析も可能になります。
とはいえ、無料プランでもスマホ本体の加速度センサーを利用したデータを不足なく確認でき、録音機能も1回の睡眠につき1つの広告を再生すれば確認できます。有料プランはあくまでプラスアルファの機能が使えるようになるもので、しつこく加入を勧められることもありません。
Sleep Cycle

起床時間までの最も眠りの浅い時間にアラームを鳴らしてくれる

アラームを設定しなくても睡眠を分析は可能
「Sleep Cycle」は、朝すっきりと目覚めたい人におすすめのアプリ。アラームの選択肢に「次の時間帯に簡単に起床」があるのが特徴です。たとえば、起床時間を7:30に設定すると、7:00~7:30 のどこかのタイミングでアラームが鳴ります。起きたい時間の30分前までの間で最も眠りの浅い時を感知してアラームを鳴らすので、すっきりと目覚められます。
毎朝起きるのがつらい人は、眠りの深い時間帯に起こされている可能性もあります。Sleep Cycleで眠りの浅い時間帯の起床を試してみるのがおすすめです。もちろん、定刻にアラームを鳴らしてくれるモードもあります。

1週間分の睡眠の質を一目で確認
快眠度や寝床にいた時間、実際の睡眠時間やいびきをかいていた時間などの記録を日、週、月単位で確認することが可能です。
無料版で睡眠を計測して確認できるデータは以下の通り。
- 寝床にいた時間時間(ベッドに入っていた時間)
- 睡眠時間
- 入眠までの時間
- いびきをかいた時間
- 快眠度(睡眠の質)
- 規則性(毎日の睡眠のリズムがととのっているか)
- 就寝時刻
- 起床時刻
- 睡眠の深さの推移
Apple WatchやGoogle Fitとの連携も可能で、スマホを枕元に置かなくても睡眠を計測できます。


有料版では自然の音やクラシック音楽などをかけられるように
3000円/年の有料版では、就寝時にかけられる睡眠導入にぴったりな音楽も充実しています。クラシック音楽やASMRなど、自分がよりぐっすりと眠れる音を探せます。また、いびきや咳などの録音再生にも有料版への加入が必要です。
睡眠アプリ

アプリを起動して最初のアンケートで、なぜよく眠れないのかを改めて振り返ろう

記録画面はiPhone標準のアラームと似ている
「睡眠アプリ」は、いびきや寝言、呼吸といった睡眠中に発する音に焦点を当てたアプリです。
アラーム機能やスリープサウンド、睡眠中のデータの記録など他のアプリと同じように使えますが、加速度センサーでなくマイクを利用した騒音分析法で睡眠を分析します。マイクを使用しないとデータが取れないので、必ずマイクの使用を許可しておきましょう。

就寝前にメモを作成する

睡眠の分析結果はグラフなどで確認できる
就寝前には、今の自分の状態をメモします。記録を見返すときに睡眠の質とともに確認でき、体の状態による睡眠の傾向を把握できます。アラームは、起きたい時間の30分前までの間で最も眠りの浅いタイミングを感知して鳴らしてくれる「スマートアラーム」を設定画面から選択することも可能です。
無料プランで睡眠を計測して確認できるデータは以下の通り。
- 睡眠の質
- ベッドの中にいた時間
- 睡眠時間
- ベッドに入った時刻
- 入眠までの時間
- 起床時刻
- 騒音(換気扇や室外機の音など。自分がいびきをかいていると特に騒音レベルは上がる)
- 深い眠りの割合
- 浅い眠りの割合
- レム睡眠の割合
- 覚醒の割合
- 目標と比べて不足している睡眠時間
- 睡眠の深さの推移
寝るときは入眠に効果的なスリープサウンドを再生できます。有料プラン向けには、呼吸法やストレッチ法といった入眠サポート機能も充実しています。アラームを設定して布団に入っても、なかなか眠れないときに試してみると良いかもしれません。

一部のサウンドは無料で利用可能
スリープサウンドには、「雨」「自然」「ライフ」「ASMR」「瞑想」の5つのカテゴリがあります。全部で83種類あるうち、36種類のサウンドを無料で利用できます。


呼吸法やストレッチを利用するには有料プランへの登録が必要
全種類のスリープサウンドや呼吸法、ストレッチといったコンテンツを開放するには、有料プランへの加入が必要です。
年間2300円のプランしかありませんが、最初に7日間の無料体験ができます。トライアルに申し込んでみて、本格的に使いたくなったら加入するのがおすすめです。

ノイズが大きい瞬間を自動的に録音してくれる
睡眠中は、いびきや寝言、歯ぎしりだけでなく寝返りのような些細な音も感知すると自動的に録音してくれています。ただし、スリープサウンドを流している状態では録音ができません。
録音は、無料版では3つまでしか確認できないので、漏れなくチェックしたい場合は年間2300円の有料プランに登録することになります。
ShutEye

「ShutEye」は有料での使用が基本です。無料プランで使えるのはアラーム機能、寝る前・起きた後の身体状態のメモ、スリープサウンドの一部となっています。
無料プランで睡眠を計測して確認できるデータは以下の通り。
- ベッドにいた時間
- 眠っていた時間
- 録音した音声のうちピックアップされた一つ
- 睡眠の深さの推移

有料プランならいびきの細かい分析もできる
1080円/月もしくは6400円/年の会費で、いびきの持続時間や音量などの記録から睡眠時無呼吸症候群のような健康上のリスクを測定したり、寝ている間の周辺の騒音レベルなどを確認したりできます。自分の睡眠状況を知りたい人は、まず7日間の無料プランに入ってみるのがおすすめです。

体の状態だけでなく環境などもメモできる
無料版でも、就寝前の詳細なメモを追加することは可能。カフェインの摂取や寝る直前の食事など、質の良い睡眠のために避けるべき行動をとっていないか振り返る時間にもなります。
また、入眠しやすいサウンドや音楽も再生できます。雨の音やASMR、生活音など180種類以上から好きな音源を7つまでミックスして流したり(無料版は18種類のみ)、シンプルに睡眠音楽(全58種類のうち無料版は3つのみ)を再生したり、好みにあったものを選べるのが嬉しいポイントです。
まとめ
睡眠の質を高めたいというよりも早寝早起きの習慣をつけたいという人は、就寝時間の目標達成を目指す「睡眠の記録と改善」を選ぶとよいでしょう。朝すっきりと起きることを重視するなら「Sleep Cycle」、夜の睡眠だけでなく日中の過ごし方も意識したい人は「Somnus」がおすすめです。「睡眠アプリ」や「ShutEye」を使えば、睡眠の質を分析しつついびきや寝言の有無を確認できます。それぞれの機能を見極めて、自分にあったアプリを試してみてください。