女性を中心に根強い人気のある恋愛マンガ。学園モノからファンタジーなど無数の作品が溢れており、すべての作品を読むには時間の確保が容易ではありません。それでも誰かがおすすめする作品なら読んでみたいものではないでしょうか。
そんな読者のみなさんに向けて、マンガライターと書店員が「泣ける恋愛マンガ」というテーマで作品をセレクトしました。全15作品です。感動の結末や切ない恋など、専門家たちによる感動ポイントも紹介しています。気になった作品はぜひ一読を。
専門家が厳選、泣けるおすすめ恋愛マンガ
マンガライターと書店員が「泣ける恋愛マンガ」というテーマでピックアップしたのは全15作品。誰もが知るといっても過言ではない名作から今春に発売されたばかりの作品まで、幅広く選ばれています。
『夏雪ランデブー』幽霊との三角関係!? 死者の無念さに心がひりつく

選出:マンガライター・ちゃんめいさん
花屋でアルバイトをする青年・葉月、そんな彼が密かに想いを寄せる店長の六花、そして、なぜか葉月にだけ視える六花の亡き夫にして幽霊の島尾。世にも奇妙な三角関係が織りなすラブストーリーです。
主人公の葉月目線で見ると「恋敵は幽霊!?」 という斬新な設定の本作ですが、注目してほしいのは幽霊の島尾。どんなに六花を愛していても、彼女と会話することはおろか、触れることさえできない島尾の哀しさ。そして、“生きている”から一歩を踏み出し徐々に距離を縮めていく葉月と六花を、ただ眺めることしかできない。彼のこの無念さに胸が締め付けられます。
死んでも決して消えることのない、愛という感情。でも、愛によって育まれる物語は、残酷ながらも生者と死者によって大きな隔たりがある……。そんなひりつくような切なさと、それでもなお誰かを愛し続けることの大切さを教えてくれる作品です。
- 作者:河内遙
- 出版社:祥伝社
- コミック発売開始日:2010年2月20日
『昴とスーさん』子供の姿になった恋人との関係性にあたたかい涙が溢れ出す

選出:マンガライター・ちゃんめいさん
ある日突然、子供の姿になってしまった青年・昴。彼を支え、元の姿に戻る方法を共に模索する恋人の澪。はたから見たら歳の離れた姉弟のようにみえるけれど、変わらずに互いを想い合い、支えながら生きていく。そんな2人の関係性や紡ぐ会話は全てが愛に満ちていて、読んでいると悲しい涙ではなく、あたたかい涙がじわっと溢れ出します。
そして、物語が進むにつれて明かされる昴の宿命。恋愛漫画というジャンルにとどまらず、SF、ファンタジーといった様々な要素を内包して描かれる壮大なストーリー展開にもぜひ注目してください。
- 作者:高橋那津子
- 出版社:KADOKAWA
- コミック発売開始日:2017年8月10日
『ひとりぼっちで恋をしてみた』“恋”の新たな可能性を教えてくれる家出少女の青春物語

選出:マンガライター・ちゃんめいさん
恋や友情、そして家族関係さえも、全部自分の“天然”さが台無しにするのだと……。そんな生きづらさを抱えている不器用な女子高生・有紗が、少しずつ自分のことを好きになっていくまでを描く青春ロードムービー。
「ダメな自分を変えたい!」──。 その一心で有紗は家出をするのですが、道中で出会う人たちに助けられ、導かれ、泥臭くも少しずつ前進していく有紗のひたむきな姿を見ていると、心の奥底がじんわりと熱くなり思わず涙が滲みます。
「あれ、これって恋愛漫画なのかな?」 と思う方もいるかもしれませんが、誰かを好きになる前にまずは自分を好きになる、自分自身に恋をすることの尊さ、そこから広がっていく有紗の物語。“恋”という言葉が持つ新たな可能性や希望を教えてくれる、新しい恋愛漫画です。
- 作者:田川とまた
- 出版社:講談社
- コミック発売開始日:2019年4月5日
『四月は君の嘘』読者の感情をこれでもかと揺さぶる演奏シーンに涙

選出:マンガライター・ちゃんめいさん
かつて天才ピアニストと呼ばれた少年・公正とヴァイオリスト・かをりが紡ぐ青春純愛ストーリーです。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまった公正、そしてとある理由から公正を再起の道へ導こうとするかをり。この2人の複雑な心理描写がとにかく丁寧に描かれています。特に、まるで会話をしているかのような2人の演奏シーンは圧巻です。
演奏シーンでは、セリフはないし、もちろんマンガなので音だって聞こえない。それなのに、各々の想いが痛いほどにまっすぐと伝わってきて、読者の感情をこれでもかと揺さぶる。何度読み返しても自然と涙が出てきてしまいます。
そしてなんといっても、タイトルにある「君の嘘」の本当の意味。最終話にその全てが明かされるのですが、その意味を知った瞬間、とても切なくて悲しいけれど、この物語に出会えてよかったと。そう心から思えるような澄んだ涙が頬を伝います。
- 作者:新川直司
- 出版社:講談社
- コミック発売開始日:2011年9月16日
『僕と魔女についての備忘録』少年と100歳超えの魔女が紡ぐ壮大な愛のストーリー

選出:マンガライター・ちゃんめいさん
親に捨てられた人間の少年・渉と、そんな彼を拾って育てることにした100歳超えの美しき魔女。2人の温かくて、愛おしい日々を綴った“備忘録”です。種族はもちろん人生の速度が違う2人だけど、まるで手を繋いでゆっくりと散歩をするように、何気ない毎日を慈しむ姿は幸せに満ちていて胸がいっぱいになります。
そして、渉が成長するにつれて自覚していく、魔女への恋心。そんな成長と共に移ろう感情の機微が丁寧に描かれていて、読み進めていくたびに切なさと涙ぐむような愛おしさが込み上げてきます。絵本のように美しいファンタジックな世界観ながら、永い時を超えて紡がれる壮大な愛の物語。2人の幸せを祈るように、一枚一枚のページをゆっくりと丁寧にめくりたくなる作品です。
- 作者:三つ葉優雨
- 出版社:小学館
- コミック発売開始日:2023年3月24日
『瓜を破る』不器用な“未経験”女性の成長に感涙

選出:ブックファースト 新宿店・水川さん
恋愛に不器用な女性が主人公。周囲の同年代が恋愛を経験して大人になっていくなかで、チャンスに恵まれず「未経験」のまま大人になってしまいます。そんな彼女が「経験」をするために行動し、成長していく冒険譚です。
ちょっと成年向けな話なのかなと思うかもしませんが、実際はそんなことはなく、様々な登場人物の恋愛の葛藤を描く群像劇です。主人公がある人物と出会って交流することで、「好き」という気持ちがどんどん膨れ上がっていく。その後に迎える「初体験」での心情はとてもリアルで、主人公に感情移入してしまいます。主人公の成長を感じたシーンには「良かったね」と感涙してしまいました。
登場人物たちに共感できるところも多く、出てくる人全員を応援したくなる素敵な作品です。最近ではWeb広告もよく見かけます。連載中なので続きが楽しみですね。
- 作者:板倉梓
- 出版社:芳文社
- コミック発売開始日:2021年4月15日
『正反対な君と僕』現代の学生の恋愛をリアルに描写、社会人でも泣ける作品

選出:ブックファースト 新宿店・水川さん
少年向けタイトルが多い『少年ジャンプ+』で配信されている作品なのですが、完全に恋愛マンガですね。高校のクラスのなかで、陽キャなギャルの女の子が地味な男の子を好きになるというストーリーです。
主人公の女の子はギャルで他の男子とは分け隔てなく話せるのに、気になる男の子にはなかなかアプローチできません。気持ちに気付いた男の子もうまく応えられないというもどかしさが、学生間の恋愛をリアルに描いています。学生時代の甘酸っぱい思い出やほろ苦い過去を思い出して読んでいると、つい引き込まれてしまいます。登場人物たちが恋愛や友情に一喜一憂する姿に思わず泣き笑いしてしまいました。
学生さんが読んでも楽しいですし、社会人の方が読んでも青春時代を思い出して感動する部分はあると思います。主人公の友人たちも2人の恋愛を応援する傍ら、それぞれの物語を持っています。作品全体に幸せな雰囲気があり、恋愛だけでなく友情や青春にも感動できる作品です。
- 作者:阿賀沢紅茶
- 出版社:集英社
- コミック発売開始日:2022年7月4日
『エマ』中世時代の「禁断の恋」にハラハラドキドキ

選出:ブックファースト 新宿店・水川さん
中世のメイドさんと上流階級の男性との間で恋が芽生えてしまうストーリー。当時ではあってはならない身分違いの「禁断の恋」です。時代の波によって引き裂かれてしまいそうになる場面、「身分違いの恋愛をする」ことの当時の反応、2人の結末に感涙してしまいます。
身分や階級の違う2人の恋はタブーとされている中で、身分を超えて相手をただ想う純粋な愛に、ハラハラするし泣けてしまいます。現代のようにSNSやメールがあるわけではないので、走って会いに行くシーンの純粋さにはハッとされられました。
時代考証もすごくしっかりしていて、当時の生活の様子をリアルに描いています。美しい調度品やお屋敷の様子は必見で、隅から隅まで読み込んでしまいます。
- 作者:森薫
- 出版社:エンターブレイン
- コミック発売開始日:2002年8月30日
『愛人(AI-REN)』アンドロイド少女との壮絶なストーリーが泣ける

選出:ブックファースト 新宿店・水川さん
「愛人」と書いて『AI-REN(アイレン)』と読みます。滅亡に向かう人類を描いた近未来のSF作品で、現在は絶版になっています。主人公は、病気で死んでしまうことがわかっています。自身を慰めるために創り出したアンドロイドの女の子と主人公とのいびつな恋愛が描かれています。
死ぬ間際の自分のことを好きになる女の子との恋愛は禁断的で許されないように思えるのですが、創り出した女の子は生まれたての赤ちゃんの様で、死期が近い主人公が育てなければならなくなります。
女の子は長くても10カ月しか生きられないように作られているので、もしかしたら自分よりも先に死んでしまうかもしれない……。そんな2人の成長と別れが本当にものすごいスピード感で進んでいきます。近未来がゆえの出来事もさまざま起きる中で、2人の純粋な恋愛が描かれています。ストーリーのラストは壮絶な展開になるのですが、すごく泣ける作品です。
- 作者:田中ユタカ
- 出版社:白泉社
- コミック発売開始日:1999年11月1日
『ハチミツとクローバー』「報われない恋」に心が締め付けられる王道作品

選出:ブックファースト 新宿店・水川さん
王道の恋愛マンガでおすすめしたいのが『ハチミツとクローバー』です。映画化・アニメ化されている有名な作品ですでに完結しています。
美大を舞台にした作品で、登場人物たちの淡い恋愛模様を描いています。登場人物の経験する恋愛はもちろんハッピーエンドの部分もあるのですが、叶わない恋も多く、「報われない恋」「破れた恋」といった切ない恋の結末には胸が締め付けられ涙してしまいます。登場人物みんなが儚い恋に傷つきながらも前を向き、最後にはそれぞれの青春や道を見つけ出す成長物語になっているところも感涙です。
- 作者:羽海野チカ
- 出版社:集英社
- コミック発売開始日:2002年8月19日
『ラヴァーズ・キス』絶対に交わらない“ごく自然な同性愛”が切ない

選出:未来屋書店 碑文谷店・中島さん
悪い噂が絶えない男の子と女の子のカップルを中心に、いくつもの片思いが巻き起こる短編集です。主人公の男の子と女の子は離ればなれになることがわかっていて、ひと夏しか一緒に過ごせません。そんな主人公の男の子に、片思いをする男の子がいるのです。でも、相手には恋人がいるので好きだということを自覚した途端に失恋しちゃうわけです。
さらに、主人公の女の子のことを好きになる女の子もいるのですが、当然そこも片思いで恋が叶うことはない。ひたすら片思いが交差するけれど絶対に交わらないのです。当たり前のように同性を好きという関係があって、それがすごく自然。でも絶対に叶わないところがとても切なくて泣けてしまいます。江ノ島を舞台としていて、江ノ電が登場する風景にも強烈な印象が残ります。
- 作者:吉田秋生
- 出版社:小学館
- コミック発売開始日:2013年2月14日
『日々蝶々』とにかく硬派な空手男子と健気な女の子にキュンキュン

選出:未来屋書店 碑文谷店・中島さん
主人公の女の子・すいれんがめちゃくちゃ可愛いのです。あるときクラスの男子に絡まれて困っていたところを、空手一筋の川澄に助けてもらったところから恋が生まれます。この川澄がとにかく硬派で、この硬派っぷりは少女マンガにはなかなかないと思います。
川澄は女の子に興味がないので、すいれんとどうやって話していいかわからないし、すいれんも元々口数が少ないので、なかなか2人で話せない。それでも周囲の友達の助けもあって、何とかすいれんが川澄に気持ちを伝えるんですけど、川澄は女の子に興味がない。すいれんがすごく健気で、キュンキュンしちゃいます。最後の卒業式のシーンは特に感動ですね。女の子はみんな好きなのではないかなと思います。
- 作者:森下suu
- 出版社:集英社
- コミック発売開始日:2012年7月25日
『私たちが恋する理由』男性にもオススメ、仕事に悩む大人の切ない恋物語

選出:未来屋書店 碑文谷店・中島さん
とにかく大人の男女におすすめの作品です。女性向けの作品なんですけど、大人の男性でもキュンキュンできるので、ぜひ男性にも読んでほしいですね。少しずつタイプの違うカップルが4組登場して、必ずどれかは応援したくなると思います。
どのカップルも仕事に悩みながら、恋も諦めたくない様子がとても愛おしくなります。若さで突っ走るのではなく、若くないからこそ、本当にその恋に進んでいいのか二の足を踏む姿は、切なくなりつつも幸せになることを願わずにはいられなくなります。そこが男性にも読んでほしいポイントです。
この作品の作者であるma2(マツ)先生がサラリーマンを描かせたらピカイチで、サラリーマンのファッションもとても素敵なので注目です。
- 作者:ma2
- 出版社:祥伝社
- コミック発売開始日:2021年4月8日
『赤髪の白雪姫』王子様と両思いの女の子に恋心を抱く側近に感涙のファンタジー作品

選出:未来屋書店 碑文谷店・中島さん
王宮の薬剤師を目指す女の子と王子様が主人公のファンタジー系の作品です。王子であることを明かさなかった男の子と、髪の毛が赤いことで目立ってしまっている女の子・白雪が森で偶然出会い、お互いに恋心が芽生えるところからストーリーが始まります。
ある日、白雪と王子は敵の刺客・オビに襲われてしまうのですが、王子はオビの人柄を認めて側近として仲間に招き入れます。王子と白雪は両思いなんですけど、オビも白雪を好きになってしまうのです。でも、オビは王子に拾ってもらった恩があるので、王子のことをとても信頼しています。
オビが王子に「白雪が好きなのか」と問われたときに、彼は白雪への想いを正直に伝えながら、王子への忠誠心も忘れていない。王子と白雪の恋愛はもちろん、2人に信頼されながらも切ない恋心を抱くオビのことを考えると、本当に泣けてきてしまいます。
- 作者:あきづき空太
- 出版社:白泉社
- コミック発売開始日:2007年12月5日
『薫る花は凛と咲く』底辺校とお嬢様学校に通う2人の誠実で真面目な恋

選出:未来屋書店 碑文谷店・中島さん
少年誌に掲載されている作品で、いま私が個人的に一番推しているマンガです。ロミオとジュリエットみたいな設定です。
隣同士で塀を隔てた2つの高校があり、女の子が通うのは出来の良い上品な女子校。一方、男の子が通うのは底辺と呼ばれる学校で、女子校の生徒たちに見下されています。そうしたなかで、男の子の家が営むケーキ屋さんで2人が出会い、意識するうちに恋愛に発展します。
学校の環境があまりに違うので、お付き合いになかなか繋がらないのですが、2人は自分の気持ちを言葉にします。誠実にお互いの気持ちを伝え合い、真面目に恋をしている姿はキュンキュンするのと同時に感動します。
2人は自分たちの友達との関係も大切にしています。2人の友達同士も、これまでのステレオタイプにとらわれずに相手の学校を理解しようとします。そんな姿も感動的です。
- 作者:三香見サカ
- 出版社:講談社
- コミック発売開始日:2022年3月9日
その他の注目の恋愛マンガ
ここではebookjapanの「恋愛」ジャンルにおいて月間ランキングトップ3(2023年10月18日時点)となった注目の作品を紹介しています。
電子書籍サイトでマンガを購入する際はクーポンやキャンペーンを活用すればお得に購入できます。電子書籍サイトのクーポン・キャンペーン情報は以下の記事で紹介しています。
『その着せ替え人形は恋をする』(12巻)

- 作者:福田晋一
- 出版社:スクウェア・エニックス
- コミック発売日:2023年9月25日
『外科医エリーゼ』(10巻)

- 漫画:mini、原作:yuin
- 出版社:KADOKAWA
- コミック発売日:2023年10月4日
『うるわしの宵の月』(7巻)

- 作者:やまもり三香
- 出版社:講談社
- コミック発売日:2023年10月13日