ネクスト・ゴール・ウィンズ

最弱サッカーチームが起こした奇跡『ネクスト・ゴール・ウィンズ』はディズニープラスで配信中

負けるが勝ち?の応援ストーリー

サッカーW杯予選には世界中から200以上の国と地域が参加しますが、もちろんランキング最下位の国も存在します。ディズニープラスで配信中の映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』は、そんなサッカー最弱国・米領サモアの実話を元にしたヒューマン・ドラマです。

2001年のW杯予選でオーストラリア代表と対戦したサモア・サッカー代表チーム。0-31という大敗を喫しましたが、本作はそこから這い上がるチームとコーチの姿をコミカルかつ温かな視点で綴っています。

監督を務めたのは、『マイティ・ソー』シリーズや、第92回アカデミー脚色賞受賞作『ジョジョ・ラビット』を手掛けたタイカ・ワイティティ。サモアの人と同じポリネシア系にルーツを持つワイティティ監督が、彼ならではの深い洞察力と陽気な作風で、爽やかな笑いと感動を届けてくれます。

『ネクスト・ゴール・ウィンズ』を見る(ディズニープラスで配信中)

最弱チームと訳あり監督のドタバタ成長劇

W杯予選史上最悪の大差で敗れた米領サモア・サッカー代表は、チーム強化のため、アメリカから代表監督を招聘することに。白羽の矢が立ったのは、短気な性格ゆえにやっかい者扱いされ、本国チームをクビになったアメリカ人監督のトーマス・ロンゲンです。

嫌々ながらもサモアにやってきた彼は、チームのあまりのレベルの低さに愕然とします。技術も戦術もないチームを立て直すため、ロンゲンは規律を重視させ、彼らの体力アップを図るトレーニングを課すことに。しかし、文化も常識も全く異なるポリネシアの気風には馴染まず、選手たちから反感を買います。

そんな中でロンゲンは、ポリネシアの伝統的な存在である第3の性「ファファフィネ」であるジャイヤを中心にチームを作り直すことを決意します。チームの悲願は勝利ではなく、1ゴールでいいから得点を決めること。そして、いよいよ米領サモア代表チームは、トンガ代表との戦いに挑みますが……。

サッカー先進国のようにプロリーグのないサモアで、選手たちは皆、仕事をしながらサッカーに打ち込んでいます。当初は戸惑うあまり反発ばかりしていたロンゲンですが、チームメイトたちの事情を知るにつれ、徐々に考えを改めていきます。苦い経験を持つ一人の人間の成長も同時に味わえるストーリーです。

どこまでも陽気なポリネシアの人たち

物語を彩るのは多彩な登場人物たちです。特に注目されるのは、ポリネシアに伝わる伝統的な第3の性「ファファフィネ」を持つジャイヤ。実際の代表チームにもファファフィネの選手がいたのですが、この役を演じたカイマナ自身もファファフィネです。

ファファフィネは、一見すると「ノンバイナリー」(性自認を固定化しないセクシュアリティ)のようでもありますが、ジャイヤ自身は自らを「両方のジェンダーの特徴を持つ存在」と語っています。

セクシュアリティに留まらず、ポリネシア圏のあらゆる文化的気風を肯定している点がこの映画の大きな魅力です。ロンゲン監督は彼らに勝つための責任や闘争心を植え付けようと奔走しますが、それではうまくいかないことを悟り、指導者として自ら大きな転換期を迎えます。

ポリネシアの人々はとにかく陽気でポジティブ。彼らのようにハッピーな空気満載の本作は、「人生は楽しんだもの勝ち」そう心から思わせてくれます。

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『ネクスト・ゴール・ウィンズ』のストーリー

2001年のW杯予選で史上最悪の結果を残した米領サモアのサッカー代表チーム。型破りなコーチと最弱チームが真の勝利に向かって立ち上がる、笑いと涙のヒューマン・コメディ。

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SORA