アップル、ゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」を発表 価格は3499ドル

来年初めに米国で販売開始

Appleは2023年6月5日(米国時間)、開発者向けイベント「WWDC 2023」において、ゴーグル型の新デバイス「Apple Vision Pro」を発表しました。

部屋の中にアプリ画面が立体的に表示される

Apple Vision Pro

アプリのインターフェイスが部屋の中に立体的に表示される

Apple Vision Proは、本体前面にカメラを搭載し、ユーザーの視界を内部のディスプレイに映し出します。ユーザーの視界には、Safariやメッセージといったアプリのアイコンが表示される「ホームビュー」が現れます。ホームビューのアプリアイコンに目を向けると、内部のカメラが目の動きを検知し、目を向けたアイコンが浮き上がって反応します。

ホームビューからアプリを起動すると、ユーザーを中心にアプリのインターフェイスが部屋の中に存在しているかのように表示されます。インターフェイスは床に影を落とし、立体感を感じることができます。複数のアプリを開くと、ユーザーを取り囲むようにインターフェイスが出現し、目線を動かすことで使用するアプリを切り替え可能です。

基本操作は目と手、声でおこなう

Apple Vision Pro

Apple Vision Proの操作は、ユーザーの目と手、声でおこなう

Apple Vision Proの操作は、基本的にユーザーの手と目、声でおこないます。追加のコントローラやハードウェアは必要とせず、目線の移動をしたり指を上下に動かしたりすると、空間に表示されたインターフェイスを操作できます。テキストの入力は、バーチャルキーボードか音声入力を使用します。もちろん、トラックパッドやマジックキーボードを接続して、ポインタの操作やテキストの入力をするといったことも可能です。

近くに人がいるときはユーザーの目が外部ディスプレイに表示

Apple Vision Pro

近くに人がいると、外部ディスプレイに着用者の目が映し出される

Apple Vision Proを装着している間、周りの環境は常にディスプレイ越しに見られます。近くに人がいるときは、外部のディスプレイに装着しているユーザーの目を映し出します。

Apple Vision Pro

着用中に人が近づいてきた場合は、内部ディスプレイに近づいてきた人が表示される

一方で、映画や瞑想などに集中したいときは、外部の状況をシャットアウトすることもでき、外部のディスプレイにはユーザーの目は表示されません。ただし、誰かがApple Vision Proを装着したユーザーの近くに来ると、Apple Vision Proの内部ディスプレイに近づいてきた人を表示します。仮想空間と現実世界をシームレスに行き来できるというわけです。

Apple Vision Pro

「環境」で大自然などの仮想空間を拡張することもできる

「環境」で仮想空間を拡張する機能も利用できます。狭い部屋でApple Vision Proを使っている場合でも、「環境」を拡張すれば大自然の中にいるような状況を再現可能です。本体に搭載されているDigital Crownを回せば環境の拡張度合いを調整でき、どっぷりと大自然の風景に浸かってリラックスするという使い方もできます。大自然だけでなく、明るい部屋にいる状況でも擬似的に暗い環境を再現可能なので、昼間でも映画館の状況を作り出してコンテンツへの没入感を高められます。

Apple Vision Pro

Macの画面を空間上に表示させられる。ディスプレイサイズにとらわれずにタスクをこなせる

Apple Vision Proは、単体でのアプリ使用に加えて、Macとの連携機能も用意されています。Apple Vision Proを装着した状態でMacを開くと、Mac上で表示されている画面が空間上に表示され、Macのディスプレイサイズにとらわれずに作業やコンテンツの視聴ができます。Apple Vision Proのアプリの画面と、Macの画面を同時に空間上に表示させることもできるので、ARを利用したマルチタスクもできるでしょう。

3D写真や3Dムービーの撮影・視聴が可能、音響も空間オーディオに対応

Apple Vision Pro

3D写真や3Dムービーは本体上部のボタンを押して撮影する

また、Apple Vision Proは本体前面に搭載する複数のカメラを利用して、3D写真と3Dムービーを撮影できます。撮影した3D写真や3Dムービーは、Apple Vision Pro上で再生でき、Appleによればその場にいるような臨場感を得られるといいます。3D写真と3Dムービーの撮影は、本体上部に搭載された物理ボタンを押しておこないます。

Apple Vision Proでは、両側のつるの部分に内蔵された「オーディオポッド」で音を再生します。空間オーディオに対応するため、映画やFaceTimeなどを利用しているときに、ユーザーは立体感のある音を感じられます。また、「オーディオレイトレーシング」という技術によりユーザーのいる部屋を解析し、部屋に応じた音響に最適化してくれます。もちろん、AirPodsをペアリングしてイヤホンから音を聞くことも可能です。

M2 ProとR1チップを搭載、OS名は「visionOS」

Apple Vision Pro

「Optic ID」は虹彩の特徴を利用した生体認証システム

Apple Vision Proのチップには、M2 Proと、Apple Vision Pro専用のAppleシリコンであるR1チップを搭載します。Apple Vision ProのOSは、「visionOS」と名付けられました。visionOSでは、Apple Vision Proの生体認証システムとして、虹彩を使った「Optic ID」を採用しています。登録したユーザーの虹彩を読み取って、デバイスのロック解除やApp Storeでの購入などを可能にします。

Apple Vision Pro

使用中は電源またはバッテリーへの有線接続が必要

Apple Vision Proは、外部のコントローラやデバイスを必要としないものの、電源との有線接続が必要となります。電源に接続した状態であれば1日中使用可能で、外付けの専用バッテリーに接続している場合は、最大2時間まで利用できます。Apple Vision Proを使用する際は、本体左側にケーブルを常時取り付ける必要があります。

Apple Vision Proの本体価格は3499ドルから。まず米国にて来年はじめに発売される予定です。Appleは、来年末までには米国以外の国での販売も開始するとしています。

EDITED BY
TOKIWA