Google Glassなどのウェアラブル端末やスマートフォン向けに開発されているシステム「InSight」は、顔ではなくファッションなどの外観によって他人を識別する。Googleが一部資金提供を行なっているこのプロジェクトは、先週開催されたHotMobile 2013において発表された。
人の識別技術では、顔認識技術が1つの手法ではあるものの、常にそれが有効とは限らない。例えば、駅や空港などの人混みの中で友だちを探す時、顔を認識することができれば即座に居場所を特定することができるが、その友だちが顔をこちら側に向けているわけではない。人混みなら尚更、顔を認識することは難しい。
そこで、InSightは、顔認識を補う手法として、服装や装飾品、運動パターンを活用する方法を採用している。服の色や質感、縞模様などを分析し、spatiogramというファイルを作成することで、それによって個人を識別する。外見の"指紋"のようなものが一時的に生成されるようなものだ。
これによって、例え背中を向けている友だちであっても識別できる。研究チームが行った初期段階のテストでは、テスト時間の内93%の時間中、背中を向けている人間を識別することができたとのこと。
顔認識の場合は顔の造形を変更することは容易ではないのに対して、このInSightの場合は服装などを変更することで再び匿名状態になることができる。
大好きなミュージシャンのコンサートに行きたいがチケットを持っていない場合、自分の外見の"指紋"を添付して「余っているチケットを現地で譲ってほしい」とツイートしておけば、譲ってくれる相手が自分の顔や名前を知らなくても、人混みの中で自分を容易に識別してくれるようになる、そんな状況が訪れる日も遠くないかもしれない。
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