東北大学とNECの産学連携チームは11日、世界で初めて、電子機器の待機電力ゼロのシステムLSI実用化に向けた技術を開発し、試作チップでの動作に成功したことを発表した。
現在、スマートフォンなどの電子機器に広く使われているメモリは「揮発性メモリ」と言われているもので、電源が遮断されるとメモリ上のデータも消失してしまうという特徴がある。この特徴により、揮発性メモリは電源の遮断や復帰に時間がかかるほか、常時通電しなければならないために、待機電力が大きいことが課題となっていた。
今回開発されたチップは「不揮発性メモリ」と演算回路をコンパクトに一体化し、「瞬時読出し可能な記憶の保持」機能と、「非稼働部の電源電圧を完全に遮断する」機能を両立させていることが最大の特徴。これによって、システムLSIの超低消費電力化だけではなく、大容量化に向けて大きく前進したことになり、近い将来の実用化が期待される。
このLSIが実用化されれば、以下のような電子機器が実現されるという。
- 瞬時に起動する超低消費電力PC
- 動いていないときは電源OFFできるスマホ
- コンセントを抜かなくても省電力な電子機器
読売新聞などは、スマホの電池持ちが10倍になるとして、このニュースを報じている。
- 世界初、スピントロニクス論理集積回路の信頼性を向上する技術を開発(2012年6月11日): プレスリリース | NEC
- スピントロニクス技術を用いた世界最小の待機電力ゼロ汎用検索集積回路(TCAM)の実証(2012年6月11日): プレスリリース | NEC
- 情報提供元:Tech-On!
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