軟骨伝導を適用したスマホをロームが提案、騒音環境下でも快適な通話が可能に

半導体メーカーのロームは、軟骨伝導を適用したスマートフォンならびに携帯電話の体験デモ機を製作した。体験デモ機では、軟骨伝導の優位性を最大限活用することに成功。スマホの角の振動で聞くという新たな通話スタイルを提案する。

スマホの角に振動パワーを集中させたことで、携帯電話裏面等他の部位からの気導音発生による音漏れが相対的に減少し、周囲に迷惑をかけずプライバシーも守れる通話スタイルも可能となった。騒音環境下でも、スムーズかつ快適に通話できる。

従来の方式とは異なり、スマホの角を耳にあてて通話するので、慣れるまで違和感があるかもしれない。通話が聞き取りにくく、つい大きな声を出してしまう、という人は減るだろう。

また、この技術を取り入れた新しいデザインのスマホも登場するかもしれない。スマホユーザとしては、将来が楽しみな技術が一つ増えた。

軟骨伝導のしくみについての説明は、下記の通り。

軟骨伝導のしくみ

通常、スピーカーなどから発生する音は、空気中を伝わった音が耳の穴から入って鼓膜に伝わります。また、古くから知られている骨伝導は、骨に伝えた振動が直接内耳に伝わるものです。

軟骨伝導では、耳軟骨に接触する振動源(右図に赤い輪の断面で示す部分)から直接気導、軟骨骨導、および軟骨気導の3つのルートにより音が内耳に伝達され聞こえます。

直接気導は通常の音であり、軟骨骨導も軟骨を経由していますが最終的には骨伝導です。

これに対し、軟骨気導は奈良県立医科大学の細井裕司教授により新たに解明された現象で、軟骨に伝わった振動により外耳道内で音が生まれ、鼓膜に伝わるものであり、軟骨伝導において大きな役割を果たしています。聞きたい音が鼓膜の近くで生まれるという特色があります。

さらに振動源の耳軟骨への接触圧の増加に応じて音量が増大するとともに、接触圧をより高めて耳珠(耳の穴の前にある軟骨の突起)で耳の穴を塞ぐと、音量が最大になると共に外部雑音が遮断されるという、騒音環境下でも聞きやすいユニークな特長を備えています。


軟骨伝導を適用したスマートフォンを新提案(ローム株式会社)より引用