原作・山川直輝、作画・朝基まさしによる大ヒットコミック『マイホームヒーロー』。ヤングマガジンでの連載と合わせてドラマと劇場版の両方で実写化され、話題をさらいました。現在ディズニープラスでは、今年公開された劇場版が早くも独占配信されています。
映画で展開するのはドラマ版の7年後の世界。かつて主人公が娘を守るために犯した罪により、家族が再び追い詰められていく様子がスリリングに描かれます。
『マイホームヒーロー』を見る(ディズニープラスで配信中)
娘を守るために罪を犯した父、2人の戦いの先にあるものとは
平凡な中年サラリーマンである鳥栖哲雄は、「半グレ集団」の彼氏がいる零花を守るため、かつて殺人を犯しました。殺した男・麻取延人の遺体は上手く処理したのですが、組織に目を付けられてしまう哲雄。ミステリー好きの知識を活かして、なんとか窮地を切り抜けていきます。それから、7年が経過します。
その間、娘の零花は刑事となり、年の離れた弟・明も生まれ、妻の歌仙とともに家族は仲睦まじく暮らしていました。しかし、あることがきっかけで、捜査の手が哲雄に及ぶようになります。その後、犯罪組織「間野会」からも追われるようになり、家族の危機が訪れます。
一部原作と重なる部分はあれど、オリジナルのストーリーが展開する本作。しかし、『マイホームヒーロー』がもつクライムサスペンスの雰囲気は健在です。ミステリー小説好きの主人公は、巧妙なトリックで間野会の連中を追い詰めていきます。数々の修羅場をくぐってきた哲雄の頭脳明晰さはもはや普通の中年サラリーマンには見えず、頼もしさを感じます。
また、本作では父の犯した罪を知らずに刑事になった娘の零花が物語のカギを握ることになります。「どんな理由であれ罪を犯した人間を許さない」と豪語する、正義感の強い零花。彼女が真実を知ることになるかどうかも気になるところです。また、哲雄は警察や犯罪組織と対峙するだけでなく、娘の葛藤との向き合い方も問われることになります。ドラマ版にはなかった新たな戦いが描かれ、家族愛のテーマがより一層深く掘り下げられています。
ドラマ版にはない、主要キャストの魅力が満載
主人公の鳥栖哲雄を演じるのは、ドラマ版に続き佐々木蔵之介です。平凡に見えて家族を守るためなら恐るべき力を発揮する主人公を、内に秘めた熱情を感じさせる演技で見事に表現しています。また、ドラマ版から引き続き登場する主要キャストの中でも、以前とは異なる存在感を放っているのが、刑事となった零花を演じる齋藤飛鳥です。男性の犯罪者を追いかけ組み伏せたり、同僚の刑事もスパーリングでやり込めたりするなど、激しいアクションからは7年間の成長を感じます。
注目すべきは、間野会のトップを務める志野を演じた津田健次郎です。狡猾で残忍、神経質な部分もある異様な悪役を嬉々として演じており、映画に強いアクセントを加えています。その他、殺し屋の窪を演じる音尾琢真も強烈な役どころです。
加えて、半グレから足を洗い逃亡生活をしている間島恭一を演じた高橋恭平(なにわ男子)や、映画オリジナルのキャラクターであるハッカーの大沢を演じる宮世琉弥などが脇を固めます。間島の母親とのエピソードなど、家族愛を鳥栖一家とは別の視点から捉えたシーンもとても印象的です。
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『マイホームヒーロー』のストーリー
平凡なサラリーマンでありながら、娘の彼氏を殺してしまった主人公。出現した遺体と莫大な資金を巡り、父と娘、半グレ組織の新たな戦いが幕を開ける。
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