映画音楽の巨匠の秘密と半生に迫る『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』、ディズニープラスで配信中

映画音楽の巨匠の秘密と半生に迫る『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』、ディズニープラスで配信中

スピルバーグ製作総指揮のドキュメンタリー

『スター・ウォーズ』『インディ・ジョーンズ』『ジョーズ』に『E.T』、そして『ハリー・ポッター』。テーマ曲を聞けば誰もがその名シーンを思い出すこれらの映画音楽は、同じ作曲家によって作られています。その人は映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズ。世界の映画人から尊敬を受けており、アカデミー賞を5度受賞。その偉大な作曲家の実像に迫るドキュメンタリーが『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』です。ディズニープラスで独占配信が始まりました。

このドキュメンタリーの製作総指揮を務めるのは、数々の名作でコンビを組んだスティーブン・スピルバーグ。旧知の仲である彼自らが巨匠の半生に迫り、自身もその思い出を語っています。

ジョン・ウィリアムズは「世界最大のポップスター」

今年で92歳になるジョン・ウィリアムズはニューヨーク出身。父も音楽家で3人の姉弟とともに幼いころからピアノを習わされていたジョンは、カリフォルニアに引っ越してノースハリウッドの高校へと進学。父はハリウッド映画の音楽の仕事に就き、仕事の見学でよくスタジオを訪れていました。

戦時中はアメリカ空軍の音楽隊に配属され、戦後はジャズピアニストとして活躍していました。その後、テレビシリーズ『ピーター・ガン』の音楽演奏でピアニストとして参加すると、映画業界でのキャリアが始まります。60年代には人気テレビシリーズ『宇宙家族ロビンソン』、70年代にはパニック映画の傑作『ポセイドン・アドベンチャー』などで注目を集めると、当時若手監督だったスピルバーグが彼の音楽にほれ込み、『続・激突!/カージャック』の音楽を担当することに。その後、『ジョーズ』の世界的大ヒット、『スター・ウォーズ』の大ブームを経てジョン・ウィリアムズは一躍映画音楽の巨匠として認識されるようになっていきます。

そんな彼の偉業をスピルバーグやジョージ・ルーカスなど大監督たちが述懐します。『ジョーズ』のテーマ曲を作曲したピアノの前で、スピルバーグに初めて聴かせた時のことを再現するジョンにスピルバーグは「ジョークかと思った」と振り返ります。そのあまりにもシンプルな曲構成で驚いたようです。また、ジョージ・ルーカスは、あの有名なファンファーレの鳴り響く『スター・ウォーズ』テーマ曲ができる直前の心境を吐露しています。一体どんな曲ができるのかドキドキしていたようで、歴史的な名曲が生まれる瞬間の緊張感が浮かび上がってきます。

ジョン・ウィリアムズの影響は映画音楽のジャンルに留まらなかったことも、この作品は描いています。ボストン・ポップスの首席指揮者を務めたことや音楽教育者としての一面、ヨーヨー・マなどの世界的音楽家との共演や親交なども語られます。さらにはコールドプレイのクリス・マーティンもインタビューに応じており、「ジョンは世界最大のポップスター」と賛辞を送っています。

映画音楽の仕事をする前にジャズピアニストをしていた意外な経歴も語られ、彼の音楽人生を余すところなく見せる内容となっているのです。

映画にとって音楽がいかに重要か

このドキュメンタリーは、ジョン・ウィリアムズの半生を描くのみならず、映画にとって音楽がいかに重要なものかも描いています。ジョン・ウィリアムズが手掛けた作品群は、確かに音楽とともに記憶されていることが多いでしょう。『スター・ウォーズ』のテーマ曲を聞けばオープニングの映像が思い浮かんでくるでしょうし、『ジョーズ』の音楽を聞けば恐怖が蘇ります。では、それらの音楽がなかったとしたら、映画はどんな印象になるのか、本作は音楽を消したバージョンと音楽が入ったバージョンの映像を見せる試みを行っており、映画音楽の威力をわかりやすく伝えてくれるのです。

例に使われているのは『ジョーズ』と『インディ・ジョーンズ』のワンシーンなのですが、確かに音楽がないとすごく地味に感じますし、スリルが半減しているように感じます。とある映画監督は、「映画の半分は音で音楽は重要なんだ」と語るのですが、その言葉の説得力を映像で表現してくれています。

本作を見て何よりも強く感じるのは、ジョン・ウィリアムズは映画音楽を作ることを心から楽しんでいるんだなということです。音楽を作る喜びが全身からあふれ出ていて、それこそが92歳になっても意欲的に活動しつづける原動力になっているのでしょう。

『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』を見る(ディズニープラスで配信中)

『ジョン・ウィリアムズ/伝説の映画音楽』のストーリー

数十年にわたるキャリアを通して、ジョン・ウィリアムズが生み出した記憶に残る名曲は、人々に愛され続ける映画に欠かせないものとなっている。映画製作者やミュージシャン、そして彼に影響を受けた人たちの思いとともに、ジョン・ウィリアムズ自身の物語を見てみよう。映画史の成り立ちに焦点を当てた貴重な舞台裏も満載。

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