iOS 10では、iPhoneの画面ロックを解除することなく、通知経由でメッセージを返信できます(3D Touch対応機種に限定)。このロック中のメッセージ返信機能に対応しているのは、標準の「メッセージ」アプリ(iMessage/SMS/MMS)に限られているようです。
たしかに、このメッセージ返信機能は便利な機能です。iOS 10では同じメッセージ画面内で連続してメッセージを送受信できるため、ロック中のiPhoneでも十分にコミュニケーションできてしまいます。
しかし、高い利便性の一方で、物理的にiPhoneを触れる人間ならば誰でも複数のメッセージを送信できてしまうという危険性も存在します。たとえば、学校や職場などでiPhoneを放置している時や紛失・盗難時などに、悪意のある第三者によって一種の"なりすまし"が可能となってしまうのです。
また、さらに厄介なのは、このメッセージ返信機能が初期設定で有効になっている点です。iPhoneがさまざまなユーザー層に普及した現在、あまり設定をいじらずに使うユーザーは少なくないはず。そうだとすれば、それなりの数のiPhoneがある意味で無防備な状態に置かれていると言えます。
本記事では、ロック中のiPhoneからメッセージを返信する方法を紹介した上で、他人による勝手なメッセージ返信を未然に防ぐ設定を解説します。
ロック中のiPhoneからメッセージを返信する方法
3D Touch対応のiPhoneでは、ロック画面上の通知の強押しによって、メッセージを簡単に返信することができます。
1ロック画面に表示された通知をプレスする
ロック画面に表示された通知を強押し(プレス)します。強押しするのは、ロック中に引き下ろした通知センター上の通知でも構いません。
メッセージアプリから通知が届いている
2メッセージを返信する
メッセージ返信画面が3D Touch機能によって表示されます。返信メッセージを入力して送信します。
メッセージ返信機能
メッセージを返信しただけだと、この画面が継続して表示され続けます。メッセージは1回だけでなく何回でもやり取りができるので、ロック画面に戻ることなく会話を続けられます。
会話を続けれられる
ここまで指紋認証やパスコードによるロック解除を経由せず、メッセージを送ってきた相手とのコミュニケーションが成立しました。
他人による勝手なメッセージ返信を未然に防ぐ3つの方法
iPhoneの物理的セキュリティの壁を突破され、他人が勝手にメッセージの送受信をおこなってしまう事態を防止する方法を3つ紹介します。
1. 「メッセージで返信」機能をオフにする
まず、緩めの設定から紹介します。
「設定」アプリ→[Touch IDとパスコード]で[メッセージで返信]をオフにすれば、ロック中のメッセージ返信ができなくなります。
「Touch IDとパスコード」画面
この状態でメッセージを受信すると、通知をプレスしてもキーボードなどが表示されません。メッセージの内容は確認したいが返信機能は削っておきたい、というユーザー向けの設定となります。
メッセージを返信できない
2. 通知にメッセージ内容を表示しない
メッセージ返信機能をオフにする設定よりもプライバシー保護を高められるのが、ロック画面上の通知にメッセージ内容を表示させないようにする設定です。
標準メッセージアプリの場合、「設定」アプリ→[通知]で「メッセージ」アプリを選択し、[プレビューを表示]をオフにします。
「メッセージ」画面
こうしておけば、メッセージ内容が表示されなくなるのと連動して、メッセージに返信することもできなくなります(メッセージの確認および返信にはロック解除が必要)。
メッセージの内容部分が「iMessage」などと表示されるようになる
3. ロック画面に通知を表示しない
ロック画面に通知を表示しないように設定すれば、メッセージの内容確認と返信のためにはロック解除が必要となるのに加え、そもそもアプリからの通知自体が表示されなくなるため、さらに安全です。
「設定」アプリ→[通知]で「メッセージ」アプリを選択し、[ロック画面に表示]をオフにします。この設定はアプリごとにオン/オフを切り替えられるようになっています。
「メッセージ」画面
「ロック画面に表示」をオフにしておけば、ロック画面上で通知をチェックできません。通知センター上における通知も非表示状態になります。
検証端末:iPhone 7(iOS 10.0)、iPhone 6s/iPhone 5s(iOS 10.0.1)