Face IDは、iPhone X以降のホームボタンがないモデルで使われている認証システムです。iPhoneに登録した自身の顔を見せるだけで、画面ロックの解除やApp Store等での認証ができます。もちろん、いちいちパスコードを入力する必要はありません。
さまざまな認証が素早くおこなえる便利な機能ですが、うまく顔を認識してもらえないというユーザーも多いようです。そこで本記事では、Face IDがうまく機能しないときに考えられる原因とその対処法をまとめました。
原因1.顔の一部がマスクなどで隠れている
Face IDは、ユーザーの顔を画面の上部にある「TrueDepthカメラ」で読み取ってデータとして取り込み、照合することでロックを解除する仕組みです。そのため、マスクやマフラーなどで顔の大部分が覆われているとFace IDで認識できなくなってしまいます。
まず、根本的な対処法として顔を覆っているものを取るという対処法があります。認証に要する時間は短いので、Face IDが求められたときだけ取れば問題ありません。
花粉症や風邪予防でマスクが手放せないという人にとっては、iPhoneを開くたびにマスクを取るのは面倒で不便です。マスクなどで顔が覆われている時間が多い人におすすめなのが、マスクをしている姿を「もう一つの容姿」として登録するという対処法です。
「もう一つの容姿」の登録は「設定」アプリでおこないます。[Face IDとパスコード]を開き、iPhoneのパスコードを入力します。
Face IDに関する設定項目の中から[もう一つの容姿をセットアップ]を選択し、[開始]をタップしてマスク姿の容姿を登録してください。
なお、マスクを着用している姿を「もう一つの容姿」として登録するには、マスクを下にずらして鼻を出さなければなりません。そのため、Face IDを使うときにも必ずマスクから鼻を出す必要があります。
原因2.iPhoneを正面に構えていない
Face IDのためにユーザーの顔を捉えるTrueDepth カメラは、iPhoneの画面上部についています。そのため、iPhoneを正面に構えていないとユーザーの顔がカメラに映らず、ロックの解除等ができません。
また、Face IDにはセキュリティレベルを高めるために「Face IDを使用するには注視が必要」という設定があります。この設定をオンにしていると、Face IDに登録されているユーザーの顔を認識したとしても、ユーザーがiPhoneの画面を見ていない状態では画面ロックが解除されません。
当然のことながら、ユーザーの顔がカメラに映らない限りはFace IDでの認証はできません。Face IDを使用するときはiPhoneを顔の正面で構えるようにしましょう。
iPhoneの画面を見ているつもりなのにFace IDでなかなか認識されないという人や、いちいち視線を向けるのが面倒に感じる人は、「Face IDを使用するには注視が必要」をオフにするという対処法があります。この機能をオフにすると、ユーザーがiPhoneの画面を見ていなかったり、目を閉じていたりしても、登録している顔を認識すると画面ロックが解除されます。
左:「Face IDを使用するには注視が必要」をオフにする右:警告メッセージで[OK]
「設定」アプリの[Face IDとパスコード]から「Face IDを使用するには注視が必要」のスイッチをオフにしてください。セキュリティに関する警告メッセージに[OK]をタップすると設定完了です。
ただし、顔さえ検出されればFace IDがパスできてしまうため、寝ているときなどに他人にロックが解除されてしまう恐れもあります。「Face IDを使用するには注視が必要」をオフにするときは、このような意図しないロック解除に注意が必要です。
原因3.TrueDepthカメラがケースなどで覆われている
TrueDepthカメラは、iPhoneの画面上部にあるベゼル部分の両端に搭載されています。ベゼル部分とほとんど同じ色で溶け込んでいるため、よく見ないと分かりづらいかもしれません。
TrueDepthカメラは丸で囲われている部分に搭載されている
このカメラ部分にケースや汚れなどが被さってしまうと、Face IDは機能しなくなってしまいます。
対処法は至ってシンプル。カメラ部分を遮っているものを取り除くだけです。画面の保護フィルム内に汚れや気泡が入っている場合は、もう一度フィルムを剥がして貼りなおしましょう。
原因4.一時的にiPhoneの調子が悪い
iPhoneを使っていると、何らかの不具合で特定の機能がうまく働かないときがあります。Face IDもそのような不具合の影響を受ける可能性があります。
原因不明の不具合に対して有効な手段は、iPhoneの再起動です。ホームボタンのないiPhoneの場合は、サイドボタン(電源ボタン)といずれかの音量ボタンを同時に長押しします。
「スライドで電源オフ」と表示されたら、電源マークを右側にスライドして電源を切ってください。画面が暗くなってから数秒ほど待つと完全に電源が切れるので、今度はサイドボタン(電源ボタン)のみを長押ししてiPhoneを起動します。リンゴマークが消えてパスコード入力画面に遷移したら再起動が完了です。
再起動後、一度パスコードでログインしないとFace IDは有効になりません。パスコードでログインした後、再度スリープさせてからFace IDが正常に機能するか試してみてください。
原因5.iPhoneが近すぎるか遠すぎる
iPhoneが近すぎたり、遠すぎたりすると、iPhoneと顔が正面で向き合っていてもFace IDで認識されない場合があります。
iPhoneと顔を適正距離に保ちましょう。AppleによるとFace IDが機能しやすい距離は「顔から25〜50cm」とのことです。とはいえ、よほどiPhoneと顔が近くないとエラーは発生しません。普通にiPhoneを手に持った状態では、顔との距離のことはあまり気にしなくても良いでしょう。
原因6.iOSのバージョンが古い
iOSのバージョンが古いままだと、基本機能の動作に影響を及ぼす可能性があります。
「設定」アプリでiPhoneのiOSはどのバージョンなのかを確認しましょう。
iPhoneのiOSバージョンは、「設定」アプリの[一般]から[ソフトウェア・アップデート]を選択すると確認できます。
「お使いのソフトウェアは最新です。」というメッセージが表示されていれば問題ありません。iOSが最新でない人はアップデートをおすすめします。iOSのアップデート手順は下記記事にて解説しています。
原因7.自分の容姿が劇的に変化した
自分の顔が、すでにFace IDに登録している容貌から劇的に変化すると、Face IDでユーザー本人と認識されないときがあるようです。しかし、髪型を変えたりメガネを外したりといった程度の変化はFace IDの認識に影響ありません。
Appleによると、「顔いっぱいに生えていた髭を剃った」ときなどが劇的な容貌の変化に該当するようです。
ユーザーの容姿の劇的な変化に対応するには、現在の顔を「もう一つの容姿」として登録すればOKです。「もう一つの容姿」の登録方法は前述のとおりです。
検証端末:iPhone X(iOS 13.3)