iPhoneやiPad、MacといったApple製のデバイス間であれば、面倒な手順を踏まずとも「AirDrop(エアドロップ)」機能を使ってデータを送受信できます。
送信相手の連絡先が分からなくても、近くのiPhoneやiPad、Macと写真や動画、URL、位置情報などをかんたんに直接やりとりできるので、AppleユーザーであればAirDropは絶対にマスターしておきたい機能です。
本記事では、AirDropの使い方をくわしく解説します。
AirDropとは
AirDropは、Apple製のデバイス(iPhone/iPad/Mac)間で使えるファイル送受信機能です。
AirDropはBluetoothとWi-Fiを利用してファイルを送受信するため、デバイスが通信回線に接続していない状況でも問題ありません。また、送受信時のデータ使用量を気にする必要がない点もAirDropの特長の一つです。
iOS 12までは、知らない人からのAirDropで写真を受信した場合でも画像が表示されていた。iOS 13では改善され、連絡先に登録されていない人からAirDropを受信した際は、画像が表示されないようになっている
また、AirDropの受信設定はファイル共有をする状況に応じて変更することができます。以下の3種類の受信設定から選択可能です。
- 受信しない(なし):AirDropの受信がオフの状態で、相手のデバイスから検知されない。ただしAirDropの送信は可能。
- 連絡先のみ:iPhoneの「連絡先」に登録されている相手からのみ受信できる状態。ただし、お互いがiCloudにログインしている必要あり。
- すべての人(全員):すべてのAppleデバイスから受信できる状態。相手の連絡先を知らなくても受信が可能。
AirDropで送受信をおこなう相手が「連絡先」に登録されている場合以外は、「すべての人」を選択しましょう。「すべての人」では、連絡先等を全く知らない相手からも受信できるようになるため、AirDropを使用するために連絡先を交換するといった無駄な手間が省けます。
ただし、「すべての人」の設定はその利便性の反面、知らないAppleデバイスからも自分のデバイスが検出できるようになってしまいます。自分のデバイスの名前が外部に知られたくない人は、AirDropによるデータ共有が終わったら「受信しない」か「連絡先のみ」に変更しておきましょう。
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iPhone間でAirDropを使う手順
iPhone間でAirDropを使ったデータの送受信方法について順を追って解説していきます。
BluetoothとWi-Fi、AirDropをオンにする
まずは、送信側と受信側のどちらもBluetoothとWi-Fiをオンに設定する必要があります。送信側はAirDropの設定もオンにしておく必要があります。ただし、送受信どちらもWi-Fiの接続の有無は関係ありません。
コントロールセンターから設定をオンにするには
コントロールセンターからBluetooth、Wi-FiとAirDropの設定をオンにできます。このやり方のほうが、どんな場面でも素早く設定できるのでおすすめです。
画面右上(iPhone X以降)もしくは下部(iPhone 8以前)からスワイプしてコントロールセンターを表示します。
BluetoothとWi-Fiは左上のブロックで設定が可能です。ここでBluetoothとWi-Fiのマークが青色か白色であれば、BluetoothとWi-Fiはオンになっています。
AirDropを設定するには、左上のブロックを長押しか強く押して、詳細なメニューを開きます。左下にあるAirDropの設定ボタンをタップすると、3種類の受信設定が表示されるので「連絡先のみ」か「すべての人」を選択します。
「設定」アプリから設定をオンにするには
「設定」アプリからBluetooth、Wi-Fiの設定をオンにするには、[Bluetooth]または[Wi-Fi]を開きトグルスイッチをオンにします。
AirDropの設定は、[一般]→[AirDrop]から受信設定を選択します。
AirDropでデータを共有する
BluetoothとAirDropの設定が完了したら、AirDropで実際にデータをやり取りしてみましょう。
データを送信する
AirDropでは、さまざまなデータを相手と共有できますが、今回は写真データの共有を例に解説します。
共有したい写真を選択し、共有ボタンをタップします。写真の下に出てくるAirDropのアイコンを選択し、共有したい相手を選んでください。
選択した相手が共有を許可するか、辞退するか決めるまで、相手のアイコンの下には「待機中…」と表示されます。相手が共有を許可するとデータの送信が開始され、「送信済み」となったらAirDropでの送信は完了です。
一方で、相手がデータの共有を辞退すると赤字で「辞退」と表示されます。
なお、送信が完了する前に再度相手のアイコンをタップすると、データの送信をキャンセルできます。誤ったデータや相手を選択してしまったときに便利です。
データを受信する
AirDropでデータを受信する側は、データの共有を知らせるメッセージに対して「辞退」か「受け入れる」を選択するだけです。
「受け入れる」を選択すると自分のiPhoneにデータが保存されます。「写真」アプリが起動して、保存した画像が表示されます。
「辞退」を選択するとデータは共有されません。突然、知らないデバイスからAirDropによる共有リクエストがあったら迷わず「辞退」を選択しましょう。
iPhone 11以降ではiPhoneを向けるだけで送信相手を選択可能
iPhone 11以降のiPhone同士でAirDropを使いたいときは、自分のiPhoneを相手のiPhoneに向けるだけで共有相手の選択ができます。この機能はiPhone 11から搭載された「U1チップ」によるものです。iPhone XS以前のモデルにはU1チップが搭載されていないため、この機能を利用することはできません。
iPhone 11でAirDropを利用しようとすると、矢印マークが大きく表示されます。この状態で相手のiPhoneに自分のiPhoneを矢印方向に向けると、相手のアイコンが矢印部分に表示されます。この状態で相手のアイコンをタップするとデータの共有が開始されます。
相手のiPhoneの認識判定がそこそこシビアなので、ざっくりした方向に向けるだけでは相手のアイコンが表示されない可能性もあります。
この機能を使うには、お互いのiPhoneのBluetoothとWi-Fiがオンになっていることと、受信側のiPhoneが起動していることが必須です。受信側のiPhoneがスリープ状態(画面が点いていない状態)だと、送信側のiPhoneに認識されません。
iPhone・Mac間でAirDropを使う方法
AirDropは、iPhoneとMacでもデータのやり取りが可能です。Macから送信する方法とMacで受信する方法を解説していきます。
MacからiPhoneにデータを送信する
MacからiPhoneにAirDropでデータを送信する際には、FinderからAirDropの画面を開きます。
上のタブの[移動]から[AirDrop]をクリックすると開けます。
また、Finderウィンドウの左サイドバーから[AirDrop]をクリックしてもOKです。
AirDropを開くと検出できるユーザーが上の画像のように表示されます。送信したいファイルを送信相手のアイコンまでドラッグ&ドロップすればファイルの送信ができます。
また、いちいちAirDropの画面を開くのが面倒な場合は、指定のファイルで右クリックしてもAirDropによる共有ができます。ファイルを選択(複数も可)→右クリック→共有→AirDropと進んでください。
別ウインドウでAirDropの送信可能なユーザーの一覧が表示されます。送信相手のアイコンか名前をクリックするとファイルの送信が始まります。複数ファイルもまとめて送信できますが、画像ファイルとPDFファイルなど異なる形式のファイルを同時に送信することはできません。
Macでデータを受信する
MacからもAirDropの受信設定の変更ができます。
FinderからAirDrpの画面を開きます。ウィンドウの下部に「このMacを検出可能な相手」というメッセージがあるので、そこをクリック。iPhoneの受信設定と同様に、「なし」「連絡先のみ」「全員」から選択可能です。
Macの場合も、AirDropでの共有相手が連絡先に登録されていなければ、「全員」を選択することをおすすめします。
AirDropの画面を開いた状態でファイルを受信すると、送信したユーザーのアイコン上部にファイルを受け付けるか、受け付けないか選択するメニューが表示されます。[受け付ける]をクリックすると受信が開始され、Mac内のダウンロードフォルダに保存されます。[受け付けない]ではファイル受信を拒否できます。[”〇〇”で開く]は、受信したファイル形式によって開くアプリが変わります。
AirDropの画面を開いていない場合は、画面右上に通知ボックスでAirDropの受信が知らされます。
[受け入れる]をクリックすると、ダウンロードフォルダに保存するか、対応するアプリで開くかを選択できます。[辞退]は受信拒否です。
AirDropを使う上での注意点
Apple製デバイス間で簡単にファイルの送受信ができる便利なAirDropですが、使用する上でいくつか注意すべきポイントがあります。
送受信側ともにWi-FiとBluetoothがオンになっている必要あり
データを送信する側も受信する側も、Wi-FiとBluetoothがオンになっている必要があります。AirDropを有効化すれば自動的にWi-FiとBluetoothがオンになります。
ただし、設定上オンにするだけで良いので、Wi-Fiに接続している必要はありません。
「連絡先のみ」で受信する場合、送信側の連絡先の登録が必須
AirDropでデータを受信できる相手として検出できる範囲を[連絡先のみ]に設定した場合、送信側のメールアドレスまたは電話番号が受信側デバイスの連絡先アプリに登録されていることが必要となります。
AirDrop対応のデバイス・OSバージョン
AirDropでファイルを送受信するには、以下の条件に当てはまるiPhone、iPad、Macが必要です。
iPhone・iPadの条件
iOS 7以降を搭載したiPhoneまたはiPad(iPadOSも含む)が必要です。AirDrop対応モデルは、iPhone 5以降、iPad 4以降、iPad mini、iPad Air、iPad Proです。
Macの条件
iPhone・Mac間でAirDropを利用するには、OS X Yosemite以降をインストールした2012年以降のMac(ただしMid 2012 の Mac Proは除く)が必要です。Mac同士の共有ならば、より古いデバイスでも対応しています。
検証端末:iPhone X(iOS 13.1.2)