2023年3月27日から、パスポートの更新申請がオンラインでもできるようになりました。必要なのは、「マイナポータルアプリ」と「マイナンバーカード」だけ。従来の紙の申請書では、申請時と受取時の計2回、窓口へ出向かなければなりませんでしたが、オンライン申請なら受取時の1回のみで済ませられ、窓口へ行く手間や時間を省くことができます。
ただ、オンライン申請というと複雑な手順を想像してためらっている人も少なくないでしょう。本記事ではパスポート更新のオンライン申請について、実際の手続きの流れや注意事項を分かりやすく解説します。
パスポート更新をオンライン申請するときの条件は?
パスポートの更新をオンラインで申請できるようになりましたが、オンライン申請ができる人に条件があります。対象者となるのは以下の2パターンです。
パスポートの残存有効期間が1年未満となった場合

パスポートの更新をオンラインで申請できるのは、パスポートの有効期間が1年未満となったときからです。有効期限は、手持ちのパスポートの顔写真ページに記載されている「有効期間満了日/Date of expiry」から確認できます。
査証欄の余白が見開き3ページ以下になった場合

パスポートの査証欄
もう1つの条件が、ビザの貼りつけや入国スタンプの押印に使われる査証欄のページの残数です。この査証欄ページの余白が見開き3ページ以下になった場合も申請できます。
オンライン申請ができないケースとは?
以下の場合は、オンラインの申請ができないので注意してください。
- 初めてパスポートの申請をする場合
- 手持ちのパスポートがすでに失効している場合
- 戸籍上の氏名や本籍地に変更があった場合
パスポートは戸籍に基づいて発行されるため、初めてパスポートを作成するときや、有効期限が切れてしまったパスポートの更新をしたい場合、戸籍上の氏名や本籍地が変わった場合などはオンラインでの申請ができません。この3つに該当する人は、6カ月以内に取得した戸籍謄本の提出が必要です。
多くの都道府県では、従来どおりの紙の申請書で申請する場合と同じように戸籍謄本を窓口で提出します。しかし一部の府県では、オンライン申請をした上で戸籍謄本を簡易書留で郵送するサービスが提供されています。これによって、新規申請や記載事項が変更となる場合でも、申請時に窓口に出向かずに済みます。
ただし、新規申請者の戸籍謄本提出を郵送(簡易書留)で受け付けているのは、2024年4月時点で以下の16府県のみです。
東北 | 青森県、宮城県 |
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関東 | 茨城県、埼玉県、千葉県 |
中部・北陸 | 富山県 |
近畿 | 大阪府、京都府、和歌山県 |
中国 | 鳥取県 |
四国 | 徳島県、香川県、高知県 |
九州・沖縄 | 熊本県、大分県、沖縄県 |
外務省によると「戸籍に関するシステムの令和6年度中のオンライン化に向けて取り組んでいます」とのことですが、一部対象とならない地域があります。詳しくは下記ページより自身の都道府県について確認してください。
実際にオンラインでパスポート更新を申請する方法
実際にスマホでパスポートの更新を申請する方法を解説していきます。
オンライン申請に必要なもの

オンラインでパスポートの更新をする際は、以下のものを準備します。
- 有効期間内のパスポート
- 申請者のマイナンバーカード(利用者証明書用電子証明書パスワードと署名用電子証明書暗証番号も必要)
- マイナポータルアプリ対応のスマートフォン
- マイナポータルアプリ
署名用電子証明書とは、マイナンバーカードに記録されている電子証明書のことで、インターネット等で行政手続きをおこなう際に利用します。署名用電子証明書のパスワード(6〜16ケタ)は、マイナンバーカード交付時に窓口にて自身で設定しています。忘れてしまった場合、住民票のある市区町村の窓口にて再設定できます。利用者証明用電子証明書パスワードが利用できる場合は、コンビニ等のキオスク端末からも初期化や再設定が可能です。
パスポート更新のオンライン申請は、パソコンからでも手続きは可能です。ただし、申請手続きの中でおこなうマイナンバーカードやパスポートの読み取りには、マイナポータルアプリ対応のスマホが必要です。
手持ちのスマホがマイナポータルアプリに対応しているかどうかは、下記リンクから確認できます。
申請手続きの方法
申請の手続きは、「マイナポータルアプリで申請を開始」と「申請事前情報の準備」「申請事前情報の提出」の3段階に分かれます。各フェーズのやり方を解説します。
マイナポータルアプリで申請を開始
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マイナポータルアプリにログインし、マイナンバーカードを読み取る
まず、マイナポータルアプリを立ち上げます。利用者証明用電子証明書のパスワードの入力画面が開くので暗証番号を入力し、マイナンバーカードを読み取ってマイナポータルにログインします。
アプリ「マイナポータル」をダウンロード -
マイナポータルアプリでパスポート申請画面を開く
マイナポータルのトップ画面下部にある「さがす」で[#パスポート]のタグをタップ。[パスポート取得・更新]が現れるので、これを選択します。
ページが切り替わってマイナポータルのパスポート(旅券)申請ページが開きます。「申請する手続を選択」から[パスポートを更新する(切替申請)]を選択します。
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交付を受ける窓口を選択する
続いて、マイナンバーカードに記載されている住所と同じ市区町村を検索して、交付を受ける窓口を選びます。
申請前の同意を確認して「確認事項に同意する」にチェックを入れ、[次へ]をタップします。
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署名用電子証明書のパスワードを確認する
次に署名用電子証明書のパスワードを確認し、[次へ]をタップします。
署名用電子証明書パスワード(6〜16ケタ)は、申請データの提出時に必要となります。
申請事前情報を準備する
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パスポート用の顔写真を撮影する
パスポート用の顔写真を撮影します。スマホのカメラで、画面上のガイドの枠に合わせて自分の顔を撮影します。端末に保存した写真をアップロードすることも可能です。写真をアップロードする場合は、影などの背景がなく無帽のものを使用する必要があります。
撮影した写真を確認し、登録したら[次の手順へ進む]をタップします。
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パスポート用の自署(サイン)を撮影する
パスポート用自署(サイン)の撮影をします。この自署(サイン)は、パスポートの顔写真ページに記載されるものです。背景が無地で汚れがない用紙に、黒または青の濃いインクで署名したものをスマホのカメラで撮影してください。
撮影した画像を確認したら、次の手順に進みます。
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パスポートの顔写真ページを読み取る
画面の案内に従って、パスポートの顔写真ページをマイナポータルアプリで読み取ります。スマホのカメラをパスポートの顔写真ページにかざすと自動で情報を読み取り、パスポートに記載の氏名と旅券番号、有効期間満了日が転記されます。
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査証欄の余白が3ページ以下であることを確認する(残りの有効期間が1年以上の場合)
パスポートの有効期間が1年以上残っている場合は、査証欄の確認画面が開きます。査証欄の余白が見開き3ページ以下であれば申請が可能です。
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申請者情報を入力する
画面に沿って、「申請者情報」「緊急連絡先」などをテキスト入力していきます。氏名のヘボン式ローマ字は自動生成されますが、本籍は戸籍謄本に記載されている通りに記入してください。
申請事前情報の提出
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準備した情報を確認する
申請事前情報の入力が完了したら、[申請する]をタップします。
これまでに作成した顔写真・自署画像・申請者情報を確認して、[次へ]を選択します。
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パスポートのICチップを読み取る
続いて、パスポートのICチップを読み取ります。[マイナポータルアプリでパスポートを読み取る]をタップし、スマホをパスポートのICチップのページにかざしてください。
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マイナンバーカードを読み取る
次に、マイナンバーカードを読み取ります。[マイナンバーカードを読み取る]を選択してマイナンバーカードにスマホをかざすと、氏名と性別、生年月日、住所が自動的に転記されます。
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マイナンバーカードに記載の情報を入力する
マイナンバーカードに記載されている「生年の表記」「有効期限」「セキュリティコード」の3つの情報を入力し、再度マイナンバーカードを読み取ります。先ほどと同じ要領でマイナンバーカードにスマホをかざしてください。すると、マイナンバーカードの顔写真が表示されます。
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交付予定・受取窓口を確認する
パスポートの交付予定・受取窓口を確認して[次へ]をタップします。
続いて、個人情報取り扱いについての同意欄にチェックを入れ、[申請する]を選択します。
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署名用電子証明書暗証番号を入力する
再びマイナンバーカードを読み取り、署名用電子証明書暗証番号を入力します。これでパスポート更新のオンライン申請手続きは完了です。
審査が完了すると受付票がマイナポータルに届く
審査が完了すると、交付予定日の通知と一緒に受付票がマイナポータルに届きます。この受付票はパスポートの受取時に必要になるので大切に保管しておいてください。
パスポートの受け取り方
交付予定日が来たら、指定した窓口までパスポートを受け取りに行きます。パスポートのオンライン申請によるパスポート受取の際に必要なものは、下記の3つです。
- マイナポータルに届いた受付票
- 手数料
- 有効なパスポート(要返納)
パスポート更新時に必要な手数料は下記のとおりです。
- 一般旅券(新規・切替・訂正)
- 10年間有効:1万6000円
- 5年間有効(12歳以上):1万1000円
- 5年間有効(12歳未満):6000円
- 残存有効期間同一旅券:6000円
上記を準備して、申請した窓口に向かいます。

自分で登録した受付窓口に向かう。写真は東京都旅券課有楽町分室

申請と受取で窓口が異なる場合があるので注意しよう
窓口で受付票を提示し、手数料を支払ってパスポートを受領します。手数料は、収入印紙・証紙を購入するか、現金で支払います。一部の自治体ではクレジットカードによるオンライン納付も可能です(詳しくは各都道府県パスポートセンターのホームページ確認してください)。
パスポート更新のオンライン申請時に注意したい点
パスポート更新のオンラインの申請でいくつか注意しておきたい点があります。実際に申請をする前に確認をしておきましょう。
未成年(18歳未満)は親権者の同意がなければ申請できない
15歳から18歳未満の本人がパスポートの更新を申請する場合は、親権者による同意書の提出が必要です。詳しくは下記より確認してください。
パスポートの発行後6カ月以内に受け取らない場合、次回申請時の手数料が高額に
パスポートを申請したにもかかわらず、発行後6カ月以内に受け取らない場合は、旅券法の規定によって発行したパスポートは失効し、受け取れなくなります。
パスポートの種類 | 手数料 |
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10年間有効(18歳以上) | 2万2000円 |
5年間有効(12歳以上) | 1万7000円 |
5年間有効(12歳未満) | 1万2000円 |
また、令和5年(2023年)3月27日以降は、パスポートを受け取らずに失効させ、5年以内に再度パスポートの申請をする場合、手数料が通常より高くなるので注意してください。