韓国ソウルでも随一の繁華街であり、経済の中心地である江南。ラッパーPSYの『江南スタイル』で一躍有名になったこの街は芸能事務所なども多く、バーやクラブも数多く並ぶ人気スポットです。日本で例えるなら六本木のようなところと言えばイメージしやすいでしょうか。
しかし、華やかな場所には裏の顔がつきもの。お金も人も集まれば欲望と欲望がぶつかり合い、犯罪も発生するのが世の常です。ディズニープラスで独占配信中の監督ドラマ『江南Bサイド』は、そんな華やかな江南の裏側(Bサイド)を描いた犯罪ドラマです。
1人の女性の失踪事件を巡って刑事、検察、闇のブローカー、裏組織の人間たちが血で血を洗う抗争を繰り広げるバイオレンス大作で、今年の釜山国際映画祭のオンスクリーンセクションにも招待され、大きな注目を集める話題作です。
失踪事件をめぐって警察、検事、闇社会が入り乱れて大乱闘
江南のナイトクラブで開かれていた麻薬パーティを摘発した刑事のカン・ドンウは、麻薬の流通に関与していた刑事たちをも逮捕したことで警察内部で裏切者扱いされ、田舎へと異動することに。それから3年後、江南で女性の連続失踪事件が発生。その中には、ドンウの娘の親友、ジェヒもいました。ドンウは娘のために事件を解決するべく、再び江南に戻る決意をします。
一方、闇社会のブローカーであるユン・ギルホは、自身の抱えるエスコート嬢が行方不明になっていることから、独自に捜索を開始。その中には、ジェヒとその同僚・ジョンファもおり、彼女たちは何らかの事件に巻き込まれて身を隠していることが示唆されます。ジェヒとジョンファはギルホが面倒を見ていたエスコート嬢であり、ギルホは2人にとって親代わりのような存在。しかし事態は急変し、ギルホは検察と警察に追われることになるのです。
娘のために立ち上がる刑事、ブローカー、野心に燃える検事、3つの勢力がそれぞれ動き出すことで始まるこの物語。ドンウには娘のためという動機の他、3年前、自分がやり残した犯罪組織の壊滅という大義を持って行動していきます。検事のソジンは出世の野心がありながら、正義の信念を忘れていないキャラクターとして描かれています。ギルホは裏社会の人間ですが、人情味に溢れる性格で、行き場のないジェヒたちの面倒も見ていました。ドンウやソジン、ギルホは共通の敵を追いかけるために手を組む展開となっていくのですが、一筋縄ではいかない相手。どう立ち向かうのか、手に汗握る展開が毎回連続する作品です。
非常に激しいバイオレンス描写も本作の大きな特徴です。血が苦手な方には観るのがつらいかもしれませんが、シリーズものでここまで描写するのは韓国でも珍しいと言え、犯罪ドラマ好きで刺激的な描写が好みの視聴者にはたまらない作品でしょう。
いぶし銀俳優チョ・ウジンの魅力が炸裂
本作を彩る豪華キャスト陣も魅力的。主人公のカン・ドンウを演じるチョ・ウジンは、Netflixオリジナルの犯罪ドラマ『ナルコの神』では、麻薬王の部下ピョン・ギテ役を演じていますが、この時も重要な役どころで強烈な存在感を発揮していました。従来は名わき役として活躍することが多かった彼ですが、ここにきて大きな役を掴むようになっており、遅咲きの実力派俳優として、本作でも確かな存在感を発揮しています。
闇社会に身を置きながら人情味あふれるユン・ギルホを演じるのは、チ・チャンウク。数々のドラマに出演してきた彼は日本とも縁が深く、10年以上前から日本でもファンミーティングを開催してきました。今年上旬には、能登半島地震の被災者に対して1000万円の寄付もしています。その他、『賢い医師生活』や『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』といった人気ドラマに出演したハ・ユンギョンがソジン役として出演するなど、実力と人気を兼ね備えた俳優陣が揃っています。
物語の鍵を握るジェヒ役は歌手「BiBi」としても活動するキム・ヒョンソが扮しています。第60回百想芸術大賞で新人賞を受賞しており、その高い演技力が注目されていますが、本作では虐げられながらも強い意志を曲げないジェヒを力強く演じて、強い印象を残しています。
芸能界にも縁の深い街、江南の裏の側面を赤裸々に描く本作。韓国ドラマらしい激しい描写とよく練られたストーリー展開で、観る人を飽きさせない快作です。
『江南Bサイド』を見る(ディズニープラスで配信中)
江南(カンナム)の連続失踪事件でソウルが大混乱に陥る中、江南のクラブのエース、ジェヒが失踪する。事件解決のために戻ってきた刑事カン・ドンウ、昇進のチャンスを狙う検事ミン・ソジン、容疑者となった仲買人ユン・ギルホは、失踪事件の裏側に隠された真相を追う。
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