「自分の体を大切にする」という意味の「自愛」。手紙やメールの文末に「ご自愛ください」と一言添えれば、相手の健康を思い案じる気持ちが伝わります。
本記事では、この「ご自愛ください」の正しい使い方や文例、言い換え表現などについて詳しく解説します。例文はコピペして使えます。
「ご自愛ください」の意味

「自愛」とは「自らその身を大切にすること」。「ご自愛ください」という一文は、相手に対して、自身の健康状態に気をつけて欲しいと願う気持ちを伝える表現です。通常はメールや手紙の文末などで用いられ、正式には前文で季節に応じた時候の挨拶を述べた後に、健康を気遣う結びの言葉として使用します。
また、「ご自愛専一」という表現もよく使われます。「専一」とは、そのことに専念するという意味。自分の身体を大切にして、健康に気をつけることに専念して欲しい、という思いを伝えることができます。
「ご自愛ください」の使い方と例文集
相手の健康を気遣う「ご自愛ください」の一文は、手紙やはがき、カード、メールなどで文末に結びの表現として用います。また、季節の変わり目や寒暖差の激しい時季にやりとりする年賀状や寒中お見舞い、暑中見舞いなどに一言添えるのも一般的です。
手紙全体を締めくくる末文の内容には主に次のようなものがあり、「ご自愛ください」のように相手の健康を祈る文章は、公的文書や少し改まった文書内で使われます。もちろん、個人や家庭に向けた私的な文書で使っても問題はありません。
文書の種類 | 内容 | 文例 |
---|---|---|
|
相手の繁栄や健康を祈る |
|
今後の引き立てを願う |
|
|
|
要件を要約する |
|
返事を求める |
|
|
|
伝言を依頼する |
|
時候の挨拶とともに、結びの言葉として使う文例

「時節柄、くれぐれもご自愛ください。」などは一年を通して使えるポピュラーな表現ですが、ここではさらに細かく、月ごとに使える季節の表現と「ご自愛ください」を使った結びの文例をピックアップしています。例文はコピーしてそのまま使用することができます。
- 寒さもこれからが本番です。くれぐれもご自愛ください。
- ますます寒さが厳しくなって参りますが、お風邪など召されないようご自愛ください。
- 寒さ厳しき折から、どうぞご自愛ください。
- 余寒厳しき折、いっそうご自愛くださいますようお願い申し上げます。
- 春まだ遠く、寒い日が続きます。どうぞご自愛くださいませ。
- 三寒四温の季節、くれぐれもご自愛くださるようお祈り申し上げます。
- 春寒の折、どうぞご自愛ください。
- 寒暖定まらぬ季節、いっそうご自愛なさってください。
- まだ寒さが残っております。どうぞご自愛ください。
- 花冷えの寒い日もございます。どうぞご自愛ください。
- 天候の定まらない季節でもありますので、どうぞご自愛ください。
- 春日のどかな気候ではありますが、ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
- 木の芽時、体調を崩されないようご自愛ください。
- 連休疲れが出る頃です。くれぐれもご自愛ください。
- 梅雨に向け、ご自愛くださいますようお願い申し上げます。
- 梅雨寒の日々が続いております。くれぐれもご自愛ください。
- 天候不順の折、体調をお崩しにならないようご自愛ください。
- 朝晩冷え込む日もございます。どうぞご自愛くださいますようお願い申し上げます。
- 今年も猛暑が続くようです。くれぐれもご自愛ください。
- 酷暑のみぎり、ますますご自愛くださいますようお願い申し上げます。
- 暑さ厳しき折、なおいっそうご自愛ください。
- 今しばらくは残暑のようです。どうぞご自愛ください。
- 残暑厳しい折、どうぞご自愛くださいますようお願い申し上げます。
- うだるような暑さが続きますが、くれぐれもご自愛ください。
- 日ごとに秋めいて参りました。体調を崩されませんようご自愛ください。
- 秋分の折、朝晩は冷え込みますのでどうぞご自愛ください。
- 季節の変わり目ですので、どうぞご自愛くださいませ。
- 錦秋の折から、ご自愛専一にお過ごしください。
- 徐々に冷えてまいります。どうぞご自愛ください。
- 朝夕の冷え込みも募る頃、ご自愛くださいますようお願い申し上げます。
- 冷たい木枯らしが身にしむ季節です。くれぐれもご自愛ください。
- 秋されの折、どうぞご自愛ください。
- 立冬を迎え、日ごとに冷気が増してきています。どうぞご自愛ください。
- 年末に向けご多忙な日々をお過ごしのことと存じます。どうぞご自愛ください。
- 冬至を迎え、寒さが一段と厳しい頃です。ご自愛くださいますようお願い申し上げます。
- 師走の折からご多忙中とは存じますが、くれぐれもご自愛ください。
年賀状や暑中見舞いで一言添える文例

年賀状や寒中見舞い、暑中見舞いで使える便利な表現を紹介します。なお、「寒中」を使うのは、立春(2月4日)まで。2月4日頃から2月下旬までに出す挨拶状は、「余寒お見舞い」になります。
また、「暑中」を使うのは立秋(8月8日頃)まで。小暑(7月8日頃)から立秋の間に出す場合には「暑中見舞い」、それ以降に出す場合「残暑見舞い」となります。
- 寒い日が続いておりますので、ご自愛専一にてお願い申し上げます。
- これからまた寒くなりますが、体調を崩されませんようご自愛ください。
- 向寒の折から、お風邪などお召しになりませんよう、くれぐれもご自愛ください。
- まだまだ寒い日が続きますので、いっそうご自愛ください。
- 今夏は例年にない猛暑とのこと。くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
- 暑さもこれからが本番です。健やかに夏をお過ごしになれますようご自愛ください。
- 爽涼の季節までにはまだ間がありそうです。どうぞご自愛いただければと存じます。
- 厳しい暑さももうしばらくの辛抱です。どうぞご自愛ください。
- 夏の疲れが出てくる頃です。なおいっそうのご自愛をお祈りいたします。
「ご自愛ください」に対する返信の文例

自分の健康を気遣ってもらったことに対するお礼の言葉は、文末ではなく書き出しや主文に添えるのが一般的です。特に普段から心遣いのある連絡をもらっている場合には、その旨を強調するとより一層気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
また、「ご自愛ください」というメッセージに対して同じフレーズで返信するのは、形式的な印象を与えてしまいます。先方に対する気遣いを、工夫を凝らした自分なりの表現で書き記しましょう。
- 平素より何かとお心配りをいただき、大変感謝しております。○○様もどうぞお身体には気をつけてお過ごしください。
- 常々何かとご心配をいただきまして、誠にありがとうございます。○○様もどうぞお身体を大切になさってください。
- 常日頃よりお心遣いをいただき、本当にありがとうございます。○○様も風邪など引かれませんようにお気をつけください。
- この度の優しいお心遣い、心より感謝いたします。○○様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
「ご自愛ください」の言い換え表現
「ご自愛ください」の表現以外にも、先方の健康を祈る言葉にはさまざまなものがあります。相手に形式的だと思われないよう、上述のような気候に合わせた表現や、相手の状況に応じた一文を書き添えるといいかもしれません。
- 暖かい季節とはいえ、お身体にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。
- 天候不順の折、体調を崩されませんようお祈りしております。
- 蒸し暑い日が続きますが、ご健康には十分留意なさってください。
- 夜風がずいぶん寒くなってまいりましたので、十分に気をつけてお過ごしください。
- 何かとお忙しいかと存じますが、お疲れがたまらないようにご留意ください。
- お身体をくれぐれもお大事に、どうぞ穏やかにお過ごしください。
- 季節の変わり目ですので、どうぞお身体を大切になさってください。
「ご自愛ください」の使い方に関するよくある疑問とその答え
「ご自愛ください」の使い方に関するよくある疑問とその答えをまとめています。
目上の人にも使える?
目上の人にも使えます。
前述のとおり、会社や団体、組織に属する役職者など、目上の人に宛てる手紙やメールの末文には、相手の健康や繁栄を祈る内容、あるいは今後の引き立てや協力を願う内容の文章を用いるのが一般的です。
「ご自愛ください」の一文は、古くから使われてきた慣用的表現でもあり、洗練された定型句であるため、目上の人に対して使っても失礼にはあたりません。
「お体ご自愛ください」は正しい?
「お体」は不要です。
「自愛」とは、「自分の体を大切にすること」。「お体」を付けることで、同じ意味の言葉を文章内で重ねて使う「二重表現」となり、誤った日本語になってしまいます。「ご自愛ください」が正しい表現です。
英語では何という?
「Please take good care of yourself.」(訳:どうぞお大事になさって下さい)などの表現があります。
健康を気遣うフレーズとしては、この他にも次のようなものがあります。
- Please stay safe.【お気をつけて】
- Please keep yourself warm.【風邪を引かないよう温かく過ごしてください】
- Please stay healthy and stay safe.【どうぞお元気でお過ごしください】
- Take care of yourself.【お大事に】