”後で読む”の老舗アプリ「Pocket」、ウェブの記事を効率的に読むための3つの仕掛けと使い方のコツ

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多くの人が毎日、スマートフォンでさまざまなニュースや記事を読むのに時間を費やしています。短くてすぐに読み終わるものばかりなら問題ありませんが、長文の記事などは読むのに時間がかかりますし、数が多くて読みきれないということもよくあります。ニュースアプリやSNSにはブックマークやお気に入り機能を備えているものも多くありますが、個別にブックマークを登録しても、うっかり忘れて読まないまま埋もれさせてしまうことも珍しくありません。

そこで、たくさんの記事をもっと効率的に読みたい人におすすめしたいのが「Pocket」です。Pocketはニュースアプリやブラウザで表示した記事を保存して、あとで読むためのアプリ。以前は「Read It Later」という名前でサービスを展開していたので、その名称で記憶している人も多いでしょう。無料で使えるサービスで、インターネット上で公開されているコンテンツなら、ほぼどんなものでも保存できます。アプリはオフラインリーダーとしての機能も備えており、いつでもどこでもまとめて読むのに最適です。

Pocketを使って記事を保存してみよう

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初めてPocketを使うときは、登録が必要です。メールアドレスかGoogleのアカウントがあればすぐに登録は完了します。アカウントを持っている場合は、メールアドレスとパスワードを入力してサインインします。

Pocketの使い方は簡単。ニュースアプリやブラウザで記事を表示したら、OSの送る(共有)機能を使ってPocketに保存するだけです。標準機能を利用するため、アプリを選ばず記事をどんどん保存することができます。

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記事を表示した状態で送るアプリに「Pocket」を指定する

ニュースアプリはもちろん、RSSリーダーで収集したブログ記事、SNS経由で友だちから紹介された動画など、すぐに読めない、視聴できないコンテンツはとりあえず何でも保存するという使い方がおすすめです。

メール経由で保存することも可能。「add@getpocket.com」宛にリンクを送れば、Pocketに保存されます。「Pocketに追加」などという名前を付けてアドレスを保存しておけば、「P」と入力するだけで呼び出せるので簡単です。

記事を効率的に読む3つの仕掛け

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マイリスト

Pocketアプリを起動すると、これまでの保存した記事の一覧が表示されます。ここから記事を読み始めるわけですが、Pocketには記事を効率的に読むための仕組みがいくつか用意されています。

1. 読むことに専念できる

最大の特徴は、とにかく読みやすいということです。Pocketではウェブページをそのまま表示するのではなく、本文部分を抽出して表示します。

PocketPocket

左:本文のみが抽出されるので読みやすい右:フォントの種類やサイズ、背景を好みのものに調節可能(一部有料)

広告やメニューが表示されないので読むことに専念でき、読むスピードが大幅にアップします。また複数のページに分かれている記事も1ページにまとめて表示されるため、無駄な操作が必要ありません。オリジナルのウェブページを読むより断然快適です。

2. オフラインで読める

2つ目の仕組みはオフラインで読めることです。アプリ起動時にオフライン用にデータをダウンロードするため、記事が一瞬で表示されます。

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オフラインダウンロードの条件やリストをリフレッシュするタイミングなどを指定できる

あらかじめアプリを起動してオフラインデータをダウンロードしておけば、ムダな待ち時間がなく、場所にも影響されないのでストレスがありません。ただし動画コンテンツはダウンロードされません。またデータ通信量を節約したい場合は、Wi-Fi接続時のみ記事をダウンロードする設定も用意されています。

3. 読み上げ機能で記事を消化できる

そして3つめが読み上げ機能です。音声で記事を聞ききながら、移動時間などに記事を消化することができます。

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本文を読み上げてくれるTTSを備えている

読んでいない記事が溜まりに溜まってしまったときなど、地味に便利です。しかも目が疲れないという一挙両得の機能です。

Pocketを使い続けるコツ:タスクを処理するように記事を整理する

ところで、Pocketを使っているとマイリストがすぐにいっぱいになります。読んだ記事をそのままにしておくと、未読の記事と混ざってしまい、読みたい記事を見つけるのが大変です。そこでPocketには読んだ記事を書庫へ送る「アーカイブ」機能が用意されています。Gmailを使っている人ならどんな機能か想像がつくと思いますが、記事をアーカイブするとマイリストから非表示になり「アーカイブ」フォルダへと移動します。読んだ記事を次々アーカイブすることで、読んでいない記事だけをマイリストに残しておけるというわけです。アーカイブするとオフラインで読めなくなりますが、ストレージを解放できるメリットもあります。

PocketPocket

左:「アーカイブ」や「お気に入り」で記事を整理する右:マイリスト上で操作することも可能

あとで読み返したい記事があるときは、「お気に入り」やタグを活用します。お気に入りに登録すると、「お気に入り」フォルダに表示されるのでアーカイブしてもすぐに取り出すことができます。とはいえお気に入りに登録しすぎると、マイリストの二の舞いになりやすいのも確かです。タグを使って細かく整理していくか、あるいは共有機能を使ってEvernoteなどに出力するといった工夫も必要です。

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タグを使った細かい整理も可能

未読の記事をタスクになぞらえると、アーカイブやお気に入り、タグを使って読んだ記事を次々に整理するのがPocketというアプリです。マイリストの記事を次々読んでいくのはのは、タスクを次々消していくのと同じように気持がいいものです。逆に言うと、こうした機能を使わないと、マイリストがどんどん使いにくくなります。この点は、Pocketを使う上で注意したいところです。

記事保存の安定性と検索機能に難あり?

少し不便に感じるのは、きちんと保存されない記事があるということです。記事のタイトルやサムネイルが正常に表示されないため、何の記事か開いてみないと判別しません。タップすれば済む話ですが、気になるときはPocketから記事を開いて、保存しなおすと改善されます。

検索機能も少し物足りなく感じるかもしれません。マイリストとアーカイブの記事をまとめて検索することができず、また検索対象もタイトルとURLに限られているため、アーカイブした記事を探すときなどは苦労します。

プレミアム版もあるが、無料版でも記事を読むのが確実に速くなる

検索機能の不満については、アップグレードすることで解消されます。Pocketにはプレミアム版があり、全文検索や記事の保存機能、おすすめタグ(タグを推奨してくれる機能)などがサポートされます。ただしプレミアム版の料金プランは月額600円です。年間払いだと5400円になり25%お得になりますが、それでもアップグレードするには少し躊躇する金額です。

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プレミアム版の機能

完成度の高いサービスなので、無料版でも不満をあまり感じません。記事を読むのがこれまでより確実に速くなります。毎日読みきれないほどのニュースや記事に触れている人にぜひ使ってほしいアプリです。溜まった記事をさくっと読んで、自分の時間を増やしましょう。