新年度を迎え、スケジューラーとしてシステム手帳アプリの導入を考えている方も多いだろう。先日、優れたデザインで人気のiPhoneアプリ『Refills』のAndroid版がリリースされた。従来から定番として名高い『ジョルテ』とどこが違うのか?見た目を中心に徹底比較する。
Refillsがやって来た
“モレスキン”をご存知だろうか。100年以上の歴史を誇るイタリアの手帳ブランドだ。ピカソやヘミングウェイも愛用したこの手帳、創造性を刺激する優れたデザインはゴッホの『ひまわり』を産み出したとも言われ、今なお多くの文化人やビジネスマンたちに広く愛用されている。読者の中でお使いになっている方もいるはずだ。
さて、“iPhone版モレスキン”とも称されこれまた絶大な人気を獲得してきたカレンダーアプリ『Refills』が先日Androidに対応した。価格は980円。これまでAndroidマーケット(Google Playストア)において無料のシステム手帳アプリ『ジョルテ』が圧倒的なシェアを保持してきた中、デザインを前面に売りにし強気とも言える価格設定でそこに乗り込んできた形だ。本稿ではこの2つのアプリを比較していく。
機能
まず大前提となる機能面であるが、そもそもこの2つのアプリはできる事そのものに決定的な差はない。共にGoogleカレンダーと同期し、細かいカスタマイズが可能で、直感的な操作性を備えている。それを踏まえて各々の画面を見てみよう。
画面比較
月表示
まずは月表示。左がRefills、右がジョルテだ(タップ/クリックで拡大)。
表示色の違いはGoogleカレンダーに由来するもので、仕事・プライベート・学業など好きなように色分けし反映させられるようになっている。
またジョルテの場合は右のように「ToDo&メモ」付きで表示することもできる。
Googleカレンダーとの連携はどちらも緊密になされており、同期作業に時間がとられるといったこともない。要はGoogleカレンダーでできることが全て掌の上の端末で可能なのだ。設定さえすれば他人のGoogleカレンダーを表示することもできるので、プロジェクトメンバーの勤務管理や部活動、習い事のスケジューリングとその共有など、いくらでも工夫の余地がある。
週表示
次は週表示。
いかがだろうか。さすが、といったところのRefillsに対し、ジョルテの方も決して悪いデザインではないと私は感じる。いずれも無駄を排した好感の持てる画面である。表示のバリエーションはジョルテの方が多い。
ここが違う Refillsとジョルテ
端的な違い
それでは1日表示はどうだろうか。
これがほぼ唯一と言ってもいい、両アプリの端的な違いだ。はっきり好みがわかれるのではないだろうか。予定時間の重複も一目瞭然のRefillsに対し、ジョルテは1日単位の画面自体を用意せずポップアップダイアログで処理している。上で紹介した「ヴァーティカル表示」で何とか代用できないこともないが、画面内に1日が収まっているRefillsの方はまさに手帳感覚だ。設定で間隔を2時間にしていても19:30に始まる予定はちゃんとそう表示してくれており、細やかな使い勝手がうれしい。
微妙な違い
では、ここからは両者の「微妙な違い」を見ていこう。
タスク管理機能
どちらのアプリもタスク(ToDo)管理機能を備えている。期限を設定したタスクの場合、その締め切りをカレンダー上に表示させることも当然可能だ。Refillsのタスク管理は「期限」と「備考メモ」欄のみのシンプルな仕様。一方のジョルテは、その2つに加え[重要]にチェックを入れると赤字で強調表示された上で「重要予定リスト」に載るようになっている。
なお、両アプリともそれぞれ独自のタスク管理機能を持つほか、Googleタスクと同期させることもできる。Googleのタスク管理はさほど多機能なわけではないものの、自由に設定できる「仕事用ToDo」「買い物リスト」など複数のリストをそのままシームレスに使えるのはやはり便利だ。
ウィジェット化
Androidならではのウィジェット機能。ジョルテは25種類のサイズが用意されている。Refillsは3種類だ。
横画面
ジョルテは横向きの表示に対応。Refillsは縦画面のみの使用となる。
動き
どちらも左右にフリックすることで前後の週なり月なりに移動できる。細かいことを指摘すると、Refillsのその動きはどうも私の端末(GALAXY Tab)ではもっさりしている。もちろん使用時には何の不便もない。あえて比較するならば、ジョルテの方が動きがきびきびと洗練されているということだ。先日アップデートされたことにより、より動きがスムーズになった。
ライフログ機能
先日のアップデートにより搭載された、Refillsオリジナルの機能。端末で写真を撮影すると「1日表示」の画面に撮影日時とサムネイル画像が表示される。タップするとその写真を見ることができるという仕組みだ。特別な操作は何も必要とせず、ただ撮っているだけで日々の記録が自動で付いていく。カメラとカレンダーとの相性の良さを感じた。
Appllioメモ
いかがだろう。結局のところ、980円を選ぶか無料を選ぶかという話になるわけであるが、どちらも非常に完成度の高いアプリであり、すでに述べたように決定的な違いはない。コストパフォーマンスではもちろんジョルテに軍配が上がる。カスタマイズ性も若干ジョルテの方が高い。一方でRefillsのデザインは確かに魅力的だし、見やすい1日表示はそれだけで購入動機になり得る。最終的には個人の趣味の世界だろう。
いずれにしても、競い合う形での今後のアップデートが非常に楽しみな両アプリ。あなたはどちら?
アプリデータ
追記
ところで、どうやら一定の環境においてOSとしてのAndroidとGoogleカレンダーとの同期機能は完璧でない可能性が高い。予定の「新規作成」や「削除」はこれらのアプリとGoogleカレンダーの間で相互にすぐさま反映されるものの、予定の「修正」が私の環境(Galaxy Tab - Android2.2)では当初うまく反映されなかったのだ。
どの手帳アプリを使っても同じ現象が生じたため、端末の[設定]→[アプリケーション管理]から『カレンダー』や『カレンダーストレージ』『カレンダー同期アダプタ』などのそれっぽいデータを適当に消去したり、あるいはRefillsやジョルテ自体をリセットしたりといった作業を行った結果、いつの間にか直ってしまった。現在はちゃんと全てのデータが同期されるようになっている。今となってはどの試みが功を奏したのかよく分からない。メカニズムをご存知の方は、ぜひ教えてください。Twitterのアカウントはlibere_vellioです。