名優2人のチャーミングな老夫婦に憧れる──映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』

2018-12-01 12:35
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名優2人のチャーミングな老夫婦に憧れる──映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』

こんな風に人生を過ごせたらいいな。

この映画の2人を観ていると、心からそう思えてきます。『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』は、モーガン・フリーマンとダイアン・キートンというハリウッドの名優が長年連れ添った熟年夫婦を演じ、家を売に出したことで生じる人生の悲喜こもごもを描いたハートウォーミングな人間ドラマです。

住宅は生活の基盤ですから、住み慣れた家を手放すのってすごく大変だし、切ないですよね。そして、新しい家を探すのだって労力が必要。仲の良い夫婦でも、そんな時にはぶつかることだってある。でもそんな非常時だからこそ本気でぶつかりあえて、絆を確かめ合えるのものです。

そんな2人が意見を違えながらも、お互いの人生を見つめ合い、大事なものを再確認する過程を温かく描いた作品です。

人生のモデルにしたいチャーミングな老夫婦

長年連れ添った熟年夫婦のアレックス(モーガン・フリーマン)とルース(ダイアン・キートン)は、若い頃からニューヨーク・ブルックリンの眺めの良いアパートメントに暮らしています。40年間住み続けた愛着ある家ですが、エレベーターがないために、2人にとっては外出するのも大変。そこで、思い切って家を売って新居を探すことにします。

かつては下町の地価の安いエリアだったブルックリンも、今ではオシャレなスポットとして人気が高く、それなりの値段で売れそう。2人は内覧会を開いて入札形式で家を売りに出しますが、購入希望者はなかなか癖のある人達ばかり。アレックスはそんな人々の相手に辟易としながらも、ルースにガミガミ言われながら精一杯愛想よくしようとします。

そんな折、2人の愛犬ドロシーが急病にかかり、入院することに。家が売れるかどうかだけでなく、長年家族として暮らしてきた愛犬の病状の心配も重なります。しかも、運悪くニューヨークでテロ騒動が発生し、家が売れるかどうか2人の心配はますます募っていきます。

そして、40年暮らした今の家よりも住みやすい新居は見つかるのか。新居選びも大変です。2人は内覧会めぐりを繰り返し、議論を重ねますが、なかなか意見が合いません。アレックスとルースは、言い合いながら2人の出会いから今までの結婚生活を振り返り、人生にとって一番大切なものはなんなのかを思い出そうとしていきます。

ハリウッドきっての名優の2人、モーガン・フリーマンとダイアン・キートンが、40年以上連れ添ったオシドリ夫婦を自然体で好演しているのですが、2人がとにかくチャーミング。こんな風に年を取れたらいいなと多くの人が思うでしょう。

本作は2009年に発表されたジル・シメントの小説『眺めのいい部屋売ります』が原作。オリジナルの小説では、アレックスとルースはユダヤ人夫婦なのですが、映画では黒人と白人の夫婦に変更されています。

これくらいの年代で黒人と白人の夫婦はかなり珍しいでしょう。映画の中では、黒人と結婚することで母親や妹から心配される若い頃のルースも描かれます。差別意識も今よりもずっと強かった時期に愛を育んだ2人という形にアレンジすることで、映画は小説版よりも夫婦の絆を強く感じ取れる作品になっています。

リアルなニューヨーカーの生活感を感じる下町風景

タイトルに「眺めのいい部屋」とある通り、アレックスとルースのアパートメントから見える景色は素敵です。ブルックリンの古い町並みと新しくできた建物が混在している感じが一望できる上に、有名なブルックリン橋も見えます。アレックスがドロシーを連れて歩く散歩コースも、近所の古い雑貨屋やコーヒーショップ、陽気なムスリム系のおじさんの小さなレストランがあったり、壁一面にグラフィティアートが描かれている場所があったりするなど、生活感のあるロケーションが満載です。

画面の隅々からニューヨーカーのリアルな生活を垣間見れるようで、映画を観ている最中は、まるで自分もブルックリンの住人になったような気分が味わえるでしょう。

この映画は何事も物々しく展開せず、派手な展開はまったくないのですが、名優2人のチャーミングさを見ているだけでも癒やされますし、2人の温かな絆が深く静かに染み渡る感動作です。

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構成・文:杉本穂高

編集:アプリオ編集部