Googleは2017年3月9日(米国時間)、「ハングアウト Meet」と「ハングアウト Chat」を正式に発表しました。いずれもG Suite(Googleのクラウド型グループウェア、旧Google Apps)向けのサービスで、企業・組織における利用が想定されています。
「ハングアウト Meet」は、高解像度のビデオ会議に最大30人まで参加できるサービス。共有された会議のリンクをクリックすれば参加できるほか、会議固有の参加用電話番号が割り当てられることにより、G Suite Enterpriseユーザーであればスマートフォンから電話で参加することもできます。また、「ハングアウト Meet」はG suiteと直接統合されているため、各会議の情報はGoogleカレンダーから取得されます。
Video and online conferencing for business and life | G Suite Hangouts
「ハングアウト Meet」のアプリを使ってみたところ、昨年リリースした一般向けビデオ通話アプリ「Duo」に似た非常にシンプルな構成になっています。Googleカレンダーに設定されたビデオ会議の予定か、会議コード(ミーティングコードまたはリンク)からビデオ会議に参加する仕組みで、現時点でその他の機能はありません。
「ハングアウト Chat」は、チームでプロジェクトを進めることを念頭に置いたチャットツール。チームごとに仮想ルームを作成して、そのルーム内で会話をスレッド形式でまとめていけます。要はGoogle版Slackといったところでしょうか。G Suiteと統合されているため、GoogleドライブやGoogleドキュメントの書類、写真、動画などを簡単に共有可能。もちろん、検索機能でさかのぼって過去の会話を探し出すこともできます。
さらに「ハングアウト Chat」では、チャットBotからGoogle Apps Scriptを使用した簡単なスクリプト、サードパーティー製サービスまでを幅広くサポートします。Googleはデフォルトで、自然言語処理と機械学習を使用した「@meet」という名称のBotをハングアウトのプラットフォーム上に構築。メッセージの最初に「@meet」を付けて「来週、みんなで会議できる時間を探して」というように話しかければ、Googleカレンダーでスケジュールを組んでくれるといった作業をおこなってくれます。
「ハングアウト Meet」は本日より一般向けに利用可能となっており、そのほかの全機能は今後数週間かけてG Suiteユーザー向けに徐々に展開されていく予定。「ハングアウト Chat」は、G Suiteユーザーであれば英語版に早期アクセスできるようになっています。
Meet the new Hangouts Chat | Google
なお、これまで提供されてきた通常の「ハングアウト」の具体的な行く末について、Googleは特に明らかにしていません。Googleはハングアウトを企業向けサービスにシフトすると宣言していますが、このまま一般向けにサービスを維持していくつもりなのでしょうか。そもそも、Googleは昨年に一般向けのコミュニケーションアプリとして「Allo」と「Duo」をリリースしています。そして、今回発表された2サービスは、企業向けの「Duo」と「Allo」であるとも考えられます。一般向けとしても企業向けとしても、通常の「ハングアウト」の存在意義が非常に曖昧になっています。