ソシャゲ風課金で稼ごうとした無料辞書アプリ「大辞泉」が有料化、課金率は採算ラインの10分の1

大辞泉

辞書アプリ「大辞泉」が8日、有料化に踏み切った。新たなバージョン2.0の価格は2,000円。開発元のHMDT社が発表した。

基本無料のソーシャルゲーム風課金システムで15万ダウンロードを達成

「大辞泉」は、同社が小学館からラインセンスを受けて提供している人気の無料辞書アプリで、昨年5月のリリース以降ダウンロード数を伸ばし、現在までで15万ダウンロードを記録していた。

最大の特徴は、辞書アプリの採算化にフリーミアムモデルを導入したことだった。無料では利用回数を制限し、その制限を解除するために課金を要求するというソーシャルゲーム風の課金システムを採用することで、高額になりがちな辞書アプリを基本無料で提供することを可能としていた。

課金率は採算ラインの10分の1

しかし、1日あたりの平均ユニークユーザ数は1,250人に留まった。同社は、"有料"の辞書アプリとして考えれば十分に多いが「無料サービスとして考えるならば、多くはない」との見方を示している。

さらに重要な指標である課金率だが、こちらも厳しい結果が出たという。

「課金率は、ズバリ0.5%。1%いきませんでした。正直にいって、これはかなり低い。採算とれるかどうかのラインは5%程度なので、まったく届いていない」と同社は課金率が採算ラインの10分の1程度だったことを明らかにしており、辞書アプリにフリーミアムモデルを適用するという戦略が間違っていたと結論づけている。ゲームアプリではゲーム内課金による収益確保がうまくいくケースが少なくないが、辞書アプリのようなユーティリティアプリが同様の施策を採っても同じように成功することは難しかったということのようだ。

この失敗により赤字は拡大。ライセンサーである小学館側からも、現在の状況を憂慮し、強い働きかけがあったという。

有料アプリ販売の低迷に解決策はあるのか

一方で同社は「結局、有料アプリの販売数が下がっている、という問題は解決していません。でもフリーミアムもその解決策にはならないということは分かりました。少なくとも、辞書では。また新たな策を探しにいきます」として、新たな解決策を模索する方針を示している。

低下する有料アプリの販売数低迷という課題に対する答えは、一体どこにあるのか。悩み続けるアプリ業界は、どのような回答を導き出すのだろうか。

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