これまでGoogleアカウントを所有していなかったユーザ層にスマホが普及することで、Googleアカウントにログインした状態でGoogle検索を利用する人が増えているはず。
ただ、このスマホ全盛時代において、自分がしていることの意味を理解していない人も、また増えているように思える。
そこで、警鐘を鳴らす意味を込めて、まず3つの質問をしておきたい。
- ウェブ履歴とロケーション履歴という機能を知っているだろうか?
- Googleで検索するときに、Googleアカウントにログインした状態になっているだろうか?
- Googleアカウントのパスワードを、身近な人間に知られているだろうか?
この3点について、意味が分からなかったり認識が曖昧だったりする人は、非常に危険な事態に置かれる可能性がある。
その事態とは、「ウェブ履歴」と「ロケーション履歴」が他人に知られてしまうという想像したくない状況から引き起こされる、大切な人との信頼関係の崩壊だ。
大前提:Googleアカウントのパスワードは超重要
Androidスマートフォンを使うためには、基本的にGoogleアカウント(Gmailのメールアドレス)が必要となる。また、iPhoneでもGoogle検索アプリをログイン状態で利用している人も多いだろう。
しかし、そのアカウントの重要性を把握していないユーザは、他人にメールアドレスとパスワードを漏らしてしまうケースがある。
筆者は以前、こんな話を耳にしたことがある。家電量販店などでガラケーからスマホに機種変更する際に、店員にGmailのアドレスとパスワードを記した紙を渡していたという事例だ。真偽は定かではないが、事実なら現場の都合上やむを得ずしたことかもしれない(コンプライアンス上、是認できないことは当然だ)。
この事例を聞いたとき、筆者は目の前が暗くなるような気がしたことを今でも思い出すことができる──これはマズすぎる事態だと。
なぜなら、Gmailのアドレスとパスワードを知られてしまうと、ここでは紹介しきれないくらい多種多様なプライバシー上の問題を抱え込むことになるからだ。
そこで、ここでは筆者が本当に「バレたら危険すぎる」と考えているGoogleの便利な機能を2つに絞って挙げておきたい。それが、前述の「ウェブ履歴」と「ロケーション履歴」だ。Googleアカウントのパスワードを知られていると色々な面でヤバすぎるのだが、知っておくべき機能の例としては、この2つが分かりやすいだろう。
1. 「ウェブ履歴」で思考・興味が丸裸になる可能性
Googleの「ウェブ履歴」とは、その名の通り、Google検索履歴などを保存する機能。この機能のおかげで、パーソナライズされたより良い検索結果を得ることが可能となっている。
Googleのヘルプページでは、「Google ウェブ履歴には、以下を含むウェブでのアクティビティに関する情報とブラウザの詳細情報が保存されます」として以下の項目が挙げられている。
- アクセスしたページ
- Google での検索
- 表示された結果(Google+、Gmail、Google カレンダーなどの Google サービスからのプライベート検索結果を含む)
- アクション(広告自体をクリックする、広告主のサイトで取引を完了する)を行った広告
- IP アドレス
- ブラウザの種類と言語
Googleのウェブ履歴は、次のように保存され、パスワードを知っているユーザだけが閲覧することができる。
勘が良くない人でも、この機能の危険性はすぐに理解できるだろう。
他人が自分のGoogleアカウントにログインできる状況を想像してみてほしい。誰にでも、知られたくないことのひとつやふたつはあるのではないだろうか。やましいことの有無にかかわらず、内心の自由を侵されるに等しいことになるのは明白だ。
例えば、もし自分の妻が「夫 しんでほしい」などと検索している事実を知ってしまったら、もはや平穏な家庭生活をおくることは不可能だろう(たとえ、それが砂上の楼閣であったとしても)。
個人的に絶対に他人に知られたくないのが、このウェブ履歴だ。お金には代えることができない最重要機密と言っても良いだろう。
厄介なことに、このウェブ履歴機能はデフォルトでオンになっている。そのため、この機能をしっかり認識していないユーザの場合でも、検索履歴はしっかり保存されているのだ。
皆さんには、ウェブ履歴の利便性と危険性を天秤にかけてみることをオススメしておきたい。
2. 「ロケーション履歴」でおおよその行動履歴がモロバレに
次いで知られたくないのが「ロケーション履歴」。これはGPSや携帯基地局などに基づく位置情報を随時記録してくれる機能だ。「あぁ、あの日はこんな風に移動したんだなぁ」ということが手に取るように分かるので思い出づくりにも役立つ。
一方で、自分の位置情報を他人に知られたくない人も多いだろう。自分のいた場所や移動経路などについて、時として嘘をつくことがあるかもしれない。「嘘も方便」という美しいことわざもあるくらいだ。
その場合は、このロケーション履歴をオンにしない方が賢明かもしれない。デフォルトではオフになっているので、位置情報の意図しない漏洩は避けられる点が救いだ。AndroidではGoogleマップや設定アプリから、iPhoneではGoogle検索アプリから設定を変更できる(もちろん、PCからでも可能)。
忠告:パスワード管理は自分だけでおこなう
正直なところ、この記事が届けられるべき人に届くのかどうかは分からない。それでも、ひとりの人間として老婆心ながら忠告させてもらいたい。
「Googleの パスワード管理は 自分だけ」
パスワードさえ自己管理しておけば、ウェブ履歴やロケーション履歴などを盗み見られることはない。
特に夫婦や親子で注意
メールアドレスとパスワードを知っているケースとして多そうなのが、夫婦間や親子間におけるパスワード管理代行だ。このような家族の中で、もし仮に検索履歴やロケーション履歴の秘密が守られなかったとしたら、もはや取り返しがつかないことにもなりかねない。
「いや、さすがに夫婦間や親子間でパスワードを教えているなんてことはないでしょう?」と疑問に思う人もいるかもしれない。その疑問に対しては、1つの反証を提出しておこう。
筆者は、自分の妻のGmailアドレスとパスワードを知っている(なにせ、代理で作成したのだから)。