歩きスマホ防止に向けて、NTTドコモが動き出した。
NTTドコモは、歩きスマホ(スマートフォンの画面を見つめながらの歩行)による事故防止とマナー向上のため、「あんしんモード」アプリの機能として新たに「歩きスマホ防止機能」を追加することを発表した。月額使用料は無料で、提供開始日は12月5日予定だ。
この機能は、スマートフォンを見ながら歩くと歩行中であることを検知し、警告画面を表示するというもの。歩行停止の検知、警告画面の「閉じる」ボタンのタップ、電源ボタンの長押しなどで警告画面を消さなければスマートフォンを操作することができなくなる。
「あんしんモード」アプリに追加される理由
事故を防止することで青少年の健全な成長を図る
「あんしんモード」は、青少年が利用するスマートフォンに保護者があらかじめインストールしておくことで、不適切なアプリのインストール・起動やコンテンツへのアクセスを防止するアプリ。青少年が、安全にスマートフォンを利用することを目的とするものだ。
今回、「あんしんモード」に「歩きスマホ防止機能」が追加された理由は、事故を防止することで青少年の健全な成長を図るところにある。日本最大の通信キャリアであるNTTドコモとしては、スマホの適切な使用を大々的に促すことで、青少年のスマホ利用における負の影響を可能な限り減らしていきたいということだろう。
マナーとして浸透するのか? スマホの使い方に関する議論は不十分
しかし、街中の歩行者を見渡してみると、歩きながらスマホを利用している人の大半は、青少年ではなく大人のユーザだ。このユーザ層が歩きスマホをやめない限り、歩きスマホに起因する事故は増える一方になるだろう。
では、この「歩きスマホ防止機能」を成年ユーザに何らかの形で提供すれば良いだろうか?例えば、この機能専用のアプリを一般に提供し、任意でインストールしてもらう方法が考えられる。だが、あくまでもユーザ個々人の意識にひも付かざるをえないため、効果はあまり見込めないものと考えられる。
キャリアが販売するスマートフォンに同種の機能を組み込むことも、一応はひとつの選択肢として挙げられるが、現実的ではない。
結局、現状では「歩きスマホ」はドコモなどが呼びかける「マナー」の域を出るものではなく、このマナーが一般に浸透するか否かが「歩きスマホ」による事故を減らすポイントになるだろう。もっとも、歩きタバコのように、法令による強制力でユーザの行動を制約しなければならないほどの問題に発展してしまうこともありえる。
今のところ、「歩きスマホ」の是非は、ユーザが大人なら各自が、ユーザが青少年なら保護者が判断するレベルの問題だと、ドコモは考えているのだろう。「歩きスマホ防止機能」が提供される対象が「あんしんモード」アプリユーザだけに限られる背景には、まだまだスマホの使い方に関する議論が不十分であるという事情もありそうだ。