政府が「ビッグデータ」活用に向けて法整備に着手すると日経新聞が報じた。匿名化した個人情報であれば、本人の同意がなくても第三者に提供できるよう法律で定めるという。2014年半ばまでに制度の詳細を詰めたうえで、2015年の通常国会で個人情報保護法改正案の提出を目指す模様。
ビッグデータとは
直訳すると「大量の情報」となるが、ビッグデータは「量」だけに主眼が置かれているわけではない。定義は諸説あるが、容量だけではなく多様性とスピードを備えたデータをビッグデータと呼ぶ。
多様性とはデータの種類が多量であることを指す。PCやスマートフォン、システムなどが生成するログデータから、ユーザが作成したドキュメント、さらにはYouTubeなどに公開される動画などを含む。用途や目的の異なる多彩な種類のデータがビッグデータには含まれる。
そして、データの生成スピードがこれまでになく速い点がビッグデータの特徴となる。例えば、株取引きの場合、これまでは数秒ごとに取引きするのが一般的だったが、現在は数ミリ秒という単位で取引きされている。技術の進化により、一瞬で大量のデータが生成されるようになっている。
こうした要素を備える情報がビッグデータと呼ばれている。最近はスマートフォンの普及、ソーシャルによる投稿数の増加、クラウドを使ったデータのやり取りが主流となっており、これら新たなITの潮流もビッグデータを後押ししている。
現状の問題点
現行の個人情報保護法では、本人の同意なしに個人データを第三者に提供することは原則禁止されている。一方で、匿名の個人データの取り扱いについては具体的な定めがないので、対応が求められている。
法整備によって匿名化を条件にユーザの同意を得ずに個人データを活用できるようになれば、ビッグデータから個人の行動を把握できるようになり、消費者の行動を予測することで、消費者のニーズに合った商品開発等が可能になる。インフラの整備でも同様に、重要な役割を担うだろう。様々な分野で、最適化が期待できる。
日経新聞の報道によれば、法整備では規制や罰則規定等も盛り込まれる見込み。個人のプライバシー保護に配慮したルールづくりに期待したい。