Google Glassで手術をライブ中継、教育効果に期待:米大学病院

Google Glassで手術をライブ中継

メガネ型のウェアラブルデバイス「Google Glass」を使った外科手術のライブ中継が8月21日に実施された。担当医師は、米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センター整形外科医のChristopher Kaeding氏。同センターによれば世界初の試みだという。

「このエキサイティングな技術は、日々の患者のケアに組み込まれるかもしれない」とKaeding氏は語る。「正直なところ、いったん手術を始めたら、しばしばGoogle Glassの存在を忘れていた。それだけ直感的でシームレスにフィットしていたということだ」

Google Glassで手術をライブ中継

ソフトボールで怪我をした47歳女性の膝を手術する間、Kaeding氏の視点から撮影された動画が、別の場所にいる同僚や医学生にインターネットでライブ中継された。

この中継について同センターの同僚は、医学教育に利用できる可能性について期待を述べるとともに、「手術そのものの大きな変化が起こるかもしれない」と分析する。音声コマンドによって、X線写真やMRI画像、病理診断報告書や参考資料などをGoogle Glassのディスプレイに呼び出すことができ、手術中に遠隔地の医師に協力してもらうこともできるからだ。

デメリットも存在する。たとえば、施術中の医師に無用な緊張を強いる危険性があることは問題視されうるだろう。日本国内では、手術ミスを発生させないためにライブ中継を禁止している学会もある。しかし、日本泌尿器内視鏡学会のようにガイドラインを設定し、その範囲内で許容している場合もある。

今回の手術中継を視聴したオハイオ州立大学の医学生は「この技術には非常に大きな可能性があります。それは、医学教育の観点からだけではなく、医者が遠隔地の患者ケアを行うことができるようになるからです」と語った。Google Glassのようなウェアラブルデバイスの普及は、医療の未来にどのような変化をもたらすのだろうか。