子どもだけに見えるモンスターに戦慄、ホラー映画『ブギーマン』はディズニープラスで配信中

闇の中に誰かいる…

ホラーの帝王、スティーヴン・キングの小説はこれまでも数々の作品が映像化されていますが、ここにまたひとつ新たな秀作が誕生しました。

ディズニープラスで配信中の『ブギーマン』は、キングの短編集『深夜勤務(ナイトシフト)』に収録されている『子取り鬼』が原作のホラー映画です。本作はディズニープラスでの配信用に企画された作品ですが、内容的に評価が高かったことから、劇場公開されました。

欧米ではおなじみの「ブギーマン」とは、子どもだけに見える伝説上のお化けのような存在。大人には見えないため心情を理解されることがなく、子どもたちがじわじわと恐怖に追い込まれていく様を『ズーム/見えない参加者』のロブ・サヴェッジ監督が見事に捉えています。

闇に潜む未知の怪物

母親を事故で失くしたハーパー家は、父親で精神科医のウィル、高校生の長女・セイディ、次女・ソーヤーの3人暮らし。3人は悲しみを乗り越えようと努力していますが、そう簡単に忘れることはできません。ある日、ウィルは奇妙な男の訪問を受けます。男は、子どもが謎の生物に殺されてしまったと語りだし、その後に自殺してしまいます。

セイディは、彼の死は自殺ではないのでは、と感じ始めます。彼女だけが奇妙な物音を聞いていたのです。その日以来、ハーパー家の子ども2人は、不思議な出来事を頻繁に体験するようになります。クローゼットに何かいる気配がする、夜、ドアの向こうに何かがいるように感じる、ベッドの下にも気配を感じる……。しかし、大人たちには感知できず、母の死と謎の男の不審死で精神的に不安定になっているのだろうと簡単に片付けられてしまうのです。

セイディは自殺した男の死の真相を探るため、彼の自宅を訪れます。そこは廃墟のようになっていましたが、男の妻が何かに怯えるようにひっそりと暮らしていました。当時は子どもたちの言うことを信じられなかったけれど、確かに暗闇の中に何かがいるのだ、と主張します。彼女の言葉を聞いて謎の怪物の存在を確信したセイディは、戦いを決意するのです。

闇に潜む謎の怪物「ブギーマン」。闇の中だけに存在し、子どもにしか見えないという設定。"わからない"不気味さが恐怖を増幅させる、スティーヴン・キングならではの展開が大きな見どころです。

ブギーマンの伝承とは

ブギーマンの伝承はスコットランドが発祥とされていますが、世界各地に似たような言い伝えがあります。

ブギーマンは、「良い子にしていないとブギーマンに襲われるぞ」といったように、古来から大人が子どもを躾けるために用いられてきました。本作はそこを逆手に取り、子どもにしか見えないブギーマンの存在を大人が信じないことで、子どもたちが追い詰められていく様子を巧妙に描きます。

「最初から子どものいうことを信じていれば……」と思わせる展開は見事。ホラー映画としてだけでなく、家族の物語としても楽しめる作品です。

『ブギーマン』を見る(ディズニープラスで配信中)

『ブギーマン』のストーリー

スティーヴン・キング原作のホラー映画。母を事故で亡くした少女が、ある出来事をきっかけに家の中で奇妙な生き物の存在を感じ始める。大人には決して見えない、闇に潜むその"何か"とは…

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SORA