鳥山明の名作映画がアニメシリーズで蘇る『SAND LAND:THE SERIES』はディズニープラスで配信中

2024年3月に逝去された鳥山明先生。『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』といった珠玉の作品が放つ影響力は日本にとどまらず、その死を惜しむ声が海外からも多数寄せられました。そんな鳥山先生が生前「お気に入り」と語っていた作品が映画『SAND LAND』です。

同氏の「マスターピース」とも言われた原作を見事にスクリーンで再現した名作ですが、その先の物語を描いたアニメシリーズ『SAND LAND:THE SERIES』がディズニープラスで独占配信されています。

悪魔の少年・ベルゼブブと魔物の盗賊・シーフ、そして心優しい保安官・ラオの3人が織りなす珍道中。正しさのために戦うことの素晴らしさや、種族を超えた友情を綴ったワクワクの冒険活劇です。

水源が枯渇し、辺り一面が砂漠になった世界「サンドランド」。国民の生存が脅やかされる中、国王は水を独占する圧政を敷いています。この状況を打破するため、保安官のラオは、魔王の息子で悪魔の王子・ベルゼブブと盗賊・シーフの3人と共に、どこかにあるという「幻の泉」を探す旅に出ることを決意します。そして、困難を乗り越えて意気揚々と旅を続ける3人ですが、30年前に起きたとある事件にラオが関わっていることが次第に明らかになります。

登場人物たちの個性豊かなキャラクターが光るストーリー。主人公で悪魔のベルゼブブは自分のことを「ワル」だと言い張りますが、その悪事はいたずら程度のかわいいものばかり。むしろ困っている人を放っておけず、内に秘めているのはまさに正義心そのものです。もう一人の主人公であるラオは61歳で、自らの過ちの責任をとるために戦うカッコいいおじさん。戦車の扱いにも長け、戦術眼に優れている彼は、その高い戦闘能力で国王軍を圧倒します。また、シーフの盗賊としての魅力溢れる姿も見逃せません。

『SAND LAND』のその後の物語が展開する本作では、第一部「悪魔の王子編」で3人と国王軍との戦いが、アニメオリジナルのストーリーである第二部「天使の勇者編」では、緑豊かな「フォレストランド」での新たな戦いの様子が描かれます。「天使の勇者編」では新キャラクターも登場。ベルゼブブのライバルとなる天使のムニエルに、ラオたちと行動を共にするメカニックの少女・アンが加わり、物語が一層膨らんでいきます。

冒険の楽しさが存分に伝わるストーリーはそれ自体が魅力的ですが、鳥山明先生自らが考案したキャラクターたちが縦横無尽に動き回るシーンは目を見張ります。原作に登場するクールでかわいいデザインのキャラクター達が、非常に高いレベルでアニメ化されていることに驚くファンも多いでしょう。

ベルゼブブの愛嬌と邪気が同居したビジュアルや、初老のラオが醸し出す渋い雰囲気はまさに絶妙。怪物や人間たちだけでなく、メカニックのデザインもまた秀逸です。第二部「天使の勇者編」では、初の女性メインキャラクターであるアンが登場。ドレッドヘアーでクールな外見には親しみやすさも備わっています。観ているだけでワクワクするようなキャラクターセンスに溢れた本作は、鳥山ワールドを心ゆくまで堪能できる痛快冒険ファンタジーです。